凍結口座から現金詐取か 虚偽の公正証書作成依頼も 容疑で3人逮捕

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2025年07月28日 11:18  毎日新聞

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毎日新聞

警視庁本部庁舎=米田堅持撮影

 特殊詐欺で使われて取引が停止された凍結口座から資金を引き出したとして、警視庁犯罪収益対策課は28日、コンサルティング会社「スタッシュキャッシュ」(東京都渋谷区)の実質的経営者、林竹千代(61)=横浜市神奈川区高島台=と同社代表の井上達雄(73)=東京都杉並区和泉4=の両容疑者ら男性3人を詐欺と公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕したと発表した。


 他に逮捕されたのはシステム関連会社「Recrutas(リクルタス)」(東京都台東区)元代表で中国籍の李小暢容疑者(37)=埼玉県川口市芝4。警視庁は、林容疑者らが強制執行の制度を悪用して、凍結口座から現金を引き出すのを請け負ったとみている。


 逮捕容疑は共謀して2024年8月、東京都中央区の銀座公証役場で、スタッシュ社がリクルタス社に現金650万円を貸し付けたとする虚偽の内容の公正証書を公証人に作成させ、この公正証書を使ってリクルタス社名義の凍結口座を差し押さえる強制執行を東京地裁に申し立て、口座に残っていた約610万円をだまし取ったとしている。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。


 警視庁によると、リクルタス社名義の口座は継続的に投資詐欺事件の被害金が入金されており、24年3月に警察の要請を受けて凍結されていた。


 李容疑者は同年5月にリクルタス社の代表に就任。警視庁は、李容疑者が凍結口座を調達し、林容疑者らが凍結の解除手続きをして現金を得ていたとみている。


 詐欺やヤミ金融業などの犯罪に使われた疑いのある口座は、被害の拡大防止や回復のため、振り込め詐欺救済法に基づき金融機関が凍結できる。ただ公正証書を基に裁判所に申し立て、裁判所が差し押さえを命じれば、裁判の判決と同様に凍結を解除でき、口座から債権を回収できる。


 今回は井上容疑者らスタッシュ社側が、リクルタス社との金銭の貸借がないにもかかわらず、李容疑者と公証役場に出向き、虚偽の公正証書を作成させていたとされる。【長屋美乃里、菅野蘭】



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