「一番電車」の再現運行を終えた「被爆電車」の156号=9日午前、広島市中区 1945年8月6日に米国が投下した原爆で損傷し、その後修理された「被爆電車」の156号が9日、5年ぶりに広島市内の本線を走った。原爆の被害で路面電車は全線不通となったが、懸命の復旧により被爆3日後には一部区間で「一番電車」が運転を再開。被爆80年の節目で、広島電鉄(広電)が156号を使って当時の運行を再現した。
25年製造の156号は広電が保有する車両で最も古く、現在は営業運行をしていない。車軸が2本のみの今では貴重な「二軸車」で、車体は丸みを帯びている。156号は今回、一日限定で原爆ドーム前や「一番電車」が走った区間の一部などを客を乗せずに走った。沿道にはカメラを構える大勢の人の姿があり、広島県府中町から来た藤附裕矢さん(16)は「一度は見てみたい車両だった。感動しました」と話した。