

子どもたちが全員帰ったあと、保育室の掃除をしていた私。すると園長先生は作業をしながら、私に向かって静かに話しはじめました。「親御さんもね、きっと辛いと思うの」先ほど私がハヤトくんのお母さんに言ったことを聞いていたのでしょう。

「頑張っている親御さんのために、私たちができることを考えましょう。親を待っている子どもが寂しくないように、きっとまだできることがあるはずよ」私の脳裏に、いつも全速力でお迎えに来るハヤトくんのお母さんの姿が浮かびます。
園長先生に言われ、私はハヤトくんの家庭に踏み込みすぎてしまったことに気が付きました。いくら寂しがっているハヤトくんが辛そうで見ていられなかったとはいえ……保育士として行きすぎた発言でした。園長先生の言葉が心に突き刺さり、自分の言ったことが急に怖くなってしまいます。
ハヤトくんのお母さんはいつも全力で走って保育園に駆け込んできます。ハヤトくんのため、1分でも1秒でも早くお迎えに来たいと思ってくれているはず。私はあまりに安易に発言してしまったことを、後悔してもしきれなかったのでした。
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