米EU、関税戦争回避=15%で妥結、日本合意も影響

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2025年07月28日 21:01  時事通信社

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時事通信社

 【ワシントン、ブリュッセル時事】長くもつれた米国と欧州連合(EU)の貿易交渉は27日、EUに対する関税を15%とすることで妥結した。合意を急ぎたい米国に対し、EUは巨額投資や市場開放で折り合いをつけ、関税戦争による混乱を回避した。直前の日本との合意が「手本」となった可能性がある。

 「多くの国々が関わる巨大な合意だ」。トランプ大統領は27日の会談で、こう強調した。EUのフォンデアライエン欧州委員長も「厳しい交渉を伴う大規模な合意だ」と評価した。

 思うように進まなかったEUとの交渉に、トランプ氏は幾度となくいら立ちをあらわにしてきた。5月には突如、関税を50%に引き上げると迫り、停滞打開を図った。

 トランプ氏は今月中旬には、合意が近づく中でも新たな関税を30%にすると通告、「EUとの貿易は不公平だ」と圧力をかけた。合意に至ったのは6カ国・地域にすぎず、期限を目前に交渉を加速させたい焦りも出ている。

 一方、EUは交渉による打開を目指しつつ、2段階で報復関税を準備。経済的威圧をかける国に発動可能で、最終手段とされる「反威圧措置」として、デジタルサービスへの課税などもちらつかせ、硬軟両様の姿勢で協議に臨んだ。

 27の加盟国を抱えるEUにとって、対米貿易を巡る各国間の温度差も交渉を難航させる要因だった。米国への輸出依存度が低いフランスのマクロン大統領は安易な妥協は控えるべきだと主張。一方、自動車輸出の多いドイツは、自国への影響回避のため「遅くて複雑な合意より早くてシンプルなものにすべきだ」(メルツ首相)と早期合意への圧力を強めていた。

 ロイター通信によれば、EUの交渉団は米国との首脳会談を前に、日本の担当者らから事情を聞いたとされる。EUと同様、自動車関税の見直しなどを求めた日本の交渉は今月22日、15%の関税とすることで電撃的に決着した。日米合意によって、EU内で妥結を急ぐ機運が高まった。 

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