
さまざまな返礼品が人気の「ふるさと納税」。仲介サイト経由で付与されてきたポイントが9月いっぱいで廃止されます。ポイント“ラストチャンス”だった30日は駆け込み寄付が殺到。普段の100倍の寄付額になった自治体もありました。ふるさと納税による税収減が年々増加している川崎市は「税収奪還」に力を入れています。返礼品には「SHISHAMO」ラストライブのチケットも。
「ポイントつく方がもちろんメリット高いんで、きょうやれたらやろうかなと思うんですけど」
「消費者側からしたら、あったものが急になくなるのはなっていう戸惑いはありますね」
ふるさと納税のポイント付与は9月30日で終了です。
ひっきりなしにかかってくる電話。川崎市では、9月30日の申し込みが1000件を超えました。寄付額も普段と比べ100倍の多さです。
静岡県焼津市。ミナミマグロを返礼品として全国に届けていますが、受注が前年比で1.5倍ほど増えたそうです。
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キボシ水産 村松崇生 社長
「うれしい部分はあるんですけど、年末の需要が少し早くなっているのかな」
例年、ふるさと納税の申し込みのピークは年末です。
大分県国東市の水産加工会社ではタコやタイ、ハモなどを使った20種類の返礼品を出品していますが、この駆け込み需要の反動で10月以降の落ち込みを懸念しています。
国東物産 野田大輔 社長
「駆け込み需要で増えたからプラスに振れるかっていうと、最後帳尻合うんじゃないかみたいな見方もあるので、その辺はちょっと慎重に見極めたい」
こちらの会社ではサザエなどを使ったおせちメニューを新たに用意し、年末のふるさと納税も取り込もうとしています。
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ふるさと納税は年々寄付額が増加。昨年度は1兆2728億円と過去最高を更新しています。なぜポイントの付与を廃止したのでしょうか?
村上誠一郎 総務大臣
「ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体に感謝の気持ちを伝えるものであります。インターネット通販であってはならない」
ふるさと納税をめぐっては自治体のルール違反も相次いでいます。
岡山県総社市は、返礼品のコメが高騰し「寄付額の3割以下」という基準を大きく超えていました。
また、佐賀県みやき町は経費が寄付額の「5割以下」とする国の規定を超え、およそ6割となっていました。今後2年間はふるさと納税の対象から外れます。
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ふるさと納税では、税金の流出も問題となっています。9月30日に申し込みが殺到していた川崎市ですが、今年度の減収額は154億円で、年々増加しています。
川崎市資金課 大島崇 課長
「年間のごみの収集・処理にかかる経費が今年度の予算で156億円。そういったものに匹敵するくらいのインパクトのあるお金が出ていってしまっている。いよいよ、ある程度稼いでいかないと市民サービスへの影響が計り知れなくなってくるだろうと」
川崎市は「税収奪還」のため、返礼品に力を入れてきました。例えば…
川崎市資金課 大島崇 課長
「花王の工場が川崎にあるんですけど、そちらの洗剤各種。日用品については物価高もあって節約志向の方たちにお選びいただいている」
他にも、川崎市内の工場夜景をめぐる食事付きのバスツアーや、来年6月に活動終了するロックバンド「SHISHAMO」の等々力陸上競技場で行われるラストライブのチケットなどなど…
川崎市によると、昨年度の寄付額は過去最高の26億円。これは全国の1741自治体のうち91位です。
川崎市資金課 大島崇 課長
「寄付先を選ぶ際にどういった趣旨で選んでいるのかというと、多くの人が返礼品をベースに考えている。あくまでも先に返礼品があって、その次に自治体や施策があるとなってしまっていますので、我々もアクセルを踏んでいこうと取り組んでいるのが現状」
川崎市の担当者は、ポイント付与は終了しても返礼品競争は終わらないとみています。
川崎市資金課 大島崇 課長
「そもそもネット通販化してしまっていることが問題。ある程度、本来の趣旨に沿った制度に早くならないかなと期待しています」