佐藤流司さん ミュージカル『刀剣乱舞』(加州清光役)、舞台「呪術廻戦」(虎杖悠仁役)などで活躍中の俳優の佐藤流司さんが、30歳を記念して4th写真集『Reason』をリリースしました。
メモリアルな今作は、佐藤さんの故郷・仙台を舞台に撮影を敢行。自身のルーツや思い出の地を辿りながら、人気俳優の等身大の素顔をたっぷりと捉えています。
発売を記念して作品のこと、30代に入り改めて目指す姿、そして今の原動力など、佐藤さん本人に今の心境をうかがいました。
◆生きてきた理由・生きてこられた理由を込めた
――今回の写真集『Reason』で4冊目となりましたが、リリースされた率直なお気持ちはいかがでしょうか?
佐藤流司(以下、佐藤):素晴らしい作品にしていただいたと自分でも思っているのですが、手に取っていただいて、その完成度はみなさんの目で判断してほしいですかね。20代最後の俺の姿をカタチにして残しておきたいという気持ちが最初にあったので、それが撮れてよかったなと思っています。
――これまで佐藤さんの写真集にはRが付いていると思いますが、今回のタイトルの『Reason』にはどのような意味を込めましたか?
佐藤:今まで自分がここまで生きてきた理由、生きてこられた理由を写真集の中に込めた、というところが大きいですね。
――それは言葉ではなく、写真による表現なのですね。
佐藤:そうですね。たとえばバンドをやっていた地元時代を振り返ってドラムを叩いている写真があったり、成人式は出られなかったので袴をはいてみたり、やってみたいことをやりました。あと帯に両親のコメントがあるのですが、両親がいなければ絶対に生まれてこなかったので、ここまで来た理由を写真集で伝えている感じですね。
――その帯、とても素敵ですよね。親孝行的な印象も受けました。
佐藤:本当ですか、そういうものですかね(笑)。こういうことをするのは初めてでしたが、何かしらで両親には関わってほしいなという想いが今回ありました。ふたりとも自分の仕事の感想を送ってくるタイプじゃないので、写真集の感想は来ないと思うんですけど(笑)。
◆そろそろカッコいいと思われる大人でありたい
――そして、撮影は佐藤さんの地元である仙台ですね。
佐藤:懐かしいなと思いました。変わった景色があり、変わらない景色もあり、仙台は自分の人生を振り返る場所としてなくてはならない存在でした。学生時代に戻った気分にもなり、(笑顔のカットが多い)表情は、もしかしたらそれに影響を受けているかもしれないです。
――ちょうど一年前にお話をうかがった時に目標とされる人でありたいと言われていたと思いますが、30代になった今、改めてご自身が目指す姿についてうかがいたいです。
佐藤:まだ大人になった実感はないですね。20代の頃とあまり気分は変わらない。変わる時が来るのかもしれませんが、気持ちはそのままです。
ただ、俳優としては中堅みたいなところに入った気がしていて、なので恥じないように生きたいなと思っています。今まで20代は後ろ指差されても上等だと思ってやってきたけれど、そろそろカッコいいと思われる大人でありたいと思う。ちゃんと好感度も気にしていこうと思いました(笑)。
◆作品を作る面白さが増えた
――お芝居の面白さについては、デビューの頃と比べて何か変わるところはありますか?
佐藤:今となってみると、作品を作る機会が増えて、 脚本・演出やらせてもらうことが出てきたので、その面白さは感じていますかね。お芝居することの面白さも変わらずに感じていますが、作る面白さが増えたことは大きいですかね。
――その面白さとは、物語をゼロから生み出すことでしょうか?
佐藤:そうですね。脚本を作るとなると、自分と自分がケンカをしないといけないというか、自分の意見と意見をバトルさせないといけない。登場人物をケンカさせないとドラマが生まれないから、自分の意見を自分で否定するセリフを作る作業が面白いですね。自分の持論も否定しないといけなくて、自分が伝えたいことを別のキャラが否定する面白さがあるんです。
――創作を通じて自分の考えがまとまる感じもありそうですね。
佐藤:いい脚本って、自分が伝えたいことを否定するほうがいい話になると言われているみたいですね。
◆「ぜひ俺のルーツを探ってもらえたら嬉しい」
――仕事以外のことでは、今興味を持たれているものはありますか?
佐藤:バイトしたいなってちょっと思ったんですよ。よく考えたら人生経験が少ないな、俳優しかやってきていないなと。接客業とか昔ちょっとだけやっていましたけど、みなさんが経験している社会を経験してみたいという想いが少しあります。お芝居ってどこまでいっても想像でしかないので、想像の元をもっと経験できればいいなと。もっと広がると思うから。
――なるほど、仕事に活かすためのものですよね。そこまで真摯に仕事に向き合える原動力は何でしょうか?
佐藤:自分は飽き性なので、動いたら止められないこの仕事が性に合っていると言いますか、ありがたいなと思うんです。やっぱり人間だからどうしたって疲れたり、体調悪いなって思うことはあるんですけど、でもやるしかない、この「ショー・マスト・ゴー・オン」が好きですね。あとはシンプルに舞台を観に来てくれる人がいたり、応援してくれる人がいるのが本当にありがたいなと思う。それがないとマジで無理ですね。
――その応援してくださるファンの方たちへ、今回の写真集『Reason』を通して伝えたいことは何ですか?
佐藤:今までの俺の人生の追体験でもあるので、ぜひ俺のルーツを探ってもらえたらうれしいです。いままで人生をあんまり語ってきていないので、その意味ではここに新しい一面が出せているのかなと思います。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。