【世界陸上】実は600超の“特許技術”が使われている!? 「Oakley」のサングラスが選手らに愛される理由

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2025年09月29日 21:50  All About

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【“特許”という視点から見る世界陸上】東京2025世界陸上の男子400m走で、見事6位に輝いた中島佑気ジョセフ選手は、「Oakley」のサングラスを着用して走っていました。今回はその「Oakley」の優れたテクノロジーについて解説します。※写真:長田洋平/アフロスポーツ
連日熱戦が繰り広げられた東京2025世界陸上。実は選手の活躍の裏に「特許技術」が影響していたことは、あまり知られていないかもしれません。

今回は9月18日に行われた「男子400m走」で、見事6位入賞を果たした中島佑気ジョセフ選手が着用していた“サングラス”にフォーカス。自身もフルマラソンを走るなど大の陸上好きである弁理士の筆者が、このサングラスに用いられているさまざまな特許について解説します。

中島選手が着用していたサングラス

9月18日の夜、まだ気温も高い中で行われた男子400m走の決勝で、日本代表の中島佑気ジョセフ選手が見事に日本史上最高位の6位に輝きました。

14日の予選で日本新記録を出し準決勝に進出し、準決勝でも3組で2着に入って決勝に進出した勢いそのままに、決勝で6位という素晴らしい結果でした。

そんな中島選手が、“サングラス”を着用しながら走っていたことは、印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
男子400m走でサングラスをして走る中島選手 ※画像:中島選手 Instagram

普段はメガネなどをかけていない中島選手が着用していたサングラスは、「Oakley」のサングラスです。一度はその名前を聞いたことがあるという人も多いでしょう。

大谷翔平選手をはじめ、さまざまなスポーツ選手や著名人が着用しており、今回の2025世界陸上でも競歩やマラソンなどの長距離種目で着用している選手が多く見受けられました。

そんな有名なOakleyのサングラスですが、何がどう優れているのかということは、意外と知られていないのではないでしょうか。

600を超える特許技術がOakleyに用いられている

Oakleyはアメリカに本社を置き、サングラスやアパレル、アクセサリーなどを展開していますが、実は全世界で600以上もの特許を取得しているのです。

そして、それら多くの特許技術がOakleyのサングラスに使われているため、Oakleyのサングラスは他社にはない高い独自性をもっています。

Oakleyのサングラスに用いられている特許技術は、大きく4つに分けられます。

1:紫外線カット
2:耐衝撃性
3:見えやすさ
4:着け心地

中でもとりわけ「紫外線カット」に関する技術が代表的といえるでしょう。

この紫外線カット技術は、UVカット機能を搭載した特許素材により実現されています。

一般的なメーカーのUVカット機能は、レンズにコーティングを施すことで実現していますが、Oakleyの場合はレンズの素材自体にUVカット機能が組み込まれているため、レンズに穴が開かない限り効果が持続します。そして紫外線カット率100%という高い効果も誇ります。

このような強力な紫外線カット機能と、その効果が長持ちするという点が、Oakleyのサングラスが選ばれる大きな理由になっていると考えます。

また、「耐衝撃性」にも注目したいところです

Oakleyのレンズに用いられている特許素材によって、レンズはなんとショットガンや高速の鉄球の衝撃でも割れないといいます。そのため、万が一サングラスを踏んでしまっても、割れにくい強度を備えています。

さらに、優れた「着け心地」を実現している特許技術も大きな特長です。

人間工学に基づいた特許技術により顔面に正確にフィットしつつ、「THREE POINT FIT」と呼ばれる特許技術によって、鼻の上と両耳の3カ所で支えるだけで快適なフィット感とホールド感を実現しています。

そしてその鼻と耳にかかる部分には、水や汗でさらにグリップ力が高まる特殊な特許素材が用いられているため、汗をたくさんかいてもサングラスがフィットしたままなのです。

こうした着け心地のよさと高いフィット感が、スポーツ選手に選ばれる理由といえるでしょう。実際、中島選手が400mを猛スピードで走っても、まったくずれていません。

筆者もマラソンを走るのですが、ダッシュ系のスピード練習をする際、通常のメガネでもメガネバンドを付ければある程度動きが抑えられるのですが、それでも多少上下にぶれることがあります。

しかし、Oakleyのサングラスはメガネバンドなどをしなくても、上下のぶれがほとんどなく、とても快適です。

独特のデザインをまねできない理由

また、独特なデザインも、Oakleyのサングラスが多くの選手に選ばれる理由の1つでしょう。

実はOakleyの独特なデザインは、日本でも図1を含め多数の意匠登録(デザインに関する権利登録)をしているため、Oakleyのデザインに似たメガネを他社が作ることはできません。
図1:Oakleyの意匠登録(1695696)図面 ※画像:特許情報プラットフォーム

このように技術面とデザイン面の双方で権利をきちんと取得しているため、他社がまねできないサングラスを作れているのです。

なお、中島選手が実際に着用していたのは、中島選手のInstagramやテレビなどで確認する限り、おそらくOakleyの最新モデル「Stunt Devil」ではないかと思われます。

現時点では中島選手はOakleyと公式なスポンサー契約などを結んでいないようなので、純粋に競技パフォーマンスのためにOakleyを選んでいるものと考えられます。

マラソンでもOakleyを着用して走る選手も多いのですが、その理由として筆者が聞く限りでは、「集中しやすいから」と話す選手が多くみられます。

このことから、中島選手も競技により集中するために「Oakley」を着用して走っているのではないかと、筆者は考えています。

中島選手は23歳とまだ若いので、これからも五輪や世界陸上などで私たちを大いに驚かせる走りを見せてくれることでしょう。

藤枝 秀幸プロフィール

大手IT企業などでSEとしてシステム開発などに従事した後、2009年に「藤枝知財法務事務所」を開業。以降、IT分野やエンタメ分野を中心に契約書業務や知的財産業務を行う。メディアや企業のコンテンツ監修なども手がけている。All About 弁理士ガイド。
(文:藤枝 秀幸(弁理士・行政書士))
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