アールスター(22年2月撮影、ユーザー提供:だんさん) 決してリーディング上位ではないが、確かな技術と人柄に定評があるのが長岡禎仁騎手だ。美浦から栗東への移籍も経験した苦労人が、デビュー9年目で重賞初制覇を果たした20年の小倉記念を振り返る。
長岡騎手は93年9月25日生まれ、和歌山県出身の31歳。12年に美浦・小島茂之厩舎からデビュー。3年目の14年から18勝、10勝、19勝と軌道に乗ったものの、17年4月の落馬事故で腎臓破裂の重傷を負い、9月に復帰以降は騎乗依頼が減少。19年5月1日に栗東に移籍し、高橋亮厩舎の所属となった。
そんな中で出会ったのが杉山晴紀調教師だった。調教を手伝う中で、20年にはフェブラリーSのケイティブレイブの騎乗依頼をつかみ取り、最低人気ながら2着に健闘。そして迎えたのが小倉記念だった。パートナーのアールスターとは初コンビだったが、何度も調教にまたがった経験があった。レースでは内寄りの3番枠を生かし、中団インを確保。直線で迷うことなく最内を突くと一気に抜け出し先頭へ。そのまま無人のゴールを駆け抜け、3勝クラスから格上挑戦のパートナーを初タイトルに導いたのだった。そして自身はデビュー9年目、8回目の挑戦でのJRA重賞初制覇となった。
10番人気→6番人気→13番人気の決着で、3連単は137万4190円の高配当に。場内がざわつく中、長岡騎手のとびっきりの笑顔が輝いていたのだった。