絶対に行ってはいけない!? 世界の「無法地帯」大集合! 国から"独立"した街(デンマーク)、密輸天国(南米)、誘拐の島(フィリピン)、ギャングの支配圏(ブラジル)......!!

4

2025年07月21日 08:20  週プレNEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週プレNEWS

夏休みに海外旅行に出かける人は多いが、世界には危険な場所も多いもの。しかも、それらは意外と観光名所の近くにあったりもする。そこで、ヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸から4ヵ所の「無法地帯」をご紹介! 避けるか、試しに訪れてみるかは、あなた次第だ......。

《危険度》
★☆☆=注意が必要 
★★☆=危険 
★★★=絶対に近づいてはいけない 

【写真】本文で紹介した4ヵ所の「無法地帯」

* * *

■旧兵舎をヒッピーが占拠して"独立"!
危険度:★☆☆

北欧デンマークの首都コペンハーゲン。その一角にある「クリスチャニア」は、同国内にありながら、さながら異国のような存在感を放つ場所だ。

1971年、廃虚となっていたデンマーク軍の兵舎跡地にヒッピーやアーティストらが不法に住み着き、「自由の街」としての独立を宣言したのがクリスチャニアの始まり。それから50年以上、住民たちはデンマーク政府とは一線を画す「自主管理社会」の構築を続けてきた。

その結果生まれたのが、クリスチャニア独自のルール群。例えば、「暴力禁止」「ハードドラッグ禁止」「自動車の乗り入れ禁止」などといった禁止事項から、「個人の所有より共有を重んじる」といったコミュニティの価値観を示すものまで多岐にわたる。

クリスチャニアにはアーティストが多いこともあって、壁一面のグラフィティペインティングや音楽のライブ演奏、ベジタリアンのカフェなど、独特の文化が根づいている。それらが国内外の多くの人を惹きつけ、今や人気の観光地でもあるという。

しかし、デンマークに暮らすオーガストさんによれば、クリスチャニアの「自由さ」が逆手に取られてしまう事態もあったという。

「クリスチャニアにはよくギャングがウィード(大麻)を売りに来ていて、『プッシャー(売人)ストリート』と呼ばれる一本道が存在していました。

ただ、住人たちはそうした状況を良しとせず、昨年にその道の石畳を掘り起こして、麻薬取引現場を物理的に破壊してしまったんです。それによって、ギャングは一気に減りました。まさにコミュニティの力ですね」

オーガストさんによれば、現在のクリスチャニアは、「人間の創造性が爆発している場所」だという。

「冬には自分たちでスケートリンクを設営したり、クリスチャニアは『遊び場を自分たちでつくろう』という意識が強いですね。

また、最近は『オシャレで洗練された場所にしよう』っていうムードもあって、古い倉庫をリノベーションしたりして、魅力的なスペースがたくさんできています。

遊びに行くなら、フリーマーケットやコンサートなど、住民たちが自由に企画するイベントが多い夏がオススメですね。

クリスチャニアは本当に『好きなことをやってる感』があるので、自由を感じたい人や、アートに興味のある人には特にオススメです」

その一方で、もちろん注意点もあるという。

「デンマークという国全体は比較的治安が良いんですが、クリスチャニアはその中では少し注意が必要な場所です。行くなら日中が安心ですし、写真や動画をむやみに撮るのはやめておいたほうがいいですね。もしかすると、まだ一部にギャングのような人がいるかもしれないので......」

デンマークを訪れたときには、「自由の街」に行ってみるのもいいかもしれない。その際には、コミュニティのルールの尊重と、ギャングには十分注意しよう。

■旧世界遺産の裏に犯罪の温床!?
危険度:★☆☆

南米中央部でパラグアイ、ブラジル、アルゼンチンの3国が国境を接する地点―そこが「トリプルフロンティア」だ。

パラグアイのシウダー・デル・エステ、ブラジルのフォス・ド・イグアス、アルゼンチンのプエルト・イグアスの3都市がそれぞれの国境を形成しており、世界遺産「イグアスの滝」への観光拠点としても知られている。

しかし、そんなトリプルフロンティアを含む付近の国境エリアは、麻薬売買やマネーロンダリング、武器密輸などを行なう国際犯罪のネットワークが存在し、ブラジル系ギャングや、少数とはいえレバノンのイスラム教シーア派の武装組織「ヒズボラ」をはじめとしたさまざまなテロ組織が潜んでいるともいわれている。

アメリカ政府は同地を「テロと犯罪の温床」と呼んでおり、ネットフリックスで同地を舞台にした犯罪映画が製作されるほど悪名高い地だ(映画のタイトルも『トリプル・フロンティア』というシンプルさ)。

現在は各国の共同監視・摘発体制の整備が進みつつあるものの、いまだに観光地でありながら「犯罪者たちの玄関口」になっているといわれている。

「まさにダブルスタンダードな場所ですね」と語るのは、パラグアイに暮らす日本人のアイハラさんだ。

「イグアスの滝の観光で訪れる人もいれば、裏では密輸の話もよく聞きます。でも、危ない話に関わらなければ、平和で治安も良い場所ですよ。

パラグアイ側のシウダー・デル・エステは『南米の秋葉原』とも呼ばれていて、免税商品を求めてブラジル人が大挙して買い物に訪れます。市営バスでブラジル−パラグアイ間の国境を渡れるのでアクセスもいい。まあ、この『緩さ』が密輸などの犯罪にも向いているということなんですが」

