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2025年09月18日 16:01 ITmedia PC USER

天空は9月17日、中国AYANEO製のポータブルゲーム機「AYANEO FLIP 1S DS」と「AYANEO Pocket DS」を国内で販売することを発表した。発売はFLIP 1S DSが11月、Pocket DSが12月の予定で、9月17日から同社が運営する「ハイビーム」各店舗と公式オンラインストア、Amazon.co.jpで販売予約を受け付けている。ハイビーム公式オンラインストアでは、9月30日までの予約で通常価格の5%引きで購入できる特典と、専用ケースをプレゼントする特典を用意している。
この記事では、9月17日にハイビーム秋葉原本店で行われた「お披露目会」で展示された実機を交えて両機種を紹介する。
●Windowsベースで2画面の「AYANEO FLIP 1S DS」
AYANEO FLIP 1S DSは、Windows 11 Homeを搭載したポータブルゲーミングPCだ。2024年にリリースされた「AYANEO FLIP DS」の後継機種で、メインディスプレイが有機ELとなった他、サブディスプレイのサイズが3.5型から4.5型に大型化している。
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日本ではAPU(GPU統合型CPU)やメモリ/ストレージ容量の異なる3モデルが用意され、ボディーカラーはエントリー/ミドルモデルが「シャドウブラック」、アッパーモデルが「レトロパワー」となる。ハイビームでの通常販売価格は以下の通りだ(括弧内は9月30日までに予約した場合の価格)。
・エントリー(Ryzen 7 8840U/16GBメモリ/1TB SSD):16万8000円(15万9600円)
・ミドル(Ryzen AI 9 HX 370/32GBメモリ/2TB SSD):25万8000円(24万5100円)
・アッパー(Ryzen AI 9 HX 370/64GBメモリ/4TB SSD):28万8000円(27万3600円)
APUはRyzen 7 8840UまたはRyzen AI 9 HX 370を搭載している。AI(人工知能)の演算を担うNPUをより強化したRyzen AI 9 HX 370も選べるようになったことは、先代からの大きな強化ポイントといえる。
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メモリとストレージ(PCI Express 4.0接続SSD)の容量は、モデルによって異なる。最上位モデルでは64GBメモリと4TB SSDを備えているので、ゲームで遊ぶのはもちろん、写真や動画の編集も快適にこなせる。
メインの有機ELディスプレイのパネル解像度は1920×1080ピクセルで、リフレッシュレートは最大144Hz、sRGB色域カバー率は150%、DCI-P3色域カバー率は110%、輝度は最大800ニトという仕様となっている。タイトル次第だが、ゲームを滑らかな画面で楽しめるのは良い。
サブの液晶ディスプレイは1620×1080ピクセルのIPSパネルを採用している。「ちょっと変則的な解像度だな」と思った人がいるかもしれないが、これはレトロゲームをプレイすることを念頭に置いてアスペクト比を3:2としたためだ。
このパネルはsRGBの色域カバー率は130%で、輝度は最大550ニトという仕様となっている。
サブディスプレイは普通にWindowsにおけるサブディスプレイとして動作する他、AYANEO独自の管理コンソール「AYASpace」やソフトウェアキーボード、マウス操作をするためのソフトウェアタッチパッドなどを表示できる。これらは物理ボタンで切り替えられるので、使い勝手が良い。
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本体はゲームコントローラー(パッド)一体型で、2基のジョイスティックは「TMR電磁式」を採用している。このジョイスティックの応答速度は最短1ミリ秒で、ドリフトしにくく精度も高めている。機能ボタン類はサブディスプレイ下部にまとめることで、アクセスしやすさを向上している。
マウス操作はジョイスティックやサブディスプレイ(ソフトウェアタッチパッド)でも行え、メインディスプレイを含めてタッチ操作も可能だが、独立した光学式フィンガーマウスも備えている。
ディスプレイ側はCNCオールメタル素材で高級感がある。一方で、サブディスプレイのある本体側は樹脂素材を使っている。
なお、前モデルでは「120度」「150度」「180度」の3つの角度でディスプレイが開くようになっていたが、本モデルは画面を自由な角度で開いて保持できる構造となった。
インタフェース類は、USB4(USB 40Gbps)×2、microSDメモリーカードスロット、3.5mmヘッドフォンジャックを備える。USB4端子はUSB PD(Power Delivery)による電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力を兼ねている。内蔵バッテリーは、45W/65W急速充電とバイパス充電をサポートする。TDPは最大30Wだ。
ワイヤレス接続はWi-Fi 7(IEEE 802.11be)とBluetooth 5.3をサポートしている。電源ボタンは指紋認証センサーとの一体型だ。グリップは「スターダイヤモンドテクスチャ」タイプと「スターリバーテクスチャ」タイプの交換式だ。どちらも付属するので、好みで付け替えられる。
サイズは公称で約180(幅)×102(奥行き)×29.3(高さ:グリップ部は35.7)mmで、質量は約655gとなっている。
