カーインライジングが初の海外遠征 ブックメーカー各社で前売り1番人気に

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2025年09月24日 21:00  netkeiba

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▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆“スーパースター”のパフォーマンスに注目

 28日に行われるGI・スプリンターズS(芝1200m)に出走する香港調教馬ラッキースワイネス(セ7)は、入国検疫を行っていた白井の競馬学校から、決戦の地・中山競馬場に22日に移動。調整はいよいよ最終段階を迎えている。

 21日(日曜日)、香港からシドニーに向けた便に搭乗したのが、香港が誇るスーパースターのカーインライジング(セ5、父シャムエクスプレス)だ。同馬にとって海外遠征はこれが初めてで、目標としているのは10月18日にロイヤルランドウィック競馬場で行われるG1・ジ・エベレスト(芝1200m)である。

 ニュージーランド産馬で、23年12月に香港でデビューしたカーインライジング。そのシーズン最終戦のG3・シャティンヴァーズ(芝1200m)を制し重賞初制覇。24/25年シーズンは8戦し、すべてで勝利を収める完全無欠の8連勝を達成した。

 24年11月のG2・ジョッキークラブスプリント(芝1200m)では、07年にセイクリッドキングダムが作った記録を17年ぶりに更新する、1分7秒43のトラックレコードを樹立。25年1月のG1・センテナリースプリントC(芝1200m)では、これを更に更新する1分7秒20の時計で駆け抜けている。

 24年12月のG1・香港スプリント(芝1200m)に加えて、前述したG1・センテナリースプリントC、2月のG1・クイーンズシルバージュビリーC(芝1400m)、4月のG1・チェアマンズSP(芝1200m)を制し、香港スプリントシリーズの完全制覇を達成。500万香港ドルのボーナスを手にしている。

 また、G1・チェアマンズSPを制した際には、レーティング126を獲得。最新の世界ランキングでは総合5位タイ、距離コラム「S」では、2位のラザット(セ4)、サジー(牡4)の120に6ポンドもの差をつけ、首位を独走している。

 同馬を管理するのはオーストラリア人のデヴィッド・ヘイズ調教師で、陣営では早くから、25/26年シーズン最初の目標が、G1・ジ・エベレストになることを公表。5月10日から従化トレセンに移動し、1カ月半ほどはプールとダクでシーズンの疲れを癒した後、6月末から乗り込みをスタート。8月16日にシャティン競馬場に帰厩すると、バリアトライアルに2度参加したのち、9月7日に実戦復帰。シャティン競馬場で行われたクラス1のハンデ戦(芝1200m)に出走すると、自分より9ポンド(約4キロ)斤量が軽かったラッキースワイネスに2 1/4馬身をつけて優勝。24年2月から継続している連勝を13に伸ばした。

 カーインライジングが目標としているジ・エベレストは、春のシドニー地区におけるシンボル的レースとするべく、2017年に創設された一戦だ。第1回の総賞金は、当時としては芝のレースとして世界最高となる1000万豪ドルだった。賞金は、その後も段階的に増額され、2023年からは2000万豪ドルに。そして、2024年からG1の国際格付けを得ている。

 ブックメーカー各社は、カーインライジングに1.67〜2.0倍のオッズを提示し、前売り1番人気としている。

 迎え撃つ豪州勢で有力視されているのが、クリス・ウォーラー厩舎のジョリースター(牝5、父ズースター)、同じくクリス・ウォーラー調教師が管理するレディーシェナンドー(牝4、父スニッツェル)、マイケル&ジョン&ウェイン・ホークス厩舎のブリアサ(セ5、父スマートミシル)らだ。

 23年11月にコーフィールド競馬場のG1・1000ギニー(芝1600m)を制し、G1で重賞初制覇を果たしたのがジョリースターだ。その後は短距離路線にシフト。24/25年シーズンは9戦し、フレミントン競馬場のG1・ニューマーケットH(芝1200m)、イーグルファーム競馬場のG1・キングスフォードスミスCS(芝1300m)という2つのG1を制している。今季初戦となったのが、9月20日にランドウィックで行われたG2・ザ・ショーツ(芝1100m)で、ここを制し順調にシーズンをスタートさせている。

 同じく今季初戦だったG2・ザ・ショーツで、ジョリースターの2着となったのがブリアサだ。24年3月にデビューし、このシーズンを3戦3勝で終えた同馬。24/25年シーズンの後半から、短距離戦線の最前線に台頭。4月にランドウィックのG1・TJスミスS(芝1200m)を制している。

 3歳だった24/25年シーズンに、5戦5勝の成績を残したのがレディーシェナンドーだ。春はローズヒル競馬場のG3・ミンダイナスティクオリティ(芝1400m)と、ランドウィック競馬場のG1・フライトS(芝1600m)に出走して連勝。秋はランドウィック競馬場のG2・ライトフィンガーズS(芝1200m)、同じくランドウィック競馬場のG1・サラウンドS(芝1400m)、ローズヒル競馬場のG1・クールモアクラシック(芝1500m)に出走し、3連勝を飾った。今季初戦となったのは、9月6日にランドウィック競馬場で行われたG3・コンコルドS(芝1000m)で、ここでは2着と約1年4か月ぶりの敗戦を喫している。

 シドニーでカーインライジングがどのようなパフォーマンスを見せるか、今から楽しみである。

(文=合田直弘)

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