特殊清掃員が明かす「夏に特殊清掃の依頼が増えるワケ」。遺族が“ついやりがちな行動”で請求額が跳ね上がることも

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2025年08月30日 09:20  日刊SPA!

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 夏場の特殊清掃員は仕事が増える。これは単に依頼が増加するというだけではなく、夏特有の事情が関係している。孤独死の現場に遭遇してしまったときに、“ついやってしまう行動”が仇になることもあるそうだ。
 都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、夏場の特殊清掃事情について詳しい話を聞いた。

◆夏に特殊清掃の依頼が増えるワケ

 臭いが強く出やすい気温というものがある。

「夏は暑いので遺体が腐りやすく、悪臭が出やすいイメージを持つ方が多いと思います。ですが、実際には1年を通して臭いが強まりやすい“環境”があります。それが、気温が20度から30度の間のときなんです。

 この温度帯では、ふだんは隠れている臭い成分が表に出やすくなります。たとえば“多孔質物質”と呼ばれる、網目状の細かい穴がたくさん空いている素材。木枠やドアなどに使われるのですが、その穴に臭いの成分が入り込み、浸透・吸着することで強い臭いを発するようになるんです」

 つまり、気温が高い季節は穴が開きやすく、どうしても臭いが強くなってしまうという。

「冬場でも暖房をつけっぱなしの部屋では、夏と同じ理由で臭いが発生しやすいです。ただ夏はとにかく臭いが外に漏れやすいので、特殊清掃の依頼が増えます。『今すぐ来てほしい』『とにかく臭いをなんとかしてほしい』といった要請が多いですね。

 僕自身は最近、現場の最前線に行く機会は減りましたが、この時期はどうしても人手が足りません。1日1〜2件は“見積もりと同時に清掃を開始する”といった急な出動案件が入ってきます」

◆臭すぎて「いますぐなんとかしてほしい」

 夏場は遺体の腐敗スピードも早く、孤独死に気づきやすい。

「本来は死後3日から4日くらいでガスが充満してきて腐敗臭がしてくるのですが、エアコンが付いていないと、死亡した当日に腐敗がはじまることもあります。また夏場は窓を開けていたりする家も多いので、近隣の方への二次被害が多く、緊急性が高くなってきます」

 遺体の腐敗臭は独特で強烈なため、「いますぐなんとかしてほしい」といった依頼になりやすい。

「夏場は臨機応変に対応しなくてはいけない現場が多く、忙しくなりがちです。電話で状況を聞いて、いますぐ行かなくてはいけない案件なのか、後回しにしていい案件なのかを見定めたりします。

 とにかくフットワークを軽くしておかなくてはいけないので、すぐに動ける待機の人員を多めに確保したりと、なかなか大変です」

◆特殊清掃時に感じる“臭い”とは?

 ところで、遺体の腐敗臭とは、一体どんなものなのだろうか……。

「豚肉をジップロックに詰めて、常温で3ヶ月放置して開けたときの臭いがそっくりでした。“魚が腐った臭い”とかいう表現をよく使いますが、似て非なるものかなと思います。他には卵をジップロックに入れておき、それが腐ってガスが発生すると、袋がパンパンに膨れ上がるんです。これを開封して嗅いだときに似ています」

 特殊清掃時に感じる臭いは、いくつかのパターンがあるという。

「吐血が混じったパターンは、血生臭い感じになります。僕的に特殊清掃での独特の臭いだと思うのはこのパターンですね。あとは湿気が多い家だと、いわゆるドブや下水のようなじめっとした感じになることがあります。お風呂場とかトイレとか水場で亡くなられたケースはこれです」

 また体格や男女の違いでも腐敗臭には特徴が出やすい。

「体の大きい人で脂肪がすごい人は腐敗臭も強くなります。体が大きい人だと腐食する部分が増えるというのは当たり前の話ですが、体が大きければ腐敗臭がすごいというわけではありません。キツい感じになりやすいのは脂肪分です。なので、平均的には男性より女性の方が筋肉が少なく、脂肪分が多くなるので、そのぶん腐敗臭もキツくなる傾向にあります」

◆孤独死の発見時に“ついやってしまう行動”が悪臭の原因に

 臭いの原因については、第一発見者がやりがちなことで、特殊清掃業者的には絶対にやってほしくない行動があるという。

「お客様の行動によって、臭いがこびりついて、取れなくなってしまうことがあるんです。孤独死が見つかったあと、ご遺族の方や不動産業者の方が共通して“ついやってしまう行動”。それは、腐敗臭が充満していて臭いので、換気扇を回してしまうことです。換気扇をつけてしまうとダクトが腐敗臭を吸って、ダクトの中の油分などとくっついてしまいます。すると、どう足掻いても臭いが取れなくなり、ダクトを全取替しなくてはならなくなり、作業代金が高くなってしまいます」

 他にもやってほしくない行動があるという。

「換気のために窓を開けることですね。近隣の方に臭いが漏れてしまうので、クレームにつながります。臭すぎて洗濯物を干せないとか、精神的苦痛を受けたとか。ひどい場合は、賠償請求をされることもあります。『特殊清掃が終わるまで臭すぎて家に住めないからホテル代を出してくれ』とか。

 なので孤独死現場に遭遇したら、何か自分で対応しようと思うのではなく、すぐ業者に相談することが大切だと思います。また、特殊清掃員の姿が見えたら、臭いがひどくなくても管理会社にクレームを入れて賠償請求する人もいたりいるので、なるべく特殊清掃をしていると悟られないように我々も動くことを意識しています」

<取材・文/山崎尚哉>

【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦

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  • 昔ワーカーしてた時に何度かあの香りを嗅いだことがあるけど2〜3日は鼻の奥にあの香りがこびりついて食べ物の味がバカになった記憶があるなあ
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