●Androidベースで2画面の「AYANEO Pocket DS」
AYANEO Pocket DSは、折りたたみ式のデュアルスクリーンを備えるAndroidゲーミングデバイスだ。SoC(プロセッサ)はQualcomm製の「Snapdragon G3x Gen 2」で、OSはAndroid 13をプリインストールする。
天空ではメモリ/ストレージの容量が異なる4モデルを取りそろえており、最上位モデルは「スターリーイエロー」と「レトログレー」の2色、他の3モデルはシャドウブラック1色のみ用意する。ハイビームでの通常販売価格は以下の通りだ(括弧内は9月30日までに予約した場合の価格)。
・8GBメモリ/128GBストレージモデル:8万8500円(8万1510円)
・12GBメモリ/256GBストレージモデル:9万9800円(9万4810円)
・16GBメモリ/512GBストレージモデル:10万9800円(10万4310円)
・16GBメモリ/1TBストレージモデル:13万3300円(12万6350円)
メインディスプレイは1920×1080ピクセルの7型有機ELで、sRGB色域カバー率150%、DCI-P3色域カバー率90%、最大輝度800ニト、リフレッシュレート最大165Hzというスペックを備える。
サブディスプレイは1024×768ピクセルの液晶で、sRGB色域カバー率100%、最大輝度550ニトというスペックとなる。4:3のアスペクト比なので、レトロゲームを楽しむのに適しているという。どちらのディスプレイも、タッチ操作に対応している。
本製品では、メイン/サブディスプレイの操作モードを選択できる「フォーカスロック」という新機能を搭載している。「オートスイッチ」では、タッチ操作を優先してタッチされた側にフォーカスが移るようになっている。「メイン画面をロック」では、メインディスプレイにフォーカスを固定した上で、サブディスプレイのタッチ操作を無効にする、逆に「サブ画面をロック」では、サブディスプレイにフォーカスを固定してメインディスプレイのタッチ操作を無効にする。
SoCのSnapdragon G3x Gen 2はゲーミングデバイスに特化した製品だが、現在はより新しい「Snapdragon G3 Gen 3」もある。あえて前世代のSoCを利用しているのは、価格を抑えるためだという。
本製品もゲームコントローラーを本体に一体化しており、2基のジョイスティックには高精度/低摩耗が特徴の非接触センサー式の「TMRミディアムジョイスティック」を搭載している。トリガーボタンには、リニアホール式センサーを採用した。
2画面を制御するための専用ランチャーは現在開発中で、完成すると「アプリドロワー(アプリ一覧)」「アプリの個別管理」「AYASpaceウィジェットの表示」など、サブディスプレイを有効活用することができるようになるという。
バッテリー容量は8000mAh(定格値)で、天空の山田拓郎社長によると「(満充電から)3〜4時間ほどゲームプレイできる」とのことだ。「Google Play」アクションゲームに対応しており、さまざまなゲームで高品質なグラフィックスとフルフレームパフォーマンスを体験できる。
●質感の高さで所有欲を刺激する
筆者は初代AYANEO FLIPシリーズの発表会にも参加した。その時に受けた印象は「作りは良い反面、チープ感は否めない。でも、物珍しさで欲しくなる」というものだった。
しかし、今回アップデートされたAYANEO FLIP 1S DSは、CNCメタル素材が天板部分のみであるにも関わらず、メインディスプレイが有機ELで美しくなったこと、サブディスプレイが大型化した上に高発色になったことなどから、物珍しさというより、品質の高さで所有欲を刺激してくる。
筆者はそれほどゲームをプレイするわけではないので、ジョイスティックの滑らかさの違いについて語れないのだが、それでも指の動きにマウスカーソルがしっかりついてくるのを確認できた。グリップ感も良い。
メインディスプレイが180度開くので、スタンドと併用することで目の高さに合わせやすい。「これなら仕事にも使えるのでは?」と感じられた。
AYANEO Pocket DSは、Webに掲載されていた写真から「質感がチープなのかな?」と予想していたが(特にスターリーイエロー)、高密度のプラスチックを使っているからか、実物の質感は、決しておもちゃっぽくない。
AYANEO FLIP 1S DSのものより大きいサブディスプレイを搭載していることも、所有欲を刺激する。
スタッフがAYANEO Pocket DSを使って「原神」をプレイしていたが、滑らかに動いていた。たまたま誰も触っていない同端末があったので、開きっぱなしになっていた原神でキャラクターを動かしてみたが、カクつくことなく走り回らせることができたし、波打ち際の水の描写も細かいと感じた。
●AYANEOのサブブランド「KONKR」の最新機種も展示
発表会では触れられなかったが、会場にはAYANEOのサブブランド「KONKR(コンカー)」のAndroidゲーミングデバイス「Pocket FIT」の実機も参考展示されていた。
KONKRは、AYANEOブランドの端末が高価格化していることを受けて「よりカジュアルに使ってほしい」ということから作られたブランドだ。ディスプレイには液晶を、ボディーにプラスチック樹脂を採用することで低価格化を実現したという。
本家AYANEOのWebサイトには、既に写真が掲載されているが、実物は予想していたより質感が良いと感じた。何よりAYANEO Pocket Sと同じような“ツライチ”のオールガラスフロントが美しい。
こちらも2025年内に国内で販売を開始するとのことなので、楽しみに待ちたい。
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