物価高対策は実現する?「地方交付金」「年収の壁」「5年で100万円増」…自民党総裁選 5人の政策を比較【Nスタ解説】

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2025年09月24日 20:30  TBS NEWS DIG

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来月4日に行われる自民党総裁選。候補者5人の「物価高対策」で、私たちの生活はどのくらい楽になるのでしょうか。

【写真を見る】“ポスト石破”候補の5人 「news23」討論会での様子

自民党総裁選 5人の「物価高対策」は実現する?

高柳光希キャスター:
自民党総裁選の本格論戦が始まりました。各候補は様々な物価高対策を訴えています。

まず、対策の中でも、1年以内に実現する可能性があるものを「短期の対策」、実現に時間がかかりそうなものを「長期の対策」と大きく2つに分けて見ていきます。

では、5人の対策にはどんなものが現状掲げられているのか、それぞれについて見ていきます。

参院選で自民党の公約にも掲げられていた「2万円の給付」。これについては、選挙の結果を持って「NO」が突きつけられた形となりました。

給付については林氏のみ〇がついていますが、これは参院選の公約とはまた変わったものなのでしょうか?

TBS報道局経済部 蓮井啓介 記者:
自民党は「一律2万円給付」を公約に掲げていましたが、参院選で大敗したため、これをベースにして、所得制限などを念頭に対象を絞った給付を行いたい考えです。

高柳キャスター:
そして、ガソリンの暫定税率廃止については5人全員が〇をつけています。「やりたい」と手を挙げている形です。

しかし、暫定税率廃止については長い間協議が続いていますが、平行線という印象があります。実際に実現するのでしょうか?

蓮井啓介 記者:
自民党としては、すでに野党との間で暫定税率の年内廃止で合意をしているので、実現する見通しです。ただ、これによって1兆円規模の財源に穴が空くことになるので、今、道路陥没などインフラの老朽化が進む中、財源をどうするかは課題となっています。

高柳キャスター:
実際に実現すれば、我々の負担はどのくらい軽減されるのでしょうか?

蓮井啓介 記者:
専門家のデータによると、暫定税率を廃止すると「1世帯あたり年間約1万円負担が減る」という試算もあります。しかし、都心で車に乗ってない人に対する恩恵はゼロです。一方で、地方だと車を使うことが多いため、そのような人には恩恵があるという形になっています。

高柳キャスター:
都心に住んでいる人の中にはネットで物を買う人も多くいると思います。その際の配送料が安くなるということは考えられるのでしょうか?

蓮井啓介 記者:
今、物流業界では「2024年問題」に代表されるように、人手不足による人件費の高騰が課題となっています。そのため、ガソリン代が少し安くなったからといって配送料が安くなるというよりかは、人手不足の方に対応する形で賃金アップに回されると思われます。

「地方交付金」や「年収の壁」はどうなる?

高柳キャスター:
では、短期の対策の中で、「地方交付金」や「年収の壁」についても詳しくお願いします。

【短期の経済対策】
小林鷹之氏「定率減税」
茂木敏光氏「地方交付金」
林芳正氏「給付」
高市早苗氏「年収の壁」「地方交付金」
小泉進次郎氏「年収の壁」

蓮井啓介 記者:
「地方交付金」というのは、各自治体にお金を配るものなのですが、何が不足しているのかということを自治体が一番把握していると思うので、例えば、水道代の値下げや給食費の無償化など、そういった支援を行ってほしいという交付金です。

「年収の壁」については2024年も話題になりましたが、所得税の壁のことで、国民民主党が「手取り増」を掲げてこれをずっと求めています。なので、この部分は国民民主党との連立・連携を視野に入れた発言だと思われます。

井上貴博キャスター:
連立を考えての発言がかなり多いなと感じます。物価高対策は喫緊の課題であるため、何かやらなきゃだめ。でも、魔法の杖がない。

例えば、ガソリン暫定税率廃止するにせよ、給付金にせよ、財源が必要である。でも、財源を理由にして消費税の減税などを今までやってこなかった。このバランスをどのように捉えればいいのでしょうか。

