
近年、愛用者が増えている「ベアフットシューズ」。見た目はシンプルながら、足本来の動きを引き出してくれるアイテムです。裸足のような感覚で歩けることで注目され、登山やランニングだけでなく、街歩きに取り入れる人も増えています。
今回は、ベアフットシューズの基本から、登山好きの筆者が実際に履いて感じた魅力、気をつけたい点などを紹介。ベアフットシューズが気になっている人は、ぜひ参考にしてください。
●「ベアフットシューズ」とは?
ベアフットシューズとは、その名の通り「裸足で歩く感覚」に近づけることを目指したシューズ。特徴は、クッション性を抑えた薄めのソールや、足指を自由に動かせるワイドなつま先部分、柔軟性の高い素材、そしてつま先とかかとの高低差(ドロップ)がほとんどない構造にあります。
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こうした設計により、足裏の感覚を研ぎ澄ましながら、足指をしっかりと使って歩くことが可能になります。
現代人の多くは、つま先の狭い靴や厚底のシューズに慣れすぎて、足本来の機能を生かしきれていない場合があります。ベアフットシューズはその「眠っていた感覚」を呼び起こし、足指をしっかり使った、人間本来の動きを取り戻すサポートをするものです。
●筆者は「プライマストレイル FG 3.5」を愛用
筆者が愛用しているのは、Vivobarefoot(ビボベアフット)の「プライマストレイル FG 3.5」というモデルです。これは2足目のベアフットシューズで、以前は同ブランドの「プライマスライト III」という街歩き向けモデルを使用していました。「FG 3.5」は、それよりもグリップ力が高く、タフな路面にも対応する仕様になっています。
片足約213g(EU38)ととても軽く、ソールは薄くしなやか。暑い時期でも蒸れにくく、足首周りもソフトで優しいため、長時間履いても不快感が少ないのも気に入っているポイント。公式サイトでの販売価格は2万4200円(税込)です。
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●実際に使って感じたメリット
本商品は、街中の散歩から低山ハイクまで、さまざまなシーンで活躍してくれる頼れる相棒。アウトソールは約5.5mmとかなり薄めですが、凹凸のある地面でもしっかりグリップします。
これは、ファームグラウンド(FG)アウトソールによるもの。約3mmのベースに加えて約2.5mmのラグが施されており、ぬれた岩や乾いた土、硬い地面など、あらゆる路面にぴたりと吸い付くような安心感があります。
ベアフットシューズを使っていて印象的なのは、足の指が地面をしっかりとつかむように働いてくれる感覚。グリップ力に頼るだけでなく、自分の足そのものを使って踏ん張る感覚が研ぎ澄まされていくのを感じます。
足裏で地形を感じ取りながら進むことで、自然と姿勢やバランスが整い、筋肉もつき、長時間歩いていても疲れにくくなった感覚があります。
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ベアフットシューズを使い始めて4年ほど経ちますが、前よりも足指を大きく開いて自由に動かせるようになり、滑りやすい登山道で転んだり、下山中に膝が痛くなったりしにくくなりました(効果には個人差があります)。
●デメリット&気をつけたいポイント
ベアフットシューズには大きなメリットがある一方で、使用にあたって気になる点もあります。まず、普段あまり使っていない筋肉に刺激が加わるため、履き始めは足裏がすぐに疲れたり、筋肉痛になったりします。いきなり長時間歩いたり走ったりせず、最初は近所を少し歩く程度からスタートするのが安全です。
また、ソールが薄く、地面の状態がダイレクトに伝わってくるため、慣れないうちは硬い舗装路や岩場では衝撃を強く感じることがあります。クッション性の高い靴とはまったく違う使用感のため、慎重に慣らしていくことが大切です。
●ベアフットシューズが合わない人・場面は?
万人におすすめできる訳ではないのが、ベアフットシューズの正直なところ。というのも、足へのサポート力が少ないため、ケガの治療・リハビリ中や、持病など足に不安がある人にはおすすめしにくい面があります。
さらに、つま先の保護がほとんどないため、岩場が多い登山道では不意に足をぶつけてしまうとケガをすることも。クッション性も抑えられているため、硬い地面や長時間の山行では足の裏に負担がかかる場面もあります。
足まわりにしっかりとしたサポートを求める場面では、他のトレッキングシューズを使うなど、併用を考えるのがよいでしょう。