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2025年10月02日 12:11 ITmedia PC USER

中国Blackviewが8月に発売した「Blackview Active 12 Pro」は、プロジェクターを内蔵した異色のタブレットだ。同社の製品は日本のAmazonでも販売されることが多いのだが、本機は今のところ販売されていないようだ。
直販サイトでは12GB+256GBモデルが9万9000円、16GB+1TBモデルが10万5000円で販売されており、参考までに原稿執筆時点でのAliExpressでの価格は、メモリ12GB+ストレージ256GBモデルが8万2213円、16GB+1TBモデルが8万8655円だった。
●プロジェクターと大容量バッテリーを内蔵したタブレット
Active 12 Proは、Android 15ベースの「DokeOS_P 4.2」を搭載したAndroidタブレットだ。11型ディスプレイ(1920×1200ピクセル)を備えるが、一般的な11型タブレット(iPad:約480g、Xiaomi Pad 7 Pro:500g)と比較して、本機は約1522gと非常に重い。
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当然ながら、この重量には理由がある。11型のボディーに、プロジェクター機能や3万mAhの大容量バッテリー、MIL-STD-810H準拠の耐久性、IP68準拠の防水/防じん性能、高温/高圧水流に対するIP69Kなど、特徴的な機能が多数詰め込まれているためだ。
本機の最大の特徴となっているプロジェクター機能だが、最大120型の投影に対応し、解像度は1920×1080ピクセル、明るさは200lm(おそらくANSIルーメン)となっている。これは4〜5万円台のモバイルプロジェクターと同等の性能だ。
機能面でも、おまけレベルではなく本格的な仕様となっている。オートフォーカスやキーストーン補正に対応するが、キーストーンは上下方向のみで左右方向には非対応だ。
タブレット画面の内容がそのまま投影されるため、映像ソースを選んでからキャスト操作するといった手間は不要である。また、中国製タブレットではよくアピールされるが、Widevine L1に対応しているため、NetflixやAmazon Prime Videoなどの高画質再生も可能だ。
付属のキックスタンド(ネジ止め式)を使えば、単体で天井投影も行える。日中の室内では明るさが不足してやや見づらいが、カーテンを閉めた室内や夜間であれば十分きれいに視聴できる。
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●MIL-STD-810H準拠の高い耐久性
もう1つの特徴が、タブレットらしからぬ高い耐久性だ。米軍の調達規格であるMIL-STD-810Hに準拠しており、約1.5mからたたきつけるなどの致命的な落下や約12mの高さからの自然落下にも耐えられる。この他、耐圧性能は2.2t、動作温度は−20度〜60度となっている。
おおよそ日常生活には過剰な耐久性だが、工事現場やキャンプ、登山などのアウトドアシーンでは頼もしい性能だ。
ボディー背面にはフラッシュライトとは別に、最高輝度400lmの「キャンプライト」を搭載する。文字通りキャンプでの利用に加え、夜間作業や災害時の明かりとしても活用できるだろう。
さらに、IP68/IP69Kの防水/防じん/耐高温/高圧水流といった性能も備える。屋外での急な雨や、水がかかりやすい川辺やプールサイド、粉じんの舞う工事現場などでも問題なく使用できる。側面に大型の排気口があるにもかかわらず、この仕様を実現している点は驚きだ。
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●SoCにDimensity 7300を搭載
ここからは、タブレットとしての性能にも触れておこう。
ディスプレイは11型で、解像度1920×1200ピクセル、リフレッシュレート90HzのIPS液晶で、カバーガラスにはCorning Gorilla Glass 5が使われている。
SoCはMediaTek Dimensity 7300で、メモリは12GBまたは16GB(LPDDR5)、ストレージは256GBか1TB(UFS 3.1)だ。最大2TBのmicroSDメモリーカードにも対応する。さらに、デュアルnanoSIMをサポートしており、5G通信を利用できるが、eSIMには非対応となる。
本体サイズは約267.7(幅)×179(奥行き)×28.3(厚さ)mmで、重さは約1522gだ。耐衝撃性のため、ボディーの四隅はゴムでしっかりとカバーされている。前モデルとなる「Active 10 Pro」には約108万画素のメインカメラと約20万画素のナイトビジョンカメラを搭載していたが、本機は約108万画素のシングル仕様となっている。
背面には4つのネジ穴があり、各種オプションを装着できるようになっている。標準ではキックスタンドが付属し、オプションでハンドストラップやショルダーストラップも用意されるようだ。
バッテリー容量は3万mAhで、動画視聴なら約21時間、ブラウジングなら約26時間の連続使用が可能とのことだ。また、出力120Wの急速充電に対応しており、約136分で満充電にできる。
ただし、今回利用した製品には、欧州向けCプラグの120W充電器が付属していた。今後、日本市場向けに発売されるモデルは変更されるとのことだが、当面は自分で用意する必要がありそうだ。
なお、製品自体は技適認証を受けており、日本国内でも安心して利用できる。
あまり処理性能を重視するタブレットでもないとは思うが、Geekbench 6の結果は、シングルコアが「1055」、マルチコアが「3147」となった。余程クリエイティブな使い方をしない限りは問題なく動作するだろう。
3DMarkやPCMarkなども試したかったのだが、対応していないとのことでインストールできなかった。ただしWebの情報を見る限り、問題なく利用できているようなので、これは使用した評価機側の問題なのだろう。
実際のゲームタイトルとして原神を軽くプレイしてみたが、決して快適とは言えないものの、問題なくプレイできた。とはいえ本体が重いので、ボディーを抱えてプレイするのは現実的ではない。スタンドで立てかけたり、プロジェクターで投影しながらワイヤレスコントローラーを使ったりするのが現実的だ。
●標準でPCモードを搭載
Blackviewのタブレットでは以前から使える機能だが、本機にはPCモード機能が用意されている。有効にするとPCライクなマルチウィンドウで操作が可能だ。キーボードとマウスで操作することが前提にはなるが、操作感は悪くない。
画面サイズが11型なのでPCモードが必要かと言われると微妙なところなのだが、プロジェクター機能が使える本機なら、壁面に投影してそれを見ながら操作することも可能だ。投影場所が必要にはなるが、外部ディスプレイを用意するよりも便利かもしれない。
●まとめ
Active 12 Proは確実にニッチな製品だが、特定の用途には非常に魅力的なデバイスだ。一般的なタブレットのような持ち歩きには全く向いていないが、自宅で大画面でゲームをプレイしたり、キャンプでテントやタープにプロジェクター投影して大画面で動画を楽しんだり、工事現場で資料を投影しながら打ち合わせを行ったりする用途にはうってつけだろう。
約1.5kgという重量は確かにネックだが、車での移動や現場に置きっぱなしという使い方なら問題ない。むしろこの重量があるからこそ、プロジェクター機能や大容量バッテリー、高い耐久性といった他にはない特徴を実現できているとも言える。
モバイル性を犠牲にしてでも、「その場でプレゼンテーションしたい」「過酷な環境で映像コンテンツを楽しみたい」というニーズがあるなら、Active 12 Proは唯一無二の選択肢となるはずだ。汎用(はんよう)性よりも専門性を重視した製品として、評価に値するタブレットと言えるだろう。
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