史上最高値を更新した日経平均株価の終値を示すモニター=18日午後、東京都中央区 日経平均株価が終値で初めて4万5000円を超え、史上最高値を更新した。しかし、実体経済に目を向けると、長引く物価高に賃金上昇が追い付かず、株価上昇による資産効果も発揮されているとは言い難い。家計は株高の恩恵を実感しにくい状況が続いている。
総務省公表の7月の全国消費者物価指数は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比3.1%上昇の111.6と、47カ月連続のプラスだった。食料品中心に値上がりし、家計は厳しい。
厚生労働省の7月の毎月勤労統計調査を見ると、物価変動の影響を差し引いた実質賃金は0.5%の増加。7カ月ぶりにプラスに転じたものの、実態はボーナスが一時的に押し上げた形にすぎない。明治安田総合研究所は、プラス定着は10月以降だと予想している。
同研究所の藤田敬史エコノミストは「株価の上昇が消費に回るかは限定的だ」と指摘する。日本ではバブル崩壊後のデフレ期に現金や預金が積み上がり、株高の恩恵は投資余力がある富裕層などに限られるためだ。
4〜6月期の実質GDP(国内総生産)はプラス成長だったが、内需の柱となる個人消費は回復の勢いを欠く。トランプ関税の影響で7〜9月期の実質GDPがマイナス成長に陥る可能性も指摘されている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、「物価高が落ち着き、賃金が継続的に上がらなければ、消費者心理は改善しにくい」との見方を示す。