平沢俊乃さんが刺された現場=2024年5月9日、東京都新宿区 東京都新宿区のタワーマンション敷地内で昨年5月、住人の平沢俊乃さん=当時(25)=を刺殺したとして、殺人罪などに問われた和久井学被告(52)の裁判員裁判の判決が14日、東京地裁であった。伊藤ゆう子裁判長は「被害者の言動が原因の一端となったと言えるが、殺人を正当化する理由にならない」として懲役15年(求刑懲役17年)を言い渡した。
伊藤裁判長は、和久井被告が果物ナイフで少なくとも15回、平沢さんの胸や腹を突き刺しており、「執拗(しつよう)かつ残虐で極めて危険だ」と非難した。
その上で、2021年11月ごろ、平沢さんから「人生をかけてくれたら結婚する」などと言われ、バイクと車を売って1600万円を渡したと認定。平沢さんが結婚の求めに曖昧な態度を取り、借金を勧めたことなどに触れ、「被告の気持ちを利用し、経済的に追い詰めるもので、非難される点があったことは否定できない」と述べた。
一方、平沢さんへのストーカー規制法違反容疑で逮捕された後も、金銭問題について法的手段を尽くさず、恨みを募らせて殺害に及んだと指摘。「経緯や動機を大きく酌むことはできない」として懲役15年が相当と判断した。