会社経営者・投資家 池澤摩耶さん:
やはり全ては「持続性」だと思います。どれだけ長く効果を持たせるか。そうじゃないと私たち消費者には何も恩恵がありません。財源についても長い目で見て、持ってこられる政策を出してほしいです。

しかし、今回は総裁選まで時間がないということもあって、出た意見が割と一致していたなと感じます。そこで、少し差別化ができているものがあるとすれば、「年収の壁」などだと思うのですが、それで何年間引っ張れるのかということなんですよ。

例えば、ガソリンは「経済の血液」と言われている部分があって、全てのことに関わってきます。トラックのお金やキャベツをスーパーに届けるときのお金、タクシー代など、多くのことに関わってはくるものの、そこを1年ぐらいやったところで、そんなに影響はない。

私たちが知りたいのは、物価がスライド制で学費が上がっていく中で、「子どもの学費を10年後払えるのか」というところなんです。そこまで考えた政策をとっていただきたいと思っています。

井上キャスター:
具体的に提案するとすれば、どんなものがいいでしょうか?

池澤摩耶さん:
ガソリンというのはすごくわかりやすい部分ではあると思います。車に乗る人だけではなく、全ての人に関わってくることなので、いいと思うんです。

でも、2万円の給付は今しかできない、1回きりのわかりやすい政策だなと思っていて、もっと持続性を持たせて消費者の助けになるような政策はないのでしょうかね。

出水麻衣キャスター:
だから長期の経済対策が大事ということですね。

「5年で100万円増」という小泉氏の政策は実現する?

高柳キャスター:
今度は長期の対策についてですが、「減税志向」と「賃上げ志向」に大きく分けて見ていきます。

【長期の経済対策】
小林鷹之氏「社会保険料軽減」
高市早苗氏「給付付き税額控除」
林芳正氏「実質賃金1%増」「ユニバーサルクレジット」
茂木敏光氏「3年で50万円増」
小泉進次郎氏「5年で100万円増」

中でも、小泉進次郎氏の「5年で100万円増」はかなり魅力的に聞こえますが、実際に実現可能なのでしょうか?

蓮井啓介 記者:
「5年で100万円増」となると、2025年の春闘で5%の賃上げがされていますが、それを上回る勢いで賃上げをする必要があります。

2025年はトランプ関税の影響も既に出てきている中で、この賃上げを維持するのは若干難しいのではないかという見方も出ています。

井上キャスター:
賃上げは大切だと思いますし、成長しなければいけないと思うのですが、賃上げは個別の企業が考えるものなので、政府がいくら言っても、そこにそぐうのかなという疑問があります。

池澤摩耶さん:
企業の問題ですが、今、日経平均は最高値を更新中なので、そこは私たちに降ってきて欲しいところですよね。日経平均が上がっているので、企業にお金はあるはずです。でも、消費者の中でそこから恩恵を受けている人はなかなかいません。なので、賃上げには賛成です。

井上キャスター:
政府は、企業に吐き出させることはできる?

池澤摩耶さん:
できると思います。

出水キャスター:
林芳正氏と茂木畝充氏と小泉進次郎氏の方向性は同じようにも見えるのですが、これはひとくくりと考えてよろしいでしょうか?

蓮井啓介 記者:
ひとくくりで考えていいと思います。「3年で50万」と「5年で100万」というのは同じような形の曲線ですし、「実質賃金の1%増」というのも、実は政府が6月に発表してる骨太の方針の数字を引用されてるものだと思うので、基本的には同じような形の賃上げ目標になります。

出水キャスター:
ただいずれにせよ高い目標だということですね。

蓮井啓介 記者:
そうですね。2025年の春闘よりもさらに上げていかないといけないということです。

==========
<プロフィール>
蓮井啓介
TBS報道局経済部 財務省担当
財政・税制などの経済政策を取材

池澤摩耶さん
会社経営者・投資家
元外資系投資銀行のトレーダー
2児の母
著書に「子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育」など

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