
スタンダードプードルのメス、アンナ。まるで羊のようなモコモコ毛皮を着ているようにも見えるルックスで、かわいさ全開のアンナですが、実は過酷な環境で育ったワンコでした。
【写真】保護当初のアンナ。顔全体を毛が覆うほど放置されていました
かつては心ない悪徳ブリーダーのもとで十分なエサを与えてもらえないばかりか、毎日蹴られ、望まぬ妊娠出産を繰り替えされるという過酷な生活を送っていました。
なかなか譲ろうとしないブリーダー
このアンナの存在を知ったKさんという個人が、そのブリーダーに「譲って欲しい」と掛け合いました。しかし、なかなか話に応じてくれません。「元々は100万円で売っていた犬やし」「ちゃんと世話もしているわけやし」と話を逸らします。
しかし、Kさんも諦めることはできません。目の前に、アンナを筆頭にボロボロで異臭放ちまくりの大型犬が何匹もいるからです。
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Kさんの根気に負けたブリーダーは、ようやくアンナを譲ってくれることとなりました。そして、Kさんの働きかけで一時は兵庫県の預かりボランティアさんのもとへ。ここで長時間かけて丁寧にトリミングしてもらい、アンナはやっと本来のスタンダードプードルらしい姿になりました。
そして、優しい預かりボランティアさんのもとでたくさんの愛情を受け、家庭犬としての様々な経験を積んでいきました。
さらに後に福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすに「命のバトン」が渡され、アンナは新しい預かりボランティアさんのもとでお世話を受けることになりました。
アンナは心優しい性格の持ち主だった
アンナにたっぷりの愛情を注いでくれた前の預かりボランティアさんでしたが、新しいお家も負けないほど温かい空気。その空気を感じ取ったアンナはすぐにお家に打ち解け、初めて会った小学生の娘さんが体を触りまくっても全く怒りませんでした。
また、アンナはこの家のドッグランをすぐに気に入り、先住犬たちと一緒にすごく嬉しそうに走り回る姿も見せてくれるようになりました。
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その一方、預かりボランティアさんがブランコで休憩していると、走り回るのをヤメて、労うようにそっと横に座ってくれることも。それだけ人間の空気を読み、自ら適切に行動する賢さと優しさを持つワンコでした。
先住犬がいる優しい里親さんのお家へ
そんなアンナのもとに、ついに「会ってみたい」という里親希望者さんからの連絡が入ります。先住犬がいる家です。先住犬との相性があるため、一定期間のトライアルを実施しましたが、ここでもアンナは持ち前の穏やかな性格を持ってスンナリ溶け込み、ここで正式譲渡となりました。
この報告に、アンナを救いサポートし続けた人たち全てが「本当に良かった」と喜びました。しかし、本当に喜んでいるのは当のアンナ、そして優しい里親さんであることでしょう。いつまでも明るく幸せに過ごしてほしいと思いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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