“狩猟用の罠”にかかってしまった黒猫を保護→3本足ながら元気になった“3年後の姿”にほっこり

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2025年07月14日 15:50  女子SPA!

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術後の面会時
【今日のにゃんこタイム〜○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.179】

hanazouさん(@hana88883)と暮らすクロちゃんは、3本足。トラバサミによる怪我で左前足を断脚しました。(※掲載写真は自撮りのため反転)

「でも、猫特有の忍び足くらいしかできないことが思い浮かびません。ジャンプもできるし、高いところからも降られる。階段なんて猛スピードで駆け上がり、私を追い越していきます」

◆別の子猫の保護中に1匹の黒猫との出会いが…

 2022年6月下旬、飼い主さんは近所の人と共に、親猫とはぐれて2日間も鳴いていた1匹の子猫を保護しようと奮闘していました。すると、捕獲時に仕掛けた猫用おやつのにおいに誘われたのか、保護対象ではないクロちゃんが姿を現したのです。

 保護対象の子猫を捕獲できたのは、翌日のこと。クロちゃんは、捕獲を終えるまで近くで見守っていてくれました。

 以後、クロちゃんは2〜3日ごとに飼い主さん宅の周辺に現れるように。距離は少しずつ縮まっていき、触らせてくれるようになりました。

◆顔見知りになった黒猫の足に怪我が…! 原因は狩猟罠の「トラバサミ」

 そんなある日、クロちゃんが左前足に怪我を負っていると気づき、動物病院へ。怪我は、トラバサミによるものでした。

「患部が悪化すると壊死して骨が見えてしまったり、死に至ってしまったりすることもあるため、断脚しなければならない可能性もあると……。想像より重い診断でした」

 クロちゃんはひとまず、回復効果が見られることもある抗生剤を打つことになりました。

 当時、自宅には5匹の保護猫と2匹の保護犬が。飼い主さんはクロちゃんのお迎えを悩み、家族の「可哀想だけど野良猫だし、それが寿命だよ」という言葉を受け、しばらくは外での生活を見守ることにしました。

 しかし、その後、クロちゃんは姿を消してしまいます。ようやく再会できたのは、動物病院へ連れて行ってから5日経った朝。左足の状態は明らかに悪化しており、左腕のあたりは壊死しているように見えました。

 それでも、足を引きずりながら懸命に生きるクロちゃんを見て、飼い主さんは保護を決意。断脚を覚悟し、すぐに動物病院へ行くと予想通り、緊急手術が行われました。

 術後の面会時、傷跡は思っていたよりも痛々しく見えたそう。腕の付け根から先がない状態で横になりながらも呼びかけに反応してくれた姿を、飼い主さんは今でも忘れられません。

「翌日もお見舞いへ。昨日と同じく弱々しい姿だったらどうしよう……と思いつつ行ったら、ちょうど食事の時間で、ご飯をモリモリ食べていて、私より病院のスタッフさんに懐いていたので笑ってしまいました。さすが外で生きてきただけあって、たくましいなあって」

◆退院後に驚かされた「脅威の回復力」

 クロちゃんは、3日間の入院を経て退院。回復力はすさまじく、退院翌日にはゆっくりと歩けるように。2週間ほど経つ頃には、ケージの2段目にジャンプ。小走りもできるようになりました。

「ただ、傷の治りは悪くて1ヶ月ほど抜糸ができなかったので、エリザベスカラーをつけ、術後服を着て生活していました」

 抜糸後は留守番時と就寝時のみケージで過ごしてもらい、他の時間は室内フリーにしていました。しかし、毎日寂しそうな声で鳴く姿に胸が痛み、術後2ヶ月目からは完全に室内フリーに。

「1ヶ月ほどは、片時も私から離れませんでした。クロちゃんは3本足での動き方より、外生活から室内での生活へ順応するほうが大変だったようで、お腹が緩くなったり、夜鳴きしたりしていました」

 少しでも快適に生活してほしい。そう思い、飼い主さんはメンタルケアと並行して生活環境も整えました。猫用トイレは入りやすいよう、囲いが低いものをチョイス。初めは中でよろけないように猫砂を少なくしていましたが、排泄物が隠れるまで延々と砂かけをする様子を見て、他猫と同じ量の猫砂を入れるようになりました。

「座って食べるより伏せて食べるほうが楽なようなので、ご飯のお皿は低いものに変えました。キャットタワーは低めで、階段があるタイプです」

 クロちゃんは爪とぎポールで立ち研ぎをしたり、他猫と同じスピードで追いかけっこを楽しんだりすることも。片足を失っても、猫らしい暮らしを謳歌しています。

◆ストレスフリーな多頭飼い生活の秘訣は「住み分け」

 飼い主さん宅では現在、クロちゃんを含め、7匹の猫と2匹の小型犬が暮らしています。全員が快適に暮らせるように自宅では住み分けを行っており、クロちゃんは小型犬たちや2匹の猫と同じ部屋で過ごしているのだとか。

「犬たちとは散歩中に何度も会っていたので、初めから互いに警戒しませんでした」

 1番の仲良しは、保護を見守った茶汰くん。外で会うオス猫はほぼ敵だったため、クロちゃんは当初、じゃれ合いの力加減が分からず、毎日レスリングを仕掛けてくる茶汰くんの扱いに困惑していたそう。

 しかし、徐々に猫同士の遊び方を覚え、今では自らレスリングを仕掛け、追いかけっこを楽しめるようになりました。

「クロちゃんは、体のどこを触っても怒ることがない穏やかな子。他猫の行動をよく見ていて、甘え方を真似します」

 元気で甘えん坊なクロちゃんの“今“が嬉しい。そう思うからこそ、飼い主さんはトラバサミの危険性を訴えます。

「クロちゃんの場合は、私有地に仕掛けたトラバサミに猫がかかっていたので外してくれたのかもしれません。私も庭に野生動物が出る地域に住んでおり、農業を生業にしている方の被害を少しでも減らしたいという気持ちも理解できますが、トラバサミは野生動物に対しても残酷な行為です。法律での規制もあるので、仕掛けないでほしい」

 トラバサミの使用は「鳥獣保護管理法」で規制されており、違反した場合は罰金または懲役に処されます。また、犬猫など愛護動物の捕獲にトラバサミを使用すると「動物愛護管理法」に違反する可能性が高く、罰金または懲役に処されます。

 ただ、そうした規制があっても、トラバサミにかかってニャン生が変わってしまう猫はまだ多いのが現状。動物愛護の精神が広がりつつある今だからこそ、悲惨な現状が広く知られ、動物の命との向き合い方を考えていきたいものです。

<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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