
機械トラブルにより、国産つまようじが危機に瀕している。
【写真】こちらが問題の「つまようじを製造する機械」…買い換えるのは大変なようです
河内長野市でつまようじを製造する菊水産業株式会社がポストした「50年位前の機械で、不良率が高くて辛い」との投稿に応援の声が集まった。
北海道で白樺の丸太から加工された30cmほどの棒を、つまようじの長さである6cmになるよう5等分するための機械に不具合が発生。目視かつ手作業による検品の負担が膨大になり、なんとか製造は続けられているが廃棄も増え厳しい状態だという。菊水産業株式会社4代目社長の、末延秋恵さんに現状について話を聞いた。
――機械を修理、または買い替えるのは難しいんでしょうか?
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末延:丸軸型の国産つまようじを製造するのは全国でわずか2社。かつて20社以上あった製造メーカーもほとんど廃業し、地場産業としては弊社が最後の1社です。製造専用の機械メーカーもなくなったので、新品ならフルオーダーメイドが必須で予算は数千万円。単価の低いつまようじで、大きな投資に踏み切れる状況ではありません。中国製の機械もありますが、日本の規格とは違う点や、メンテナンスの不安もあります。もともと日本から広まった製造技術なのに、今では機械を逆輸入しなければならないというのは、なんとも複雑な思いです。現在1件、機械屋さんが見にきてくれることが決まっているので、直るかどうかは分かりませんが期待しています。
――国産の魅力は?
末延:北海道産の白樺原木を使用し、薬品処理を行わず自然素材のままなので安心してお使いいただけます。繊維がしっかり詰まっているので丈夫で折れにくく、先端も潰れにくいのが特長です。お客様からも「木の香りが心地いい」「口に入れるものだから国産の方が安心」と好評なんですよ。
――国産つまようじを守る意義は?
末延:機械だけでなく、材料となる木材の確保も困難になりつつあります。環境、人材不足、後継ぎ、バイオマスへの対応など、問題は多く難しい。これは国産材を使っている木工業全体に共通する悩みだと思います。地場産業は「家族が食べていけたらいい」という思いで続けてきた家族経営の小さな会社も多い。昨今では次第に立ち行かなくなり、高齢化とともに廃業してしまうケースも増えています。
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当社も小さい会社な上、4年前もらい火による火事で全焼。それでもたくさんの人に支えられて、何とか再建することができました。その経験から、今回も乗り越えられるはず、と信じています。これからは “夢のある仕事”にして、業界を発展させていくのが目標。もっと可能性を広げ、国産つまようじなど、小さなものづくりに大きな価値を見出していきたいです。
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SNSでは「ベテランの修理工が見つかりますように」「東大阪や尼崎あたりの町工場に修理できる人はいないのか」「国産つまようじを買って応援するしかない」など心配する声が多く寄せられた。
(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)
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