「重い十字架背負ってきた」=前川さん、無実訴え続けた38年―福井中3殺害、18日再審判決

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2025年07月13日 07:31  時事通信社

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再審判決を前にインタビューに応じる前川彰司さん=8日、福井市
 「事件は冤罪(えんざい)だ」。1986年に福井市で中学3年の女子生徒=当時(15)=が殺害された事件で、殺人罪で有罪が確定し服役した前川彰司さん(60)の再審判決が18日、名古屋高裁金沢支部で言い渡される。判決を前に取材に応じた前川さんは、「重い十字架を背負って生きてきた」と逮捕後の38年間を振り返った。

 事件の約1年後、前川さんは福井県警に逮捕された。無実を訴えたが、取り調べで暴力を振るわれることも。「一度決めたら冤罪であっても犯人に仕立てるという執念を感じた」と話す。

 公判では一審で無罪とされたが、二審は懲役7年の逆転有罪判決を言い渡し、最高裁で確定。服役後の第1次再審請求では再審開始決定が出たものの、検察側の異議申し立てを受けて取り消された。

 第2次請求審で高裁金沢支部は昨年10月、検察側が開示した捜査報告書などの新たな証拠を基に再審開始を決定。検察側は「決定文を子細に検討し、適切に対応したい」とコメントし、その後異議申し立てを断念した。

 それでも今年3月の初公判で有罪主張を維持した検察に対し、前川さんは「それが適切な対応なのか」とあきれたように笑った。

 判決を目前に控え、再審無罪への期待を口にする一方、「司法には2度足をすくわれている」と複雑な心境ものぞかせる。ラジオ体操や教会に通う生活リズムは変わらないが、逮捕後の38年間を思い起こしていら立つこともあるといい、「なんとかやり過ごしているが、重い十字架を背負って生きてきた」などと語気を強めた。

 再審制度を巡っては、検察側に証拠開示の義務がないなどの問題が指摘されている。最初の再審請求から今月15日で21年となる前川さんは、「冤罪はあるという前提で法制度を考えるべきだ。再審法が変われば世の中も変わる」と訴える。

 法制審議会に諮問されたことは歓迎しつつ、「身内だけの議論では駄目。民意を反映して国会で審議されるべきだ」と指摘。今年の通常国会で制度見直しが実現しなかったことは残念だとした上で、「無罪を勝ち取って再審法改正への流れを引き寄せたい」と遠くを見詰めた。 

再審判決を前にインタビューに応じる前川彰司さん=8日、福井市
再審判決を前にインタビューに応じる前川彰司さん=8日、福井市


再審判決を前にインタビューに応じる前川彰司さん=8日、福井市
再審判決を前にインタビューに応じる前川彰司さん=8日、福井市

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  • チンピラグループの証言警察が信用して犯人と認識したやつだね。集団という欠点がグループ警察に出た事案。間違いに気付いても後に退けなく誤魔化しや工作に走る。
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