有害鳥獣として捕られ、焼却されていたシカをドッグフードに 命を奪い続けることに疑問を抱いた猟師の選んだ道

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2025年08月11日 16:10  まいどなニュース

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犬用ジャーキーにするため、さばいたシカ肉をスライスする泉さん(舞鶴市河原)

京都府舞鶴市で猟師として活動する男性と京都市でコンサルティング業を営む男性がタッグを組み、有害鳥獣として捕獲されるシカのジャーキーをドッグフードとして販売する事業を始めた。新鮮なシカ肉を加工する安全性とおいしさが強みで、デザインやブランディングにも力を入れている。

【写真】発売した舞鶴産鹿肉の犬用ジャーキー

舞鶴市ではシカによる農作物の被害が深刻だ。対策として市が市内の猟友会に依頼しているシカの捕獲数は2023年が1777頭で、4年前の2倍超に増えた。市によると、猟友会への報償や焼却処理の財政負担は大きくなっているという。

本業のドライアイス販売の傍ら約10年前から有害鳥獣の捕獲に従事する泉政徒さん(54)は、こうした状況を知りシカを活用することを考えた。捕獲、焼却処理して命を奪い続けることに疑問を持っていたことも背景にあった。

当初は食用ジビエを検討したが、衛生基準の厳しさなどからドッグフードに変更。同市河原地区に新設した作業場は、費用負担を考え自分たちで建てた。泉さんは「軽い気持ちで始めたが、やってみると大変だった」と話す。

取引先を通じて泉さんと出会ったnullkyoto(ナルキョウト、京都市中京区)代表江口紀文さん(42)は、「思いに共感して自分も一緒にやりたいと思った」。ビジネスとしても可能性があると見通し、同社の新規事業としてシカ肉のドッグフードを展開するブランド「Rawto(ロウトゥ)」を立ち上げた。

4月に販売を開始してからは、加佐地域で捕獲されたシカの一部を泉さんが新鮮なうちにさばいてスライスし、乾燥機でジャーキーに加工。利用者からは「鮮度が良く雑味がないからか、食いつきもすごく良い」と人気という。販売やPRは江口さんらが担い、スタイリッシュな包装のデザインやホームページ(HP)での発信にこだわっている。

泉さんは「なんとか販売開始までこぎ着けた。これから販路を確立して事業を軌道に乗せたい」と意気込む。

(まいどなニュース/京都新聞)

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このニュースに関するつぶやき

  • 先ずは人間が生きること、その次に命を無駄にしないこと。順番は明確だろ。義父が猟師(自称)だったので、ジビエは色々と食べた。駆除した命は何かに活かしたいよね。
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