35年住宅ローンの契約後…→まさかの退職&世界一周を決意した3児ママ。その理由と”収入源”とは

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2025年07月29日 08:50  女子SPA!

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おかんトラベラーさんと、家族のみなさん。アメリカのデッドホースポイント州立公園にて(以下、写真はすべておかんトラベラーさんからの提供)
 こんにちは。コラムニストのおおしまりえです。

 今回ご紹介するのは、「世界一周したい!」という心の声に気づき、それに従い、当時5歳、3歳、1歳の子どもを連れて、家族5人で世界一周旅を達成した、インスタグラマーの「おかんトラベラー」さん(37歳・@okan.momtraveller・以下おかんさん)のお話です。

 おかんさんは自宅のローンを組んだことをキッカケに、自分の本当にやりたかったことを探し、“旅”というキーワードを見つけました。

◆バックパッカー経験なし。英語ほとんど話せなかった

 もともと旅行が好きだったとはいえ、おかんさんにバックパッカーなど、自分で組み立てる旅の経験はなく、英語もほとんど話せなかったそう。また、初めての子連れ海外旅がこの世界一周でした。

 そのルートは1か国目のタイをスタートに、ヨーロッパの国々を満喫。北アメリカ大陸へ移動し、キャンピングカー移動もしながら南アメリカ大陸へと突入。エクアドル・ペルー・ボリビアと大自然を満喫し、合計14か国の旅を終えました。

 前回インタビューでは、具体的な準備がどう進んでいったのか紹介しました。今回は旅の準備や、旅に対する家族のリアルな反応などを、詳しく聞いていきます。

◆世界一周最大の壁は「ルート問題」

「世界一周」と聞くと、どこかロマンチックに聞こえるものです。

 でも実際は、旅のルートをどうするか、予算はどう組むか、どの国にどれだけ滞在するか……という“地味で膨大な計画作業”が待っています。おかんさんも例外ではなく、この計画作業はかなりのハードルを感じていたようです。

「正直、日本での準備はルート決めが一番大変でした。素人じゃ無理だったと思います」

 辟易していたおかんさんですが、そんなとき救世主となったのが、知人の紹介で出会ったのが12年で世界150か国を巡った『旅人マッサージ師のマサシさん』でした。おかんさんは彼が大阪に来るタイミングで、自宅を宿として提供し、その代わりにルート相談を4か月にわたりお願いしたそうです。

「旅では『世界一周航空券』(複数の都市を一方向に移動しながら、複数の航空会社を使って地球を一周できる特別な航空券)を使いました。しかしこの航空券には、利用できるフライトの区間数や有効期間(通常は1年)などに制限があります。

そのため、世界一周航空券を使った移動手配に加え、細かい移動も個人手配をしなくてはいけません。その辺りを全部自分たちできめなくてはならず、かなりハードです。旅の素人だと、ルートは決められても、滞在日数や細かい移動手段は決めにくいので、マサシさんに相談しながら進めました」

 おかんさんはInstagramで、今までの旅や世界一周への挑戦について、発信を早い段階から始めていました。その結果、2年の準備期間中に世界各地で活躍する旅仲間たちとつながり、さらに繋がりの輪を広げていったそう。

「最終的に、何か国かに1人は知っている日本人がいる状態で、出発ができました。また、マイルの知識もなかったので、仲良くなった友達に教えてもらいました」

 こうして一つひとつ壁をクリアし、おかんさんの旅は、夢から現実の計画として、動き出していったのです。

◆「育休中に旅する」予定は、まさかの方向転換へ

 おかんさんの旅は、最終的に200日の長期旅になりました。普通の会社員であれば、200日間の旅に行くなら休職か退職の二択になりそうですが、その辺はどう調整をしたのでしょう。

「当時は、3人目の育休中に旅に出る予定でした。結果として、3人目を授かり、そのまま育休中に旅する予定だったんです。でも、結果として出発の2か月前に退職をしました。理由は、その組織では副業ができなかったからです。

