2025年上半期の急上昇キーワードランキングは、「AI」関連キーワードが上位3位を占めた。プレスリリース配信サービスを運営するPR TIMES(東京都港区)が発表した「2025年上半期キーワードランキング」で分かった。
●人材育成や研修が年々増加 人的資本の取り組みが広がる
同社のサービスでは、プレスリリースを発表する企業が内容に関連するキーワードを最大10個まで登録できる。1月1日〜5月31日までに発表されたプレスリリース総計17万6625件を対象にデータを分析した。キーワード登録総数は27万2895種。
2025年上半期のプレスリリースで、前年より1.5倍以上増加したキーワードを集計した「急上昇ランキング」では、1位が「AI」で7261件(前年比53.5%増)、2位が「生成AI」で4022件(同64.4%増)だった。
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3位の「AIエージェント」は870件で、前年の87倍に急増した。2023年以前はほとんど使われていなかったものの、2025年に一気に注目を集めた形だ。2023年の生成AIブームを受け、2024年にはビジネスや行政分野での実証や実装が加速。2025年は企業によるAI活用が本格化し始めた。
AIエージェントのプレスリリースは、実務レベルの業務支援から自社専用AI環境の構築、プラットフォーム化、教育活用まで多様化し、単なるトレンドではなく本格的な導入期へと移行したことがうかがえる。
4位の「大阪・関西万博」と5位の「万博」も、協賛や出展、関連するお土産の発売などの発表がけん引し、件数を伸ばした。12位の「介護」は816件で、介護用商材のほか、AIを活用したサービスの発信もあった。
8位の「新店舗」は、前年比約2.1倍の1005件と、過去最多となった。都市部の再開発や地方都市での施設刷新、インバウンド需要の高まりなどが背景にある。
出店件数が前年より増加した地域をみると、東京都が1.8倍、大阪府が2.4倍と大都市での出店が目立つほか、宮城県や広島県など地方都市でも顕著な伸びが見られた。宮城県では大型商業施設のリニューアルに伴い、出店件数が7.5倍に急増している。
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政府の地方創生SDGsや地域商業再生など、都市再整備とともに、店舗開発を情報発信のテーマとする企業が増えているようだ。発信内容としては、「体験型」や「専門特化型」など新業態の出店が増え、商業施設側との協業施策の強化によるリテール戦略の多様化も進んでいる。
年々増加傾向にあるキーワードについては、「人材育成」「研修」「組織開発」など、人を育てる取り組みや人事に関連した件数が伸びている。特に「研修」は2024年が482件、2025年は799件と、前年と比べて1.6倍以上に伸びている。
こうした動きの背景には、人的資本開示の義務化を受けた動きや企業の人材不足対策への投資、研修プログラムや支援サービスの発表が活発化していることが挙げられる。各社の独自研修制度や新設した研修施設などに関する発表もあり、離職防止の観点からも事業成長につながる取り組みを発表しているようだ。
新年度の4月をまたぐデータということもあり「入社式」関連の発表も多かった。2019年には39件だったものの、2025年は過去最多の156件という結果に。「業務効率化」や「DX」も増加していることから、企業の人手不足に対して業務改善への対策に動いている様子がうかがえる。
●上半期総合2位「AI」、1位は?
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2025年上半期総合では、1位が「イベント」(8031件)、2位が「AI」(7261件)、3位が「新商品」(6587件)だった。月別のランキングでは、5月にはAIがトップとなり2年1カ月振りにイベントが1位の座から下りた。
8位には「生成AI」(4022件)が入り、AI関連の注目度の高さがうかがえる。5月には「夏」が15位にランクインし、夏の暑さに向けた商品発売の発表が増えていることが考えられる結果となった。
注目のキーワードについては、「老舗」と「アクセシビリティ」が挙げられた。老舗は2025年は122件で、2024年の59件から約2.1倍に増加している。従来の事業とは異なる新商品やサービスについての発表が目立った。発信企業も48社から73社へと拡大している。
関連ワードの「伝統工芸」も158件から273件へと約1.7倍に増えた。老舗事業者による新たな取り組みが活発化している。
アクセシビリティは、2024年は47件だったものの、2025年は114件と約2.4倍に拡大した。製品やサービスの利用しやすさを高めることで、社会的包摂性や企業の信頼性向上につなげる効果がある。機能アップデートの際に「アクセシビリティ」を絡めて発表するプレスリリースも増えている。
(小松恋、アイティメディア今野大一)
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