写真 学校や家庭で居場所を失い、夜な夜な繁華街をさまようトー横キッズ。未成年飲酒やオーバードーズといった行為を繰り返し、身を滅ぼす者も少なくない一方で、まだ“再生の道”は残されていた! 彼らを救う手段とは――?
◆留置場で目が覚め、今はバイトリーダー
薬物の売買が発覚し、警察に逮捕されたのは、19歳の秋。留置場で過ごした数日間が、加藤慎さん(仮名・21歳)にとってすべての転機となった。
千葉県出身の加藤さんは、今居酒屋のバイトリーダーとして真面目に勤務。そんな現在からは想像もつかないが、わずか3年前までは、怠惰な日々を過ごしていた。
「大学に入ったばかりの頃、歌舞伎町で声をかけられて。“友達になれそう”って言われて、面白そうだなと思って行ってみたら、気づけば大麻漬けになりました」
やがて彼は、薬を売る側に回り、恋愛感情を利用して女性からカネを巻き上げるようになる。
「俺のことを好きって言ってくれるコを5人くらい囲って、合計で月100万円以上貢がせて生活してました」
◆「釈放後すぐにトー横関係の連絡先を全部消して断薬」
だが、逮捕と留置場での時間が、思考を根底から変えた。
「まだ未成年だったから実名報道は避けられたけど、このまま20歳を超えて同じことしてたら、社会的に完全に終わる。そう思って、釈放後すぐにトー横関係の連絡先を全部消して、断薬。ついてきてくれた彼女もいたけど、彼女はクスリをやめられず、最終的に絶縁しました」
大学には戻れなかったが、実家に帰ってバイトを始めた。さらに副業でTikTokも開始。自閉症のある知人と組んでユニークな動画を投稿し、収益は月10万円に達することもあるという。
◆恐喝、監禁でトー横キッズを支配した男の懺悔
トー横は、子どもたちだけでなく、大人たちもまた、破滅と再生を繰り返す場所だ。
「シャバに戻ったら、今度こそ守る側につきたい」
神妙な面持ちで記者の面会に応じたのは、’23年5月、界隈にいた少年に暴行を加え監禁。さらにその母親から20万円の身代金を奪ったとして逮捕・起訴された徳永晋太郎被告である。
「トー横のコたちを、ヤクザみたいな連中から守ったこともありました。だけど正直、俺自身の存在を怖がってたコもいたと思う。こうして事件を起こしてしまった今は、もう償いたい気持ちしかないです」
暴力という手段で信頼を失い、社会から隔絶された彼が、今、胸の内に抱えているのは“再生”への模索だ。
「今のコたちには、大学に行けるなら行ってほしい。出所したら、高卒認定試験の受検のためのスクールを立ち上げられたらと考えています」
再びトー横に戻りたいとも語る彼が許される日はくるのか。
取材・文/週刊SPA!編集部
―[密着! トー横キッズ[再生の道]]―