スパーズの指揮を引き受けたフランク監督 [写真]=Getty Images 新シーズンよりトッテナム・ホットスパー(スパーズ)を率いるトーマス・フランク監督が、就任後初会見に臨んだ。18日、イギリスメディア『Football London』が伝えた。
現在51歳のデンマーク人指揮官であるフランク監督は、世代別のデンマーク代表、ブレンビーなどを経て、2018年10月から7年にわたってブレントフォードを指揮。クラブを初のプレミアリーグ昇格に導き、1部に定着させた。その実績が評価され、アンジェ・ポステコグルー前監督の後任として、3年契約でスパーズの監督に就任した。
18日に就任後初となる記者会見が開かれた。フランク監督はまず、急逝した元リヴァプールのディオゴ・ジョッタ氏とその弟アンドレ・シルヴァ氏を追悼。続けて、就任後最初の5週間を振り返り、「今はハネムーンのようなものだ。みんなハッピーだし、太陽も輝いている。まだ試合はしていないが、とても楽しみだよ。イングランドでも世界でも巨大なクラブだ。本当にワクワクしているよ。みんな親切でフレンドリー、心の広い人たちばかりだ」とポジティブに語った。
ブレントフォードを去り、スパーズを率いるという決断は難しいものだったのか。「ある意味とても難しく、ある意味とても簡単だった」とフランク監督は語る。
「というのも、私は夢中になると、とことん夢中になる人間だからだ。仕事でも、友情でも、結婚でも、どんな関係でも、全力を尽くす。そして、サッカークラブで働くことに全力を注ぐと、愛着が湧いてくる。ブレントフォードでは、スタッフ、選手、ファン、すべてに素晴らしい人たちと素晴らしい時間を過ごした。本当に、本当にそこでの時間が大好きだった」
「でも、そろそろ自分に挑戦して、別の機会を得る時期なのかもしれないとも感じていた。そして、トッテナムのような大きなクラブがあなたの門を叩き、成功する旅の一部になってほしいと言われたら、断ることはできなかった」
自身がブレントフォードを率いた7年の間、スパーズは激動の期間を過ごし、マウリシオ・ポチェッティーノ氏(現アメリカ代表)、ジョゼ・モウリーニョ氏(元フェネルバフチェ)、ヌーノ・エスピリート・サント氏(現ノッティンガム・フォレスト)、アントニオ・コンテ氏(現ナポリ)、そしてポステコグルー氏と5人の指揮官を解任した。懸念はあるかとの質問に対し、フランク監督は「たった5人だけ? 私は自分に挑戦するのが好きなんだ。私はこれまで一度もクビになったことがないという“名誉”も持っている。それがこの仕事を引き受けた理由のひとつだ」と、スパーズでの成功に自信を示した。
「日々の生活の中で、(ブレントフォード時代よりも)少しリスクを感じているんだ。ビッグクラブに来れば、プレッシャーもある。私は野心が好きだ。これまで私がしてきたこと、決断はすべて長期的なものだ。1試合、1年、1年半、あるいは平均がどうであれ、生き残るためではない。長い目で見るためだ」
「十分な時間が与えられる自信がないのであれば、この仕事を受けるべきではなかっただろう。ダニエル(・レヴィ会長)、ヴィナイ(・ヴェンカテシャムCEO)、ヨハン(・ランゲTD)とはとてもよい会話をした。楽観的でなければ、何かを達成したり、大きなことを成し遂げたり、これまで不可能だったことを可能にしたりすることは難しいと思うからだ。もちろん、現実的でもあり、良い結果がどのようなものかを知っている。そこに到達するために、私たちがどのような姿を見せるべきかはわかっているが、一歩ずつ進んでいこう」
昨季のスパーズはプレミアリーグ17位で終わったが、ヨーロッパリーグを制し、欧州では41年ぶり、国内を含めても17年ぶりの主要タイトル獲得となった。続く成功が求められるフランク監督は、新天地での目標を次のように語った。
「私の目標は、できればトロフィーを加えられるようにすることだ。まず第一の目標は、4つのトーナメント(リーグ戦、欧州カップ戦、FAカップ、リーグカップ)すべてに出場し、安定したレベルで戦えるようになることだ。クラブが複数の大会に出場できたのは2019年が最後のシーズンだったと思うから、それが目標だ。プレミアリーグで戦い、ヨーロッパのチャンピオンズリーグで戦い、カップ戦でも戦えるようにならなければならない。それはとても高い要求だが、それが目標だ。競争できれば、うまくいけば上位に食い込める可能性もある。でも、まずは競争に勝てるようになるための基盤作りが必要だ」
スパーズで目指すプレースタイルについては、「私は試合のあらゆる局面で、自分の持っている原則をとてもとても明確にしている。私がチームや選手に望むのは、『勇敢であること』。非常にアグレッシブであってほしいし、攻撃したい。勇敢というのは、『TO DARE IS TO DO(※成せば成る。スパーズのモットー)』ということと絶対にリンクしていると思う。勇気がなければ、何かを成し遂げることはとてもとても難しい。リスクを背負うことはとても重要なことだと思う。リスクを背負わなければ、リスクを背負うことにもなる」と語り、クラブの伝統であるアグレッシブなサッカーを標榜。そのためには、昨季プレミアリーグで22敗を喫した守備の改善が必須だが、「私は自分のメッセージに一貫性を持たせているが、すべての局面に原則があるとも言った。つまり、低い位置で守備をするとき、中央で守備をするとき、高い位置で守備をするとき、そしてボックス内でどのように守備をするかということだ。だから、それを実行することはとても重要だと思う。サッカーの試合で十分に勝ちたいのであれば、充実したチームになる必要がある」と、攻守においての改善に取り組んでいるようだ。
スパーズは19日に今夏最初のプレシーズンマッチでレディングと対戦し、その後はルートンやアーセナル、ニューカッスル、バイエルンとの対戦を予定している。8月13日に新シーズンの公式戦が開幕し、UEFAスーパーカップで欧州王者パリ・サンジェルマン(PSG)と激突する。