警視庁本部=東京都千代田区 東京都町田市のマンションで発生した女性刺殺事件では、買い物帰りの高齢女性が、面識がないとみられる男に突然刃物で襲われた。当時、周辺には女性の悲鳴や、「お母さん」と必死に呼び掛ける家族の叫び声が響き渡った。被害者を知る住民は1日、「被害者に落ち度はないのに」と憤りをあらわにした。
現場近くで働く60代女性は事件当時、言葉にならないような悲鳴や、「お母さん、お母さん」と何度も呼び掛ける叫び声を聞いた。「物騒な通りだと思っていなかったので、すごくショック。自分も被害者になる可能性があると思った」と声を落とした。
近くに住む女性によると、被害者の秋江千津子さん(76)は10年以上前から現場マンションに住んでいたといい、「いつもにこにこしていた」と振り返る。ごみ捨てなどで顔を合わせるとあいさつを交わす間柄で、8月下旬には「暑いですね」「互いに体調に気を付けましょう」などと声を掛け合ったという。
この女性は事件直後、マンション外階段の踊り場に卵や長ネギなどの食材が散乱し、大量の血だまりがあるのを目撃。自身も買い物から帰ってきたところだったといい、「タイミングがずれていれば自分が刺されていたかもしれない。被害者には何の落ち度もないのに」と怒りをにじませた。