今夏レヴァークーゼンを去ったヴィルツ [写真]=Getty Images独強豪の幹部がバイエルンに苦言…至宝の英移籍に喜び「私は刺激的なブンデスを望んでいる」
レヴァークーゼンのフェルナンド・カロCEO(最高経営責任者)が、同クラブに所属していたドイツ代表MFフロリアン・ヴィルツ(現リヴァプール)の移籍交渉を振り返った。19日、ドイツメディア『ヴェルト』が伝えた。
現在22歳のヴィルツは、2023−24シーズンにレヴァークーゼンのブンデスリーガ無敗優勝やDFBポカールとの国内2冠、ヨーロッパリーグ準優勝に大きく貢献。バイエルンのほか、レアル・マドリードやマンチェスター・シティなどのメガクラブも獲得に関心を示していたが、今夏にプレミアリーグ史上最高額を更新する1億2500万ユーロ(約210億円)の移籍金でリヴァプールに完全移籍した。
リヴァプールと争奪戦を繰り広げたバイエルンはヴィルツとの個人合意が噂されることもあったが、レヴァークーゼンの抵抗に遭って移籍は実現しなかった。『ヴェルト』のインタビューに応じたカロCEOは、バイエルンとの交渉を振り返り、「春にヤン・クリスティアン・ドリーセン(バイエルンのCEO)から、彼とカール・ハインツ・ルンメニゲ(バイエルンの監査役)がフロリアン・ヴィルツについて話したがっていると連絡があった。私は『我々の最高の選手をミュンヘンに売る気はない』と言った」と、当初からヴィルツの国内移籍を阻止する構えだったことを明かした。
「その後に具体的な話し合いはなかった。バイエルンたちはフロリアンが自分たちに有利な決断を下すと確信していたようだ」
カロCEOは続けて、バイエルンの関係者がたびたびヴィルツが本命であることを公言していたことに言及。「こう言ってはなんだが、(バイエルンのやり方は)あまり適切ではなかった。彼らが公の場であれほど攻撃的だったのは、気になったというより驚いた。でも、それがフロリアンと彼の両親のためになったとは思えない」と語り、“絶対王者”に苦言を呈した。
同氏は「今も心が痛むが、痛みには慣れるものだ。私たちはただ、フロリアンの成功を祈ることしかできない。彼の決意が固まった4月か5月には、ヴィルツを保持できないと察した」と至宝の退団を惜しみつつ、ヴィルツがバイエルンではなくリヴァプールを選んだことには喜びを示した。
「フロリアンと彼の両親からリヴァプールに決まったと聞かされたとき、この状況で悲しむことは当然なかった。私たちが(ヴィルツの)海外移籍を希望していたことは周知の事実だ。(移籍決裂の可能性は)あった。リヴァプールからのオファーを何度か断り、『私たちの要求は明確だ。私たちのレベルで合意するか、他のクラブが参入する用意があるかのどちらかだ』と伝えていた」
ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケ氏は「ヴィルツのような選手がブンデスリーガを去ることは本当に残念なことだ。彼がバイエルンに移籍していたとしても、私はまったく問題はなかった」と発言していたが、レヴァークーゼンの重役は「私はヴァツケ氏とは意見が違う」と反論。「ドルトムントのボスとして、なぜヴィルツがミュンヘンに行っていればよかったのか理解できない。そうすればバイエルンはさらに強くなっていただろう。私はエキサイティングなブンデスリーガを望んでいる。私たちとは別に、より多くのクラブがバイエルンを苦しめることになれば嬉しい」と語り、バイエルンの一強はリーグ全体の利益にならないと見解を示した。