
俺が「長男だから」と言うたびに、両親は「そんなに気負わなくていい」と言っていたが、それでも「そうは言っても頼りにされているに違いない」なんて思っていた。だけどそう簡単にはいかなかった。とくに「シズクには弟さんがいるだろう」と言ったときの冷たい視線は、今でも鮮明に覚えている。シズクは「長男だから」という理由に納得してなかったんだ。


両親が帰ってから、シズクにかなり叱られた。反省する姿勢を見せても、「私の言葉ではわかってくれなかったのに、お義父さんたちに言われるとすぐ納得するんだね」と言われて何も言い返せなかった。今さら悔やんでもあとの祭り。どうしようもない。一度壊れてしまった俺への信頼は、完璧に戻ることはないのだろう。

父の退職を機に、シズクに仕送りを提案した。シズクもわかってくれると安易に考えていたんだ。でもシズクは納得してくれなかった。
両親が突然来たときは衝撃だった。親孝行のつもりが、一番大切にしないといけないはずのシズクを傷つけ、両親にまで迷惑をかけてしまった……。
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原案・ママスタ 脚本・motte 作画・吉田ぱんだ 編集・みやび