好調な蹴り出しを見せたのは鈴鹿8耐絶対王者の高橋巧(Honda HRC)だったが、國井勇輝(SDG Team HARC-PRO. Honda)が3コーナーで仕掛けてオープニングラップを制する。その後方には7番手スタートのグレッグ・ブラック(YOSHIMURA SERT MOTUL)が3番手につけ、有力候補のYAMAHA RACING TEAMとAutoRace Ube Racing Teamは大きく順位を落としていた。
序盤から各所で転倒やトラブルが相次ぐなか、開始30分ほどでHonda HRCの高橋がトップを奪い返し、1時間を前に昨年と同様に27周目でルーティーンピットをこなしてヨハン・ザルコへとバトンを繋いだ。粘りを見せていたSDG Team HARC-PRO. Hondaの國井は2番手へドロップするも、順位をキープしてピットを完了。ただ、各車1度目のピットのタイミングでYAMAHA RACING TEAMが先行し、トップを追いかける形となった。
各車がルーティンピットを終えて2時間が経過する頃、Honda HRCのザルコが後方に早くも10秒以上引き離す一方で、EWCフル参戦組には次々と悲劇が襲いかかる展開に。F.C.C. TSR Honda Franceはエンジンブローにより、早期リタイアを決断。さらにヨシムラSERT MOTUL、YART – YAMAHA、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMの転倒が相次ぐ。
そのなかで安定したペースとピット作業を続けるトップ3のHonda HRC、YAMAHA RACING TEAM、SDG Team HARC-PRO. Hondaは淡々と周回をこなしていく。後方には前年度王者のヨシムラSERT MOTULが燃費の良さを活かして4番手まで順位を回復させ、フル参戦組の意地を見せる。
さらに5時間経過する頃には、YAMAHA RACING TEAMのジャック・ミラー、そしてHonda HRCのザルコが2分06秒台を叩き出し、世界で活躍するMotoGPライダーが躍動。長丁場のレースでガチンコタイム合戦を繰り広げらる彼らの姿に、多くの観客が熱狂した。
終盤にかけて優勝争いが混戦状態へと持ち込まれるかとも思われたが、約15分ほどのSCランを経てリスタートが切られると、Honda HRCの高橋は猛プッシュ。2分06秒670のコースレコードを叩き出して再びリードを広げ、YAMAHA RACING TEAMの追撃を許さない。さらにその後方でも表彰台争いが勃発。好走を披露していたSDG Team HARC-PRO. Hondaと同一周回のヨシムラSERT MOTULが、SC導入を機にすぐ背後まで迫っていた。
ただ、すぐには決着が付かず、接近戦のまま残り1時間が経過していく。そのなかでヨシムラSERT MOTULが先に動きを見せピット作業を終了させた。その後まさかの2度目のSC導入となり、荒れ模様に。これを機にHonda HRCは高橋からザルコへとマシンを託すも、ピットレーンが一時的に封鎖され、YAMAHA RACING TEAMがいる集団の後方で復帰することとなり、リスタート後はトップが入れ替わることに。
ロカテッリを先頭に19時を前に200周に到達すると、その後ミラーへと引き継がれチェッカーを目指す。そこで最後のピットを終えているHonda HRCは再びトップの座を取り戻し、ラストスパートへ。さらに、SDG Team HARC-PRO. Hondaも最後のピットを終えると同時に、先に済ませていたヨシムラSERT MOTULが表彰台圏内に姿を現した。
SC導入がブーストとなり各所でバトルが展開され、順位が入れ替わり混戦を極める。さらに残り15分ほどでBMWモトラッドがTeamATJ with docomo Businessをパスして5番手と、終盤にEWC勢が牙を向く。ラストスティントを託されたライダーたちは、直走りチェッカーまでマシンを運んでいく。
2位にはチームとしては6年ぶりの参戦ながらも、中須賀を筆頭にミラー、ロカテッリと強力ラインアップで臨み圧倒的な速さを見せたYAMAHA RACING TEAMが表彰台を勝ち取った。3位は序盤に転倒があったとは思えぬ勢いで中盤以降に猛攻を見せたヨシムラSERT MOTULが続いた。フル参戦組としては、今季苦戦を強いられていたが、チャンピオンシップを考慮しても嬉しい表彰台となった。
4位は一時トップを奪い、終盤まで表彰台圏内を守り切っていたSDG Team HARC-PRO. Hondaが続いた。惜しくも終盤にトップ3から離脱したものの、戦闘力の高さを示した。5位はBMWモトラッド、6位はAutoRace Ube Racing Team、7位はTeamATJ with docomo Business、8位はKawasaki Webike Trickstar、9位はElf Marc VDS Racing Team/KM99、10位はHonda Asia-Dream Racing with Astemoというトップ10となった。
SSTクラスはポールスタートのTeam Étoileが、フル参戦組ならではの強さを発揮。一時はピット作業時にタイムロスでポジションを落とすも、顕著な追い上げで再びトップの座を奪取しレースを牽引。他者の転倒が相次ぐなか、終盤にはクラス優勝経験のあるTONE Team 4413 EVA 02 BMWが迫り、首位争いが激化。SCのタイミングで同時ピットを遂行し、リスタート後には直接バトルへと移行されたが、Team Étoileがトップをキープし見事トップでチェッカーを受けた。
フル参戦2年目Team Étoileにとっては初優勝、そして初の鈴鹿8耐においての頂となり、嬉しい結果となった。2位はTONE Team 4413 EVA 02 BMW、3位はRevo-M2が続き、表彰台を獲得した。暫定ではあるが、55チーム中14台がリタイア、41台がチェッカーまでマシンを運んだ。