対ロ貿易・人的交流が拡大=関係強化に慎重論も―旧満州

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2025年08月26日 15:02  時事通信社

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中国・黒河とロシア・ブラゴベシチェンスクを結ぶ黒竜江大橋=3日、中国黒竜江省黒河
 中国の東北地方がロシアとの貿易・人的交流を拡大させている。旧満州国時代を含め、長年にわたって激しく対立してきたが、近年は融和ムードが高まる。国境に架かる橋も次々と整備された。一方、ロシアに対する警戒感は払拭されていない。

 中国黒竜江省の黒河。アムール川を挟んでロシアと隣り合う国境の街では8月、至る所でロシア語が飛び交っていた。川の遊覧船で働く60代の男性は、向こう岸への移動が厳しく規制されていた1980年代に「ソ連は遠い国だった」と振り返る。

 ところが、2022年に中ロを結ぶ初の道路橋が開通。対岸のブラゴベシチェンスクとの間では、川をまたぐ初のロープウエー設置に向けた工事も進む。黒河に住む40代の男性は、来年開業すれば「不動産価格がきっと上がる」と声を弾ませた。

 相次ぐ交通網整備の背景にあるのは国際情勢の劇的な変化だ。ウクライナ侵攻を理由に欧米から制裁を受けたロシアは、原油や天然ガスの販路を求めて中国に接近。北京の外交筋は「ロシアはかつて安全保障の観点から、中国との間を結ぶインフラ整備に及び腰だった。だが、他に頼る国がなくなったことで対中傾斜にかじを切った」との見解を示す。

 24年の中ロ貿易総額は侵攻前の21年と比べ7割近く増加。両国の陸路貿易の大半が東北地方で行われており、この地域の経済に恩恵をもたらしているようだ。遼寧大学の専門家は昨年11月の論文で、経済の冷え込みで苦しむ東北地方にとって、ロシアとの協力が「発展に向けた唯一の道になる」と訴えた。

 ただ、関係強化には懐疑的な見方も出ている。欧州連合(EU)は今年7月、対ロ取引が多い黒河農村商業銀行など中国の2行を新たに制裁対象に指定。米国も対ロ制裁を維持しており、「過度な対ロ接近はプラスにならない」(共産党関係者)といった声が漏れる。

 歴史的な不信感も拭えていない。ロシアはかつて、中国大陸に進軍を繰り返し、幾度となく領土を切り取った。中国建国後も中ソが衝突。黒河郊外の博物館には、中国が失った領土を紹介するコーナーが設けられていた。

 「ロシアは信頼できる国ではない。今はお互いに利用し合っているだけだ」。タクシー運転手の男性はこう言い切った。 

中ロ国境を流れるアムール川。対岸はロシアのブラゴベシチェンスク=4日、中国黒竜江省黒河
中ロ国境を流れるアムール川。対岸はロシアのブラゴベシチェンスク=4日、中国黒竜江省黒河

このニュースに関するつぶやき

  • 最後の最後で「ロシアは信頼できる国ではない」って言っているのに吹いた(笑)中国人って自国の事を何も知らないよね(笑)世界一嫌いな国、第1位を5年連続して獲得しているのに(笑)
    • イイネ!8
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