<陸上:世界選手権>◇第3日◇15日◇東京・国立競技場◇男子3000メートル障害決勝
日本記録保持者の三浦龍司(23=SUBARU)が8位となり、2大会連続入賞を飾った。決勝で8分35秒90。最後の1周で一時は3位に立ち、同種目日本人初のメダルまで1秒34差。表彰台を視界にとらえる激走だった。世界大会入賞は21年東京五輪7位、23年ブダペスト大会6位、24年パリ五輪8位に続いて3年連続4度目となった。
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残り100メートル。最後の水濠(すいごう)を越えた三浦の目は、日本人初のメダルをとらえていた。「届くかも」。5万人超の観衆の声が背中を押す。
「応えたい。走り切りたい」
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ただ、テーピングを何重にも巻いた右足首が耐えきれない。大会前から痛みは増していた。高さ91・4センチの最後の障害物を越えると、体がよろめく。次々と追い越されていった。
結果は8位。世界大会で4度目の入賞にも「メダルが見えたかもという一瞬があった。その分、悔しさは大きい」と顔をしかめた。
かつての自分が重なる。日本海に面した島根・浜田市で育った中学生のころ。自転車で転倒して左手を骨折したことがあったが、ギプス姿で出場した県内の陸上大会で優勝をさらった。
「腕がよく振れたんだよ」
不安な表情の周囲を冗談で笑わせた。困難に屈しない強さは、今も変わらない。
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高校から始めた3000メートル障害は、障害物を28回、水がたまった水濠を7回越える過酷な競技。この日も海外勢と競り合いながら、残り700メートルで入賞圏外の9位に落ちたが、そこから3位まで再浮上した。
「絶対にメダルを獲得する自信もあった」
闘争心をかりたて、右脚首の痛みをこらえながら駆け抜けたが、届かなかった。メダルまで1秒34差だった。
ただ、三浦は前を向いた。
見えたメダルの色は−。
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「欲張って、金メダルが見えたと言っておきたい」
口角を上げながら、報道陣を和ませた。
「自分はさらに成長できるんじゃないかなと思う」。
メダルはお預けとなったが、この経験がまた自分を強くする。【藤塚大輔】
◆三浦龍司(みうら・りゅうじ) 2002年(平14)2月11日生まれ、島根・浜田市出身。浜田東中−京都・洛南高−順大。箱根駅伝4年連続出走。自己ベストは1500メートルが3分36秒59、5000メートルが13分26秒78。好きなすしのネタは「えんがわ」。趣味は映画鑑賞。身長168センチ。
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