Z世代がLINEの「送信取消は1時間以内まで」で困ってしまう理由 彼らが見いだしていた“他の用途”とは

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2025年09月26日 15:21  ITmedia Mobile

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LINEの「送信取消」機能

 LINEのトークで送ったメッセージの取り消し機能が、2025年10月下旬から「送信から1時間以内」のメッセージにしか適用できなくなることが発表されました。


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 これまでは、24時間以内であればお互いのトークからメッセージを消去できたので、大幅に時間が短縮されたことになります。SNS上では「改悪だ」「1時間では誤りに気付かない」といった反対意見や、「数時間後に(メッセージを)取り消されるのはストレスだから30分でもいい」という賛成意見など賛否両論です。


 あらためて、送信取消機能について説明しましょう。送信取消は、相手やグループに送ったメッセージを互いのトークルームから削除できる機能です。「誤字してしまったから直したい」「送信相手を間違えた(誤爆)してしまったので取り消したい」といったときに便利です。


 ただし、送信取消すると「〇〇がメッセージの送信を取り消しました」とトークルームに表示されるため、こっそり取り消すことはできません。また、すぐに送信取消しても、相手がLINEを開いていたり、スマホを見ているときは、メッセージを送った際の通知で内容を読まれてしまうことがあります。


 メッセージは「削除」することもできます。「送信取消」と「削除」の違いは、メッセージの送信相手にメッセージが残るかどうかです。送信取消の場合は、相手のLINEと自分のLINEからメッセージを消すことができますが、削除の場合は自分のLINEからしかメッセージを消すことができません。


 つまり、削除は自分のトークルームをすっきりさせることしかできません。


 「送信取消」機能は、2017年11月16日に実装されました。LINEは当時、「送信取消」機能の開始を記念して「#LINE誤爆 Black FRIDAY」キャンペーンを実施していました。LINEを誤送信した体験談を募集したもので、誤送信した“黒歴史”の例として、以下のようなものが挙げられていました。


 LINEが普及して間もなくは、相手を間違えて「誤爆」する人が多く、「LINEで誤爆しない方法」として、壁紙を相手によって変えるといった手法も編み出されました。


 おそらく当時の方がLINEは急いで返信するものだと思っていたため、うっかりミスも多かったのでしょう。今はそれほど誤爆は問題になりませんが、上記のような例も含めて、「送信取消」はほとんどが送信者のうっかりミスを取り戻したいときに使われています。


●送信取消を駆け引きに使うケースも


 送信取消はほとんどがミスだと分かっていても、送信取消された方はそれなりにストレスを感じます。なぜ取り消したのかを説明されないと、本当はもっと自分に言いたいことがあるのではないか、自分宛てではないメッセージを誰に送ったのかなど、相手を疑ってしまうからです。


 実際、送信取消を駆け引きに利用している人もいるようです。送信取消機能がリリースされた当時、筆者が女子高生たちにインタビューを行ったところ、「好きな人に軽く告ってみてすぐ送信取消して様子を見る」「連絡が来なくて寂しいときに、寂しいと送ってすぐ消したりする」といった話も聞きました。


 現在も「送信取消ばっかりする子はウザい」という話も聞くため、送信取消を心理戦に利用している人も少なからずいるようです。


 また、今回の仕様変更で、24時間以内から1時間以内へと送信取消できる時間が変わります。うっかりミスや様子見であれば送信してすぐ、もしくはあまり時間が経過しないうちに消すため、1時間以内でも問題がなさそうです。


●送信取り消しの“他の用途”


 しかし、送信取消には他の用途もあります。「遊ぼうよ」とLINEを送ってしばらく返事がなかったとします。「相手は乗り気じゃないのかも」と推測できますよね。


 「ノリで言っただけでそこまで遊びたいわけでもない」という気分になってきた頃に「遊ぼう」と返されても、微妙な気持ちになります。そういうときに送信取消を使うのです。誘われた方も「今日はちょっと行きたくないな」と思ってスルーしていると、相手が送信取消してくれてほっとする、といった場合もあるでしょう。


 このような気遣いや駆け引きは、スマホを介したコミュニケーションでZ世代がよく使う手法です。


 約10年ほど前、位置情報を共有するアプリ「Zenly」が流行しました。24時間、居場所を誰かに共有するなんてと大人は驚いたものですが、Z世代は友達と現在地を共有することを楽しんでいました。


 「Aはバイト中かな」「BとCは公園にいるからサッカーしてるのかな」など、友達の様子が分かることも人気の理由でしたが、タイパ(タイムパフォーマンス)が良い点も評価されていました。


 例えば、誰かとおしゃべりしたいなというとき、バイト先にいるAに「通話できない?」と送っても、時間の無駄です。しかも、相手に「ごめん、バイト中だった」と気遣われて、また次回の約束をする羽目になってしまうかもしれません。それなら、アプリで自宅にいる人を確認してメッセージを送った方が、お互いに気遣わなくて済むわけです。


●送信取消されたメッセージを読むには


 さまざまな理由で使われる「送信取消」ですが、どんな理由があるにせよ、消された方は内容が気になります。特に、相手とあまり関係性がうまくいっていないときは、全てのメッセージを読みたいものです。


 そこで、送信取消されたメッセージを読むためのワザをお伝えしましょう。送信取消されたメッセージを読むには、LINEを既読をつけずに読むアプリを入れておき、通知をアプリに残しておくのです。すると、メッセージそのものが消されても、通知に表示された文章がアプリに保存されているため、メッセージの内容を確認できるのです。ただし、内容が分かるのはテキストのみで、Android限定です。


 既読をつけずに読むアプリはいくつか配信されていますが、ここでは「既読回避サポーター」を紹介します。


 既読回避サポーターは、スマホにインストールし、指示に従って設定を変更するだけで、通知がアプリに保存されていきます。LINEを既読にすることなく、アプリでメッセージを読めます。筆者が試したところ、おおよそ1000文字まで保存されたので、ほとんどのメッセージは読むことができるでしょう。


 Z世代は多少の誤字は黙認し、スピード重視で送りあう傾向があります。誤字だらけのメッセージも「急いでいる」とか「動揺している」感情の現れだと捉えるからです。絵文字やスタンプとは違う、感情の表現方法ですね。


 とはいえ、相手を間違えたり、誤解を生むようなメッセージは避けたいもの。「送信取消」をなるべく使わないで済むように、送信ボタンを押す前に送信相手とメッセージを見直す習慣をつけるとよさそうです。



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