
9月25日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した「東京ゲームショウ2025」は多くの人出にぎわっている。会場で気になったブースを紹介したい。
●フルタワー追加でケースデザインも変更あり――NEXTGEAR新モデル
マウスコンピューターブースでは、「NEXTGEAR新製品発表:ストリーマートークセッション」が開催された。登壇者は同社 製品開発部エキスパート 林田奈美さん、ストリーマーのたこまるさんとまざー3さんの3人だ。
NEXTGEARブランドは、2023年に発表されたエントリーモデルのゲーミングデスクトップPCだ。9月11日にはPCケースのデザインを改めたミニタワーケースの他、フルタワーケースも追加された。
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本トークセッションでは、製品の魅力や開発時のこだわりポイント、新たに加わったフルタワーモデルではデザイン面でどのような苦労があったのかが紹介された。
ミニタワーとフルタワーケース共にRGBファンを標準で搭載しており、天面にあるボタンを短押しすることでプリセットされた10色にLEDライトが切り替わる。また、長押しすればLEDのオン/オフも可能だ。
中身が見えることもあり、林田さんは「どの角度でもかっこよく見えるようにデザインした」とポイントを語った。
フルタワーケースでは「NEXTGEARの“X”の文字をそのままあしらうとバランスが悪くなるので、幾何学的に見えるようにデザインをした」と林田さんが解説。
フロントメッシュを広く取り、NEXTGEARのロゴを印刷するのではなくメッシュ上にエンボス加工として配置している。林田さんは「主張がありつつさりげないという、おもしろいデザインに仕上がったかなと思う」と仕上がりへの感想を述べた。NEXTGEARのブランドカラーであるスパークマゼンタをフレーム全体にあしらうことで、視覚的アクセントにする工夫も施したという。
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ケースサイズが大きくなったことにより、拡張性も向上している。今後も巨大化が予想されるグラフィックスカードを搭載可能になった他、DDR5メモリを4基、NVMe SSDを2基装備できる。
まざー3さんは、「エントリーモデルとして購入しておいても拡張性が高いから、より高性能なグラフィックスカードを載せたり、ストレージを大容量化したりすることができるので、将来性もある」と語った。
たこまるさんも「エアフローが良くなったし、大きめのパーツも入れられるようになったので、初心者だけでなく、ちょっとこだわる人にも向いている仕上がりになったのではないか」と感想を述べた。
ミニタワーケースでは、メッシュの位置を反転させて広く取るようにした。それに伴い、フルタワーケースと同様に、ロゴマークをエンボス加工で配置している。また、スパークマゼンタカラーをケースのサイドライン上部に目立つように配置し、ロゴはサイドに大きくあしらった。
「機能面では、天面にUSB Standard-A端子を2基、USB Type-C端子を1基、また最近ではヘッドセット端子で4極のものが増えてきたので、4極のヘッドセット端子を搭載し、アクセスしやすく使いやすくした。小さいことかもしれないが、利便性を上げるような改修を行っている」(林田さん)
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メッシュ部分を広く取ったことで気になる騒音をカットすべく、デザインと同時進行でファンの回転数制御についても見直しを行っていた。その結果、冷却性能を落とすことなく約15〜16%の騒音をカットできたという。
お勧め構成について聞かれた林田さんが挙げたのが、ミニタワーではCPUにAMD Ryzen 7 5700Xを、GPUにNVIDIA GeForce RTX 5060 Ti(グラフィックスメモリは16GB)を、メモリ16GB、ストレージは1TB SSDの「NEXTGEAR JG-A7G6T」だ。
本構成で価格が16万9800円という表示を見たたこまるさんは、「PCゲーム初心者だと30万円もするようなゲーミングPCに手を出しにくいが、これなら買いやすい。しかもグラフィックスメモリを16GBも搭載しているので、今後発売されるグラフィックスメモリを消費するゲームもプレイできるので将来性がありそうだ」と感想を述べた。
