11頭が1億円超えの高値で落札されたイクイノックス産駒 間近で見た識者が語る「意外な評価」

0

2025年07月23日 07:20  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

セレクトセール2025/当歳馬編

 北海道苫小牧市のノーザンホースパークで、(社)日本競走馬協会が主催する日本最大級の競走馬のセリ市「セレクトセール2025」(7月14日、15日)が開催された。

 2日目の15日には当歳馬のセッションが行なわれ、イクイノックスをはじめ、タイトルホルダー、シュネルマイスター、グレナディアガーズ、さらに愛ダービー馬のウエストオーバー(英国)といった馬たちの初年度産駒も上場された。

 なかでも注目を集めたのは、国内外のGIで6連勝を飾って、2023年にはIFHA(国際競馬統括機関連盟)の選定するワールドベストレースホースランキングで1位となったイクイノックス産駒だ。

 上場されたのは、全24頭。最初に登場したキャンプロックの2025が2億3000万円(税別。以下同)で落札されると、5億8000万円で取引されたミッドナイトビズーの2025を筆頭に、実に11頭が1億円超える高値で落札された。

 最終的にセールで取引されたのは、23頭。1頭あたりの平均落札額は1億5500万円と、当歳セッション全体の平均落札額、およそ7500万円の2倍以上となった。

 この背景には、もちろんイクイノックス自身の競走成績やそのレース内容における高い期待もあるが、イクイノックスの父であるキタサンブラックの評価の高さもある。実際、キタサンブラック産駒はセール2日間で22頭が取引され、1頭あたりの平均落札額は1億9000万円強と、昨年よりも7000万円以上上昇。同産駒のクロワデュノールが圧巻のレースぶりで今年の日本ダービーを制したことも、その後押しとなったことは間違いない。

 こうした点については、牧場やセリ市にも積極的に足を運ぶ、デイリー馬三郎の木村拓人記者もこう語る。

「もともとキタサンブラック自身、種牡馬としての評価が抜けて高かったわけではありません。一度は種付け料も下がるほどでした。それが、イクイノックスやソールオリエンス、クロワデュノールなど、産駒の活躍とともに一気に(その評価が)上がってきた形なんですよね」

 事実、キタサンブラックの種付け料は、初年度が500万円。翌年が400万円で、4年目には300万円まで下がっていた。しかし昨年から、一気に国内最高額の2000万円まで跳ね上がった。現在これと同額なのは、キズナとイクイノックスだ。

 さて、肝心のイクイノックスの産駒について話を戻そう。実際のところ、初年度産駒の評価はどれほどのものなのか。木村記者が同産駒の率直な印象を語る。

「(祖父の)キタサンブラックっぽいところが出るのかと思っていたら、脚の長さのバランスなどは思ったよりもイクイノックスが出たなぁ、という印象です」

 そのことについては、セレクトセールに立ち会った、あるクラブ馬法人のスタッフも同意見で、「(イクイノックス産駒は)キタサンブラックとはまた違ったスラッとした形で、イクイノックスのような成長曲線がイメージできます」と語っていた。

 同スタッフは続けて、セールでの同産駒の高評価の要因についてこう語る。

「イクイノックス自身、過去最高レベルの競走成績を残していることに加え、2歳時からも高い競走能力を発揮。スピード競馬にも対応できていたことも大きいと思います。

 あとは、こういった展示やセリにかけられている時に、(イクイノックス産駒は)パレードリング(パドック)でしっかり立てていました。そうした様子から、かなり扱いやすいと受け止められたことも高い評価につながったのではないでしょうか」

 となれば、デビューを飾る2年後が楽しみだが、今回取引された各馬は期待どおりの活躍を見せられるのだろうか。木村記者は、こんな見解を示した。

「今回高値で取引された馬は、どれもバランスのいい馬、という印象です。ただ、父親のように爆発的な成績を残すのは、(現状で)万人受けするような、みんながみんな『いい馬』と思う馬体のタイプではなく、少し特殊な馬のような気がします。

 言葉にするのは難しいのですが、キタサンブラックやイクイノックスが若い頃はゆるい印象だったのが、古馬になってからしっかりしたような、そんなタイプが活躍するのではないでしょうか」

 2年後、絶大な注目を集めるであろうイクイノックス産駒。いきなりターフを沸かすような"大物"が登場するのか。その動向から目が離せない。

◆セレクトセール、国枝栄調教師が「手がけてみたい」と思った馬>>

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定