トランプ米大統領(左)とスターマー英首相=18日、英南部バッキンガムシャー州の首相別邸で(EPA時事) 【ロンドン時事】米英の蜜月関係を印象付けたトランプ米大統領の英国訪問で、両国は人工知能(AI)をはじめとする先端技術やエネルギー分野で連携強化を打ち出した。各国の経済や安全保障を左右するとされるAIを巡っては、米中の覇権争いが激しさを増している。英国もAI開発が盛んで、民間投資額で世界3位。首位の米国と手を組み、中国に対抗する。
スターマー英首相は18日、米国と同日締結した科学技術に関する協定について、「新たな時代を共に切り開く青写真だ」と強調。経済と安保で共闘する姿勢を示した。
英国は今回、マイクロソフトやオープンAI、エヌビディアといった米企業から計1500億ポンド(約30兆円)の投資を確保。英国はAIスタートアップなどへの投資が盛んだが、国内の計画分を含めたコンピューティング容量は2024年末時点で米国の5分の1未満で、AIの開発を支えるインフラ不足がネックだ。政府は30年までに当局管理下のAI計算能力を20倍に高める方針を掲げており、米企業の力を借りて高性能のスーパーコンピューターを設置し、計算能力を拡充する。
AI開発に必要な電力の確保も喫緊の課題。米英両国は今回、原子力分野の連携強化に関する協定も締結。原子炉の安全性評価を相互承認することが柱で、米企業製の次世代原子炉の英国導入を加速させたい考えだ。