26年2月6日のミラノ・コルティナ五輪開幕まで、21日で200日前となった。フィギュアスケート女子でシニア1季目の中井亜美(17=TOKIOインカラミ)が単独インタビューに応じ、冬の祭典への思いを明かした。新潟で生まれ、千葉県船橋市のMFアカデミーで腕を磨く23年世界ジュニア選手権銅メダルの新星。大技トリプルアクセル(3回転半)を武器に、18年平昌五輪の坂本花織以来2人目となるシニアデビュー即五輪の夢を目指す。【取材・構成=勝部晃多】
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シニア1年目。いきなり夢舞台を目指す高校2年生の中井に、臆する心はみじんもない。「『失うものはない』という気持ちでいきたい」。グランプリ(GP)シリーズは、初戦のフランス杯、第3戦カナダ大会と最大の2戦を確保。17歳は「まずはGPでどう戦えるのか試したい」と、わくわく感にあふれている。
スケートを始めるきっかけに、五輪があった。4歳の頃。両親がつけたテレビに、10年バンクーバー五輪で滑る浅田真央さんが映っていた。銀メダルを獲得した演技を紹介する切り抜き動画。「自分もやってみたい。キラキラな衣装を着たい」。たちまち心を奪われ、翌年に地元新潟市に開業したリンクで競技を始めた。
幼少期から原動力は「負けず嫌い」だった。「何事でも絶対に負けたくなかった」。正月に家族で楽しむかるたや運動会のリレーなど全てでNO・1にこだわった。その情熱が一番に発揮される場所がリンクだった。小6で初出場した全日本ジュニア選手権は6位に入賞も、「このままではダメだ」と一念発起。小学校卒業を機に母と地元を飛び出し、千葉・MFアカデミーで研さんを重ねてきた。
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浅田さんが得意とした3回転半は、小6で初着氷。大技を武器に、中2の全日本選手権で4位、23年世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得し、ホープとして注目された。だが、中3のシーズンは腰痛の影響で全日本選手権出場を逃すなど挫折を経験。「一瞬で全てがなくなった」とどん底を味わった。それからは、練習後のランニングや苦手だった野菜を取るなどイチから習慣を見直した。「この時期に経験しておいてよかった」と前向きに捉えられるようになり、昨年12月のジュニアGPファイナルで表彰台に乗って返り咲いた。
いつも逆境を成長の糧にしてきた。今季の開幕直前、昨季から継続予定だったフリーが著作権の問題で使用できないと判明。新曲の制作を余儀なくされ、初戦は8月以降の競技会にずれ込む誤算を強いられた。それでも、どんな時も原点の「楽しむ心」は忘れない。「五輪は憧れの選手がいっぱい出ている場所。出たいという思いはすごくある」。全力でシーズンを走り抜けた時、夢舞台に立つ自分がいると信じている。
◆中井亜美(なかい・あみ)2008年(平20)4月27日、新潟市生まれ。5歳で競技を始め、18年の全日本ノービス選手権Bクラスで優勝。21年にMFアカデミーに拠点を移し、中庭健介氏に師事。中2の22年に全日本選手権で4位となり、23年世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得。通信制の勇志国際高に進学した24−25年は、3年連続で出場したジュニアGPファイナルで3位。150センチ。
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