それまで趣味だった編み物を仕事にした女性が、技術職である「ニッター(編み手)」の仕事内容や収入について語った動画がYouTubeで注目を集めています。普段趣味で編んでいる作品の出来にも驚く声が上がり、動画の再生数は記事執筆時点で5万9000回を超えています。
投稿したのは、YouTubeチャンネル「しらたまknit | Shiratama knit」にて、主に棒針編みの動画を発信している「しらたま」さん。動画ではニッターについて話していますが、依頼元の企業・クライアントによって条件はさまざまであり、あくまでしらたまさん自身の体験に基づく話であることを強調しています。
またニッターと呼ばれる仕事にも種類があります。しらたまさんの場合は、発売前のパターンを編んで間違いなどをチェックする「テストニッター」ではなく、依頼されたデザインの製品を製作して報酬を得るタイプとなっています。
現在2社から依頼を受けているというしらたまさん。事前にその納期や1枚あたりの単価を確認してから受けるかどうかを返答し、依頼を受けた場合は、パターンや材料、サンプルなどが届いてそこから編み始めるとのこと。
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納期は作品1枚あたり、2週間〜1カ月程度。サマーニットなどは2〜3週間で、冬物で模様が凝っている製品などは1カ月以上なのだそうです。
しらたまさんは本業があるため、作業時間は本業がある日は2時間ほどで、休日は5時間ほど。しらたまさん自身は締切がある仕事は苦手で、納期のプレッシャーを感じながらも、今のところ間に合わせることができているので、「そこまで厳しいわけではないかも」と話しています。
そして気になる報酬については、セーター1枚あたり約1万円前後。編む量が少ないものは1万円を切ることがあり、模様が凝ったものなどは1万円を超えることもあるそうです。これが業界の平均的な相場なのかどうかはわかりませんが、時給換算するとどうしても低くなってしまう面はあるようでした。
それでも続けているのは、好きなことを仕事にできる喜びや、自分が編んだものが世に出回るといった部分にやりがいを感じているから。また、普段触れない工業糸を使えたり、本のデザインにはない凝った作品を編めることも魅力だとしています。
一方で、編み物の腕に自信がある人や、報酬を妥協したくないプロ意識の高い人にとっては、この報酬では厳しいと感じるかもしれないとも語っています。
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しらたまさんがニッターを始めたきっかけは、友人がニッターの仕事を始めたと聞いたことから。その友人は同じく本業があり、特に資格を持っているわけではなかったため、「自分にもできるかもしれない」と思い、それからSNSでニッター募集を探すようになりました。
資格が必要だったり、その会社が実施しているニッター講習を受けて修了するのが条件だったりと、募集によっていろいろ条件があるものも。しらたまさんはそれらが必要ないものを探して複数応募。なお、なかには返事がないところもあったとか。
そんななかで担当者と面談した際には、自身の作品を持参して見せたことも。その担当者によると、ゴム編み止めといった処理がしっかりできているか見ていると話していましたが、それが採用の基準かどうかはわからないとのことでした。
ただ、やはり趣味の編み物とは異なり、仕事ではきれいに編むことはもちろん、ゲージを正確にとる、糸を汚さないといった技術や配慮が必要になるので、そのあたりは事前にチェックされることになりそうですね。
動画では、ニッターの仕事で編んでいるものは原則公開してはいけない決まりになっているとのことで、しらたまさんが自分用に編んでいる作品を公開しています。こちらはデザイナーのCaitlin Hunterさんがデザインした「Halibut」という名前のセーターで、まだ製作途中ですが、模様も含めてとてもきれいに仕上がっており、そのクオリティーの高さから普段の丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。
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動画には「ニッターのお仕事、とても興味があります!」「とても興味があるお話でした。私はアメリカに住んでいるのでそういう仕事があるか分かりませんがあったらやってみたいなと思います」と、副業としてやってみたいとの声が寄せられ、また編み途中の作品に「お魚の模様すごいですね」「今編んでおられるセーター観て驚き 立派なニッターさんだと確信致しました」など称賛の声も届いています。
しらたまさんはニッターとしての仕事を始めてから、棒針編み講師認定講座を受講。同チャンネルでは、入門科を修了してからの感想なども動画で発信しています。作品はInstagramアカウント(@shiratamaxknitting)やX(Twitter:@shiratamalll)でも見ることができますよ。
画像提供:YouTubeチャンネル「しらたまknit | Shiratama knit」さん
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