日産自動車が発表した主力電気自動車(EV)3代目「リーフ」=8日、東京都江東区 日産自動車は8日、主力の電気自動車(EV)「リーフ」を8年ぶりに全面改良した。充電1回での走行距離や充電時間などの性能を大幅に向上させつつ、価格は比較可能な現行モデルより引き下げた。2010年に他社に先駆けて世界初の量産型EVとして世に出したリーフの新型モデルが、日産復活の試金石となりそうだ。
「3代目リーフが市場に受け入れられることが、日産復活のトリガーになると信じている」―。8日東京都内で開かれた発表会終了後、日産の杉本全・執行職は力を込めた。
全面改良する際には、性能向上に合わせて価格を引き上げるケースが多い。しかし、日産はコストカットを徹底。政府のエコカー補助金の対象になれば、実質負担は400万円台まで抑えられる見通しだ。
充電設備の整備不足や高価格がネックとなり、国内でのEV普及率は低いままだが、杉本氏は「普及の壁には真摯(しんし)に向き合ってきた。この車が日産の出した答えだ」と自信を示す。
日産は新型車の投入の遅れなどが顧客離れにつながり、24年度決算で巨額赤字を計上。「中小部品メーカーの間で受注が半減したなどと不安が広がっている」(日産関係者)との声も漏れる。
5月に発表したリストラ計画では、新型車の開発期間を従来の55カ月から30カ月に大幅短縮する取り組みを打ち出し、立て直しを急ぐ。26年2月ごろには、バッテリー容量を抑えた廉価版のリーフも投入する計画。26年度には、高級ミニバン「エルグランド」の全面改良も控える。新型車を相次ぎ投入し、巻き返しを図る。

日産自動車が発表した主力電気自動車(EV)3代目「リーフ」の運転席=8日、東京都江東区

日産自動車が発表した主力電気自動車(EV)3代目「リーフ」のAC外部給電コネクター=8日、東京都江東区