術後すぐの頃。右目の視力には問題がなく、物が見えている【今日のにゃんこタイム〜○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.180】
「片目であるがゆえにできないことはありません。狭いところも勢いよくスポンと入るし、高いところもピョンピョン登ります。猫と暮らすのは初めてですが、多分、他の猫ちゃんと同じ生活をしていると思います」
そう話すfeelingoodsさん(@feelingoods1)の愛猫ドンチッチちゃん(通称:どんちゃん)は、お気に入りの猫じゃらしを咥えながらふみふみするというユニークな癖を持つ子。
出会いは、2018年6月14日。午前4時頃、飲食店で飲み終えた旦那さんは帰宅中、子猫の鳴き声を耳にしました。
◆飲みの帰り道に「泣き叫ぶ子猫」と出会って…
旦那さんがあたりを見回ると、大通り沿いにある植え込みの上に小さな子猫の姿が……。植え込み上は子猫が自力では上がれない高さだったため、母猫が置いていったのか、それとも誰かに遺棄されたのかなと、旦那さんは思ったそうです。
懸命に声を振り絞っていた子猫は抱き上げた途端、静かになり、安心したかのように眠り始めました。
月齢は生後2〜3週間ほどで、体重はわずか300g。右目は潰れて開かず、左目は眼球が飛び出ていました。
子猫は、モゾモゾと動く程度。とても衰弱しているように見えたため、夫婦はすぐに救急動物病院へ。すぐに左目の眼球摘出手術が行われました。
◆子猫のお迎えを機に、ペット不可物件から引越し
手術によって子猫は左目の眼球を失いましたが、命は紡げました。白濁していた右目は点眼を続けたところ、2ヶ月ほどで綺麗な状態に。飼い主さん夫妻は子猫に「どんちゃん」という名前を贈り、家族の一員として正式にお迎えしました。
ただ、当時住んでいた物件はペット不可だったため、早急にペット可の物件を探すことに。希望する条件に合う物件はなかなか見つかりませんでしたが、どんちゃんが2ヶ月半くらいの頃、ようやく希望に合う物件を発見。
家賃は4万円増えましたが、飼い主さんはようやくペット可物件を見つけられたことに安堵しました。
◆真っ白な被毛に愛しい「焦げ」が増えて
顔や耳、手足、尻尾以外は真っ白だったどんちゃんは、生後6ヶ月頃から毛色が変化。お尻周りがうっすら茶色に焦げ始めました。
シャム系猫特有の被毛の変化は成長につれて顕著になっていき、1歳頃には背中にも焦げが。季節によって焦げ方が薄くなるなどのシャム系猫特有の被毛を、飼い主さんは興味深く観察し続けています。
「最近は、全体的に背中が茶色っぽくなってきて、縞模様がぼやけてきました。お腹と胸は真っ白です」
◆闘病も経験し、今は穏やかな日常を過ごす
今でこそ、穏やかな日常を送っている飼い主さん家族。しかし、過去には去勢手術時に使用した糸でアレルギーを起こすなど、大変な出来事が多々ありました。
「その時はニャンタマに血が溜まり、腫れてしまったので血抜きのため、通院をしました」
また、お迎えから1年ほど経った2019年には「好酸球性肉芽腫」という病気に。この病気は、猫の皮膚や口腔にしこりや脱毛などの炎症が起きます。
どんちゃんの場合は、口周りが赤く腫れてしまいました。舐め壊し、全身が血だらけになることもあったため、術後服を着せ、皮膚を守りました。今は食事に気をつけつつ、少量の服薬を継続しています。
なお、4歳の頃には飼い主さん家族と共に九州へ移住。きっかけは、コロナ禍で仕事がフルリモートでできるようになったこと。将来を考え、お互いの両親がいる地元へ戻ることにしたのです。
悩んだのは、移動手段。飛行機かフェリーのどちらにしようかと悩んだ末、選んだのは3人で一緒に移動できるフェリー。少しでも、どんちゃんに安心してほしいという思いからでした。
移動時間は、約1日。当日、どんちゃんはフェリー内でソワソワし、夜通し鳴き続けたそう。飼い主さんらは抱っこしながら、話しかけました。
「でも、外が明るくなった頃には、みんな疲れて寝落ちしていて(笑)起床後、どんちゃんは慣れたのか、ご飯を食べ、排便もし、楽しそうに遊んでくれたので安堵しました。一生に一度の大冒険で忘れられない思い出です」
◆リモートワークでより甘えん坊に!“恩人”のパパが特に大好き
引越し後も変わらず、どんちゃんはお喋りと遊ぶことが大好きな甘えん坊さん。隙あらば、飼い主さんの膝上に乗ったり、体の一部をくっつけてきたりします。
「リモートワークになり、一緒にいる時間が長くなったことで、より甘えん坊に。特に好きなのは、パパです。トイレなどで一瞬いなくなるだけでも大きな声で鳴きます(笑)」
猫じゃらしを取ろうとすると、犬みたいに「ニャワンッ」と吠えるところもかわいい……。そう一挙一動を褒めているからか、どんちゃんは自分の名前が「かわいい」と勘違いしている節もあるのだとか。
「仕事で行き詰まったり、へこんだりしても、どんちゃんがいるだけで元気が出ます。どんちゃんと会えなかった人生を考えたら、寂しい。ベッドで一緒に寝ている時間は、本当に癒し。一緒に暮せなかったら味わえなかった幸せです」
限界な体で自ら声をあげて助けを求めた、どんちゃん。その勇気とたくましさで掴んだ「幸せな暮らし」が、これからも長く続きますように。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291