パラグアイでは身分証明書やビザの取得が比較的簡単で、税関も緩いという。こうした制度の特徴を悪用して、犯罪組織のネットワークが根を張っているようだ。

「でも、イグアスの滝目当てで観光目的で訪れる分には問題ないと思います。パラグアイからブラジルに渡るときにパスポートの提示がいらなかったり、自由な雰囲気を楽しめますよ」

観光地と犯罪の温床、ふたつの顔を持つのがトリプルフロンティアだ。訪れるときは、表と裏の両面を知った上で足を運ぶべきだろう。

■武装勢力が潜む、誘拐と死の島
危険度:★★★

フィリピン南部・ミンダナオ島最西端の都市サンボアンガと、その南西に広がるスールー諸島の中心にあるホロ島は、かつてイスラム過激派「アブ・サヤフ」の拠点とされ、誘拐や爆破事件が頻発したことで、「無法地帯」の代名詞として語られてきた。

中でもホロ島は、「誘拐の島(Island of Kidnappings)」「死の島(Island of Death)」といった物騒な異名で報道されることも多い。

背景にあるのは、同地では中央政府による統治が長らく及ばなかったという事情だ。武装勢力による外国人誘拐事件は国際的にも注目された。

とりわけ20年ほど前、観光地パラワン島で観光客20人がアブ・サヤフに拉致され、ホロ島へ連行。結果的に数人が命を落とした事件は世界中に衝撃を与えた。

アブ・サヤフは「ほぼ壊滅状態」とされているが、現在も日本の外務省は「渡航中止勧告」を発出しており、フィリピン国内でも「行ってはいけない場所」として強く認識されている。

「ホロ島には、絶対に行ってはいけません」と語るのは、フィリピンに長く住むカミムラさんだ。

「『誘拐の島』という異名のとおり、あの地域は命のリスクがある場所です。僕の周りでも行った人はひとりもいませんし、観光で行くなんて選択肢にも挙がりません。

外から見えるキレイなビーチに油断したり、興味本位で近づいたりするのは、本当に危険です。そもそも行こうと思っても渡航手段が乏しいので難しいと思います」

一方、サンボアンガでは穏やかに暮らす住民が多く、文化的な魅力もあるという。

「サンボアンガのビーチは美しいし、イスラム教徒の住民が多いので、アジア最大規模のモスクを建設中です。モールやホテルも併設予定で、将来的には観光地として再評価される可能性もあると思います。

また、イスラム武装勢力の話を聞くと、人によってはイスラム教徒の方々に対して怖いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、フィリピンのイスラム教徒の方々はとても親切な人が多いですよ」

あくまで一部のイスラム教徒だけが過激化しているという点は忘れてはいけない。しかし、ホロ島には絶対に近づいてはいけない。

■ギャングが支配する南米最大の貧民街
危険度:★★☆

最後にご紹介するのは、ブラジルの貧民街(ファベーラ)だ。

ブラジル最大の観光地、リオデジャネイロ。特に「リオのカーニバル」が有名で、ビーチに囲まれた、活気にあふれる大都市だ。しかし、そんな都市でも、内部にはファベーラが点在している。

「現地に住む人々はどこからどこまでがファベーラかを把握している一方、観光客や部外者にとっては見分けがつきづらい」と、リオデジャネイロに住む生方さんは語る。

「日本人の駐在員などがよく住む高級住宅街の中にも、ファベーラは点在しています。ビルとビルの間の路地をショートカットしようとして、道の雰囲気が変わったと思っていたら、いつの間にかファベーラに迷い込んでいて強盗などに遭う、なんてことはよくあります」

そんな中でも南米最大の規模を誇るのがホシーニャだ。

「ホシーニャでは、コマンド・ベルメーリョ(通称CV)という麻薬組織が実質的に支配しており、麻薬取引、殺人、強盗、窃盗が日常的に発生しているといわれています。

2017年には、CVの敵対組織であるテルセイロ・コマンド・プーロ(通称TCP)がホシーニャを制圧しようと試み、大規模な銃撃戦が勃発しました。これ以降、ギャング同士の縄張り争いが続いています。

一方で、ブラジルの警察では汚職が蔓延しており、一部の警官はギャングとの裏取引にも関与しているため、住民は警察を信頼していません。警察の介入が銃撃戦を引き起こし、流れ弾で一般市民が命を落とすこともあります」

そんなホシーニャでは、政府の代わりにギャングが独自の法律すら作っている。

「ホシーニャは丘沿いにあるので、『丘の法律』ともいわれる生活上のルールがあります。市民同士のいざこざは、そうしたルールに基づいてギャングが解決してくれるので、多くの住民にとってはギャングのほうが警察よりも信頼できる存在です。

そのため、警察は持続的な治安維持が難しく、ホシーニャは無法地帯であり続けています」

聞けば聞くほど恐ろしい場所だが、なんと観光ツアーがあるらしい。

「実際に参加した友人は、初めは映画に出てくるような犯罪組織のアジトを想像していたものの、一般住民の暮らしぶりなどを見て、予想よりも普通の生活が広がっていたことに驚いていました。学校や病院もあったそうです。

ただ、『絶対にひとりでは入れない』と言ってました。私はツアーであっても観光はオススメしませんね。何が起きるかわかりませんから」

以上、世界の無法地帯をご紹介してきた。もし訪れる際は、外務省などの情報を参考にしながら、万全な準備の上、自己責任でお願いしたい。

取材・文/おかけいじゅん 写真/Getty Images

このニュースに関するつぶやき

  • いや絶対に行ってはいけない場所は、まずは北半島、そして露助、中国でしょ。無法よりも、極悪な国家権力が怖い
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(4件)

アクセス数ランキング

一覧へ

話題数ランキング

一覧へ

前日のランキングへ

ニュース設定