元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのモーリス・オブストフェルド氏(米ピーターソン国際経済研究所提供・時事) 【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は、トランプ米政権の高関税政策をきっかけとする経済・金融秩序の変動に関し、次期政権以降も「世界は長期にわたって元に戻らない」という可能性を考慮する必要性を訴えた。日本に対し、アジアや欧州諸国との連携強化を促した。10日までに時事通信のインタビューに応じた。
オブストフェルド氏は、米政権が高関税や政府債務膨張といったドルの信認を損なう政策を展開していると問題視。「貿易相手国を米国以外との統合深化へ向かわせる」と分析した。
日本に対し、「包括的および先進的な環太平洋連携協定」(CPTPP)や、東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国(ASEANプラス3)といった経済連携を「強化すべきだ」と訴えた。
今後の国際通貨体制については、基軸通貨ドルの地位がやや低下し、ユーロや人民元の存在感が増す「多極化」時代を予想。ドルの信認低下を招くような米国の政策もあり、特に人民元の「将来性は大きい」と評価した。
オブストフェルド氏は米有力シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」のシニアフェロー。日銀金融研究所の海外顧問を歴任した。