フルタワータイプでは「NEXTGEAR HD-A7A70」を林田さんはお勧めとして挙げた。こちらはAMD Ryzen 7 9800X3DのCPUにAMD RADEON RX 9070のGPUを、メモリは32GBで、ストレージは1TB SSDという構成で30万9800円だ。
今後発売予定の新製品を初披露
林田さんは、現在開発中で「年内発売予定」という製品も披露した。これは、1日目のリポートで紹介したミニタワー直営店限定モデルで、ケースのフロントと側面が、すりガラスから透明ガラスへとボタン1つで切り替わるピラーレスケースモデルだ。
この仕組みに、たこまる氏は「自分1人でいるときはめでたいけど、友だちが来たときには隠したい、そんな推しキャラを入れておいたり、隠し金庫としても使えそう」と感嘆し、林田さんを笑わせていた。
その他、ゲーミングノートPC「NEXTGEAR J6」シリーズは、ケースデザインを一新して11月に販売開始を予定している。
これまでも、NEXTGEAR J6シリーズのホワイトモデルはあったが、キーボードと底面にブラックモデルと共通の黒い部品が使われていた。それを(ディスプレイのフレームを除き)オールホワイトへと変更した。林田さんは「持ったときに底面も見せたいというニーズに応えた」と語る。
他にもカーソルキーを押しづらいという声を受け、一段分手前に移動させることで誤入力を防いだ。
熱処理については、冷却ファンとCPUをグリスで接着する仕様からフェイズチェンジシートを採用した。「ゲル状になって体温を吸収するネックリングと同じような素材なので、CPUの発する熱で冷却シートが密着して熱を奪う」と解説してくれた。
CPUにはRyzen 7 H255(8コア16スレッド)、グラフィックスはGeForce RTX 5050 Laptop GPUまたはGeForce RTX 5060 Laptop GPUを採用する。「こちらのCPUはグラフィックス機能を持ったAPUで、APU内蔵GPUと通常のGPUを作業内容によって切り替えられるので、バッテリー持ちも良くなっている」とスライドにない情報を林田さんが教えてくれた。
最後に、たこまるさんとのコラボゲーミングPCの発表も行われた。モデルは「NEXTGEAR JG-A7A7X」で、CPUにRyzen 7 9800X3D(8コア16スレッド)を、GPUにRADEON RX 9070 XTを搭載し、メモリは32GB、ストレージは1TB SSDという構成だ。
たこまるさんは「コラボモデルなのに、マウスコンピューターで組んだものよりお安くなっている」と価格を見て驚いていた。この構成で31万4800円である。
さらに「NEXTGEAR 新ケース販売記念キャンペーン」の1万1000円オフクーポンも利用できる。
「これまで、ノートPCしか使ってこなかった人は、デスクトップPCを初めて購入するときに何が必要なのか分からないことが多い」とたこまるさんは言う。「でも、マウスコンピューターの公式サイトでPCを選ぶと、キーボードはどうですか、ディスプレイはどうですか、LANケーブルはどうですかと提案してくれる。必要なものを全部そろえられるのがありがたい」と語った。
「1万1000円オフクーポンで浮いた分で、ゲーミングマウスを購入するのもいいと思う」(たこまるさん)
トークセッションの最後に、感想を聞かれたまざー3さんは「開発者の熱意と愛が、そのまま製品へ形となって表れているんだなというのが伝わってきた」と述べ、たこまるさんは「冷却性能や拡張性の高いフルタワーケースを出すなど、ユーザーのニーズに応えている製品作りをしているので、今後も楽しみだ」と述べてから「ネットでPCは買えるけど、東京ゲームショウでは実物を見られる。ぜひ、ブースを訪れて、本物に触れてほしい」とアピールして締めくくっていた。
●バッテリー着脱式「GPD WIN5」を展示したGPD Technologyブース
天空が国内代理店を務める中国GPD Technologyのブースでは、9月25日に海外クラウドファンディングサイトIndiegogoでキャンペーンを開始したポータブルゲーミングPC「GPD WIN 5」を披露していた。
本機は、ディスプレイの両側にゲームコントローラーを取り付けた、いわばプレイステーション・ポータブルタイプのポータブルゲーミングPCだが、バッテリーを内蔵していない。