当時からInstagramのフォロワーさんは3万人ほどに増え、ある程度の収益化の目処もたっていました。しかし、副業禁止だから、発信活動も思ったようにできない側面があったんです。そこで、思い切って辞めることにしました」

 もともとは、65歳まで働くことを決意しローンを組んだはずのおかんさん。まさかそこから、退職して世界一周するとは、ご自身も方向転換の大きさに驚いたことでしょう。では、おかんさんは時間の目処がついたものの、会社員の旦那さんは当時どうやって200日という時間を捻出したのでしょうか。

「夫は、会社の育休制度を8か月使って旅に出ました。旅の最中も育児は当然しますし、夫の職場では、彼が初めて育休を取得した男性社員だったそうです。それもあり、世界一周旅の話も含めて、会社は快く送り出してくれました」

 昨今、男性の育休取得率は上がっていますが、まだまだ周囲の目や、内部の反対によって、決断できない人もいるといいます。そんな中、こうした選択は、多くの男性に勇気を与える一歩かもしれません。

◆わが子に知って欲しいことは「世界は広い」という感覚

 ところで、皆さんは「旅育」という言葉を知っていますか。旅を通して子どもの成長を促す活動を指すそうです。

 子どもを連れて世界一周を選択するおかんさんの中には、こうした経験をさせたいとか、学び取ってほしいことなど、旅育の狙いは何かあったのでしょうか。

「正直なところ、この世界一周旅は旅育目線はあまり持っていませんでした。そもそも、当時子どもの年齢は5歳、3歳、1歳です。彼らにこの旅の記憶が鮮明に残ることは、ほぼないだろうと思っていました。だから、こういう事をさせたいとかではなく、世界にはいろんな人がいて、いろんな考え方があるんだって肌感で伝われば良いと思ったくらいです。

もし今後、悩む事があったときに、世界は広いから、自分が合う場所は世界のどこかに必ずあるから大丈夫って、そういう捉え方ができればいいですよね」

 現在は、旅から戻って約1年半がたちます。おかんさんが願った唯一の旅育の狙いは伝わっているのか。子どもたちはどのように成長しているのでしょう。

「世界は広いって感覚は、3人全員にある程度伝わっている気がします。子どもの成長ですが、末っ子は人見知りをせず、見ていると『人は愛でできている』ってことを、体感で学んでいる感じがします。

上の子2人は、世界の広さを知ると同時に、日本の素晴らしさを実感していましたね。日本は清潔だし、水はどこからでも出てくるし飲めます。その当たり前を、ありがたいことだって理解できたようです。あとは、世界一周したという自信もついたみたいですね」

 帰国後は、食事の好き嫌いは減り、なんでもしっかり食べる子になったそう。子どもたちなりにも、大きな価値観の変化があったようです。

◆「子連れには今しかできない旅がある」

 世界一周となると、子育てがなかったとしても、ルート選択や資金、休暇の取得など、やるべきことは山積みです。そこをあえて子育て中に選択したのには、おかんさんなりのポリシーがあるのだと教えてくれました。

「常々言っているのですが、『子連れには今しかできない旅がある』と思っています。確かに、育児の大変さや、子どもの教育を考えたら、旅は今じゃないかもしれません。子どもは旅のことを忘れてしまうかもしれません。でも、親が覚えているなら良いんじゃないかなって、私は思うんです。

また、子どもの中で旅の記憶が消えても、心の中には多くの経験が刻まれています。だから何も残らないことはありません。子どもが大きくなってから旅行しようと思っていると、気づくと夏休みでしか行けなくなったり、子どもと自分の興味がズレていて、一緒に楽しむことができにくくなります。子連れには今しかできない旅があるから、行きたいって気持ちがあるなら今行って欲しいなと思います」

<取材・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518

このニュースに関するつぶやき

  • 金さえあれば海外旅行など誰でもできる。と思ってたけど、まだまだ特別な事だと思っている人がいるらしい。やりたきゃガンガンやればいい。
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