厳しい表情で報道各社の取材に臨む自民党の森山裕幹事長(右)、小野寺五典政調会長(中央)ら=20日午後、東京・永田町の同党本部 第27回参院選は20日、投開票された。自民、公明の与党は改選66議席から大きく減らし、非改選と合わせた全体の過半数(125)を維持するのに必要な50議席は微妙な情勢。立憲民主党は改選22議席の確保をうかがう。国民民主、参政両党は躍進する見通しだ。与党が衆院に続いて参院でも過半数を失えば、石破茂首相(自民総裁)の責任論が強まるのは必至だが、首相は退陣を否定した。
首相はNHK番組などで「国家のために果たす責任と比較第1党の責任を自覚しなければならない。私が担っていく」と続投を明言。25%の米相互関税が8月1日に発動されることを踏まえ、対米交渉に全力を挙げる方針を示した。自民の下野も否定した。
一方、立民の野田佳彦代表は「民意は石破内閣に不信任を突き付けた」と指摘した。
選挙戦は物価高対策が主な争点となり、昨年10月に就任した首相の政権運営に対する評価が問われた。自公は昨秋の衆院選で少数与党に転落している。参院選でも有権者から厳しい審判が下されることで石破政権は政策遂行の基盤を失い、政局は混迷しそうだ。
首相は連立の枠組み拡大について「国の将来に責任を持つ方々と議論することは選択肢としてある」と述べた。ただ、野田氏は今回の結果を政権交代につなげたい考えで、「大連立はあり得ない」と強調。日本維新の会と国民民主も連立入りに否定的な立場を示した。野党側は公約に掲げた消費税減税の実現を迫るなど攻勢を強める構えだ。
自公の改選議席は66、非改選議席は75。自民は32ある改選数1の「1人区」の多くで接戦となっている。改選数2以上の「複数区」と比例代表でも苦戦しており、改選対象の52議席を大きく下回るのは確実。公明も改選14議席から減らす情勢だ。
立民は選挙区で議席を一定程度積み上げているが、比例は伸びを欠いている。
国民民主と参政は比例に勢いがあり、選挙区でも議席を獲得した。暮らしの現状や将来に不満や不安を持つ有権者の受け皿になったとみられる。
維新と共産党は選挙区と比例、れいわ新選組と日本保守党は比例で議席を得た。
総定数(248)の半数が改選対象。選挙区74、比例50と東京選挙区の非改選の欠員補充を合わせた計125議席が争われた。補欠選挙を除き、衆参両院選挙の投開票が連休の中日に行われたのは現憲法下で初めて。
参政が「日本人ファースト」を主張し、「排外主義」との批判が広がったことで、外国人政策も注目を集めた。

報道各社の取材を受ける石破茂首相=20日午後、東京・永田町の自民党本部

開票が始まり、取材に応じる国民民主党の玉木雄一郎代表=20日午後、東京都新宿区

開票が始まり、取材に応じる参政党の神谷宗幣代表=20日午後、東京都新宿区