自宅ではAC電源と接続し、外出時や電源が近くにない場所では着脱式の専用バッテリーを取り付けて使用する。
担当者によれば、「ポータブルゲーミングPCを含む小型PCでは、まれにバッテリーが膨らむといった課題が生じていた。修理のために数日使えないのは不便なので、普段は本体へバイパス給電でゲームを楽しみ、必要なときにだけバッテリーを取り付けられるようにした」とのことだ。
バッテリーは背面にあるポゴピンで接続となるので、ケーブルに煩わされることはない。
今のところ、専用バッテリーパックの別売は決まっていないとのことだが、予備を購入できるようオプションでの提供を期待したい。
その他、コントローラーを専用プレートで隠してビジネス利用もできるポータブルPC「GPD WIN Max 2 2025」や、非常にコンパクトな「GPD WIN Mini 2025」のブラックモデルとホワイトモデルも展示していた。
●「AYANEO Pocket AIR Mini」も展示していたAYANEOブース
AYANEOブースでは、安価でコンパクトなAndroidゲーム機「AYANEO Pocket AIR Mini」を展示していた。
AYANEO Pocket AIR Miniは、1280×960ピクセル表示に対応した4.2型ディスプレイを搭載し、リフレッシュレート最大60Hz、輝度は最大500ニトに対応するレトロゲームを楽しむためのAndroidゲーム機だ。
SoCにMediaTekのHelio G90Tを、メモリとストレージはモデルにより2GB/32GBと3GB/64GBを採用する。microSDメモリーカードスロットもあるので、データ容量の増加にも対応している。
その他、AYANEOのサブブランドから「KONKR Pocket FIT」、ジョイスティックやABXYボタンなど操作部のみをモジュール化して自由に取り替えられるポータブルゲーミングPC「AYANEO 3」、2画面Androidゲーム機「AYANEO Pocket DS」、2画面ポータブルゲーミングPC「AYANEO FLIP 1S DS」などの実機も展示していた。
レトロゲーム愛好家から、出先でも本格的にPCゲームを楽しみたい人まで、さまざまな層のニーズにかなうモデルの多いブースであった。
●世界で初の展示となる「EX321UZ」もあるBenQブース
BenQブースでは、同社のゲーミングディスプレイブランド「MOBIUZ」製品を展示していた。
例えば世界で初の披露となる参考展示品「EX321UZ」は、31.5型の量子ドットOLEDパネルを採用している。4K(3840×2160ピクセル)表示の高解像度でありながら、リフレッシュレートは最大240Hz、応答速度は最短0.03ミリ秒で、素早い動きのゲームでもカクツキやブレなどを防ぐ。
一方で、販売中の26.5型「EX271UZ」も展示されていた。
VTuberでゲームストリーマーでもある猫麦とろろさんの世界観を表現した一角には、特大パネルやフィギュアも飾られていて目を引いた。
ディスプレイ上部に取り付けて、ディスプレイや手元のキーボードなどデスク上を照らして見やすくする「ScreenBar Halo 2」が、31.5型のIPSパネル採用「EX321UX」に取り付けられており、来場者は手元のコントローラーで光量や色温度を変えられる便利さを体験できた。
「コントローラーには、照度や色温度をデジタル表示できるので、視覚的にも分かりやすくて、コントローラーはUSB Type-Cで充電し、離れた場所からでもScreenBar Halo 2を操作可能なので便利」と担当者が解説してくれた。
部屋全体を明るくするほどではないが、少しだけ作業したいときなど、ワークスペースのみを明るくできるというのは便利そうだと感じた。
47の国と地域から1136の企業や団体が出展した東京ゲームショウ2025の初日となるビジネスデイ1日目の来場者数は5万2352人、2日目では5万4779人、一般公開日の3日目は7万7415人、4日目は7万8555人とこの4日間で26万人を超えた。
発表/発売中の製品だけでなく、世界初展示やアジア初展示のアイテムにも触れたり、担当者に話を聞いたりできる同イベントは、ゲームプレイヤーだけでなく、ガジェット愛好家にも刺さるものだ。その楽しさや驚きを少しでも共有できていたら幸いだ。
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