外航船員は年収「約1,100万円」にも!海運業を支える「船員」の魅力を専門家が解説

1

2025年07月21日 06:10  TOKYO FM +

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TOKYO FM +

外航船員は年収「約1
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30〜7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

7月20日(日)の放送テーマは、「海の日30回記念! 魅力あふれる海と船乗りの世界」。国土交通省 海洋教育・海事振興企画室の野村秀さんから、海運業の重要性や船員の働き方改革について伺いました。


(左から)杉浦太陽、野村秀さん、村上佳菜子



◆海運業を支える船員が不足

毎年7月第3月曜日は、国民の祝日「海の日」です。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨として1996年に制定され、今年は記念すべき30回目にあたります。実は、海の日を国民の祝日としている国は、世界でも日本だけと言われています。

日本は海に四方を囲まれ、日々多くの恵みを受けています。その一方で、近年は“海離れ”の傾向が見られ、現在の海水浴客の数は、ピークだった1985年に比べて約10分の1にまで減少しています。その背景にはレジャーの多様化や美容意識の変化があり、「日焼けによるシミやシワが気になるので、海には行かない」といった声も多いようです。

さらに今、大きな課題となっているのが“船員の不足”です。船員とは、船の最高責任者である「船長」や船を操縦する「航海士」、エンジンなどの管理やメンテナンスをおこなう「機関士」など、船舶に乗り海上で働く人たちのことをいいます。「海に囲まれている日本にとって、物資を船で運ぶ海運業はきわめて重要な産業です。そうした海運業に携わる人のなかでも、とりわけ船員不足は深刻です」と、野村さんは現状を説明します。

安価で効率的に大量輸送ができる船は、日本の貿易の99%以上、国内貨物輸送の約4割を担っています。つまり、船員がいなければ、船は動かせず、私たちの生活に必要な多くの物資が届かなくなってしまいます。

◆船員の働き方・仕事内容を紹介

船員の収入水準は比較的高く、国内の貨物船で働く船員の年収は約700万円、海外との航路を担う船員では約1,100万円まで上がります。これは、飲食業や製造業などを含む全産業の平均年収約460万円と比べて大きな差です。

とはいえ、働き方は一般の仕事とは異なります。「船員さんは、出航すると数ヵ月から半年以上、家に帰れないこともありますが、船を降りた後にまとめて休暇を取ることができます。例えば、3ヵ月(船上で)働いた後に1ヵ月の休みを取り、自由気ままに旅を楽しむ船員もいます」と野村さん。

そんな船員の仕事は、“職員(オフィサー)”と“部員(クルー)”に大きく分けられます。職員は国家資格である「海技士」の免許を持ち、船長、航海士、機関士、通信士などとして船の運航を担います。部員は、そうした職員を補助し、船の作業を支える存在です。

そのなかで今、特になり手不足が顕著なのが、国内の港をつなぐ「内航船」の船員です。「内航船で運ぶのは、製品の素材から生活必需品まで実にさまざまです。また、内航船による貨物輸送は、トラックに比べてCO2の排出が極めて低く、省エネで環境にも優しいため、これからを担う輸送機関として非常に期待されています」と説明。現在、トラックの運転手も不足しているため、船などによる輸送に切り替えていく動きも社会全体で活発になっていることから、内航船への需要はますます高まっています。

◆船員に求められる力

大型船の運航は、潮の満ち引きを見極めて港に入るタイミングを決めたり、座礁しないように緻密な航路を設定するなど、高度な判断力と技術が求められます。さらに、岸壁への着岸や離岸の際も操縦経験と繊細な操作が必要です。

さまざまな知識と技術が求められる船員ですが、どの役割においても重要なスキルとして、野村さんは「コミュニケーション力」を挙げます。国土交通省が運営する海と船の情報ポータルサイト「海ココ」に掲載されている船員たちのインタビューでも、多くの人が“仲間との対話の大切さ”について語っています。

近年は女性の船員も徐々に増えているものの2023年時点での女性比率は、わずか約2%となっています。「これは“船の仕事は男の仕事”という古くからのイメージが定着していたことや、ハラスメントへの対応、出産・育児などによる退職への懸念もあり、事業者の女性船員採用に対する意識が低いことなどが、要員の1つだと思われます」と野村さん。こうした課題を改善するために、働き方が特殊な船員であっても、育児や介護に参加しやすい環境の整備であったり、ハラスメント対策にも力を入れています。

そして、船の仕事にもデジタル化と働き方改革の波が訪れています。例えば、どの作業が労働時間に含まれるのかを明確化したり、「操練」と呼ばれる非常訓練も労働時間としてカウントすることで、過重労働の防止が図られています。さらに、効率的なスケジューリングにより、船員一人あたりの労働時間は確実に減少しています。こうした取り組みを知ることで、より多くの人が船の仕事に関心を持つきっかけになるかもしれません。

また、7月21日(月・祝)には体験乗船もできるイベント「海の日記念行事2025」が東京・東京国際クルーズターミナルで開催されるなど、この夏は全国各地で海や船に親しむためのイベントが開催されています。野村さんは「全国のイベント情報は『海ココ』で調べることができます。ぜひ、海の日30回目の節目を機に、海や船の魅力を体感してみてください」と話していました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「海と船の仕事」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず、村上は注目ポイントとして“船員に興味を持ったら「海ココ」で検索!”と紹介します。続けて杉浦は“海の日30回記念 海と船の魅力をもっと知ろう”を注目ポイントに挙げ、「海と船の仕事について詳しく知りたい方は、海と船の情報ポータルサイト『海ココ』をご覧ください!」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



----------------------------------------------------
この日の放送をradikoタイムフリーで聴く
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm

動画・画像が表示されない場合はこちら

このニュースに関するつぶやき

  • 「マドロスとは恋仲になるな。港々に女がいるぞ」と言われたのも今は昔。コンテナで荷下ろし・荷積みもあっという間、着岸時間が短いので、もう修行僧の如き清らかな日々とか。
    • イイネ!2
    • コメント 2件

つぶやき一覧へ(1件)

アクセス数ランキング

一覧へ

話題数ランキング

一覧へ

前日のランキングへ

ニュース設定