打撃練習するロッテ・藤原恭大[撮影=岩下雄太]※撮影日=24年10月29日◆ 大きな好不調の波なく前半戦を終える
「良いとは思います」。
ロッテの藤原恭大はプロ7年目の今季ここまで、故障で離脱することなく一軍でプレーし、打率と安打数はリーグ7位の.278、79安打、盗塁はリーグ8位の10盗塁、出塁率はリーグ9位の.343、同じく得点圏打率もリーグ9位の.321とリーグ上位の成績を残して前半戦を終えた。
藤原は昨季3月10日のソフトバンク戦で自打球を受け『右膝蓋骨骨折』により、開幕一軍を逃したが、今季は「去年は怪我しましたけど、今年は最初からいるので、怪我しないように1年間しっかり一軍で活躍したいなと思います」と故障することなく開幕を一軍で迎えることができた。
3月28日のソフトバンクとの開幕戦、「チャンスだったので早めのカウントから変化球を狙って振りに行くことができました。ランナーを返すことができてよかったです」と、2−1の6回一死二、三塁の第3打席、有原航平が1ボールから投じた2球目のチェンジアップをライト前に2点適時打を放てば、続く7−1の8回無死走者なしの第4打席、津森宥紀が3ボール2ストライクから投じた8球目の外角のストレートを逆らわずに反対方向に二塁打。開幕戦で2安打2打点と最高のスタートを切った。
開幕直後は“左投手”が先発の時はベンチスタートが多かったが、スタメン出場した試合は4月3日のオリックス戦が1安打、4月8日の西武戦が今季初の3安打、4月11日のソフトバンク戦が4安打し打率は驚異の.526を記録。
昨季は「追い込まれてからは逆方向しか狙っていない」と話していたように、4月11日のソフトバンク戦は4安打中3安打が追い込まれてから逆方向に放った安打だ。「内容と結果が一致しているのでいいかなと思います」と手応えを口にした。
4月13日の取材で藤原は「打ち方であったり、メカニック、引き出しは確実に良くなっているので、去年もある程度数字を残せたので、波は少なくなっているなというのは確実にありますね」と“引き出し”が増えたことが好不調の波が小さくなった要因のひとつに挙げていたが、“引き出し”を増やしたことでの打席内でどんなメリットが出てきたのか5月5日の試合前練習後の取材で訊くと、「悪いなりにヒット、四球が出ているので良いのかなと思います」と自己分析。
◆ 1番に固定
6月4日の交流戦初戦となった巨人戦から打順がほぼ1番に固定された。1番打者として意識していることについて、「特にないですけど、出るか出ないかで変わるので、チームに勢いをつけられたらいいなと思います」と話す。
『1番・ライト』で先発出場した6月13日のヤクルト戦、1−1の2回一死一、二塁の第2打席、奥川恭伸が3ボール1ストライクから投じた5球目の外角のストレートを見送り四球を選び、続く寺地隆成の2点適時打に繋げた。
得点には繋がらなかったが、4−4の6回二死二塁の第4打席、田口麗斗が3ボール2ストライクから投じた6球目の外角のスライダーをしっかりと見極め、チャンスを広げた。
そして、先頭で迎えた4−4の9回の第5打席、「後ろにいいバッターの寺地がいたので、塁に出たらなんとかしてくれるかなと思ったので、ヒットで出れて良かったです」と、バウマンが3ボール2ストライクから投じた6球目の155キロのストレートをセンター前に運びチャンスメイク。
続く寺地の1ボールからの2球目に二塁盗塁を試み、一度はアウトと判定されるも、リクエストで判定が覆り二塁盗塁成功。山本大斗の打席中、1ボール2ストライクからの4球目が暴投となり二塁から三塁に進み、続く5球目も暴投でサヨナラのホームを踏んだ。
リーグ戦再開後も、初戦となった6月27日のソフトバンク戦、『1番・センター』でスタメン出場し、0−0の3回一死一、二塁の第2打席、モイネロが2ストライクから投じた4球目の127キロカーブをライト前に運ぶと、1−1の7回二死一、二塁の第4打席、モイネロが1ボール2ストライクから投じた4球目の144キロストレートをセンター前に弾き返す安打で、今季15度目の複数安打を達成した。
交流戦に入ってから1番で起用されるなど、開幕から試合に出続ける中で、「入りとか変化球を投げきているので、そう感じるところはありますね」と攻め方の違い、マークが厳しくなったと感じる場面が出てきたという。追い込まれてからのバッティングに関しては、「大きくは変わらないですけど、相手が投げてくるところを早めに潰せたらいいなと思います」とのことだ。
◆ 追い込まれてから逆方向意識も引っ張りも増える
追い込まれてからセンターから逆方向の意識を常々口にしていた中で、6月22日のDeNA戦、9−6の5回無死走者なしの第4打席、石田裕太郎が2ボール2ストライクから投じた5球目の129キロのスライダーをライトスタンドに放り込んだり、7月5日のオリックス戦でも5−2の9回一死二塁の第5打席、権田琉成が2ボール2ストライクから投じた5球目のインコース136キロチェンジアップをライトオーバーの適時三塁打を放つなど引っ張った長打が増えてきた。
そこに関しては「意識的には変わっていないですけど、浮いた変化球、緩い変化球は勝手にタイミングが早くなって引っ張れているのかなと思います」と明かした。
「良い時も悪い時も変わらずにやっています」と自身のルーティンを日々行い試合に挑み、大きな好不調なく前半戦を終えた。
23日、24日に開催される『マイナビオールスターゲーム2025』にも、補充選手として初出場を決めた。第1戦が京セラD大阪、第2戦が横浜スタジアム、オールスターが終わると、26日からエスコンフィールドで日本ハムとの2連戦と移動が多く、体調面が気になるところ。「(オールスターは)初めてなので楽しみながら。日程もハードなので、色々考えながらやっていけたらいいなと思います」。ちなみに、試合に出続ける中で、疲労回復のために「水風呂入ったり、睡眠を取ったりやっています」と教えてくれた。
藤原にはオールスターでの活躍はもちろんのこと、今季自身が目標に掲げた“規定打席到達、打率3割、10本塁打”クリアすることが期待される。「やることは変わらず、今まで通りやっていきたいと思います」。オールスター、そして後半戦も打線を引っ張っていく。
取材・文=岩下雄太