国民年金・厚生年金“じゃない”年金は要注意…申請しないと「もらえなくなる年金」11選

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2025年10月09日 11:10  web女性自身

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年金受給は65歳から」を当たり前と捉える人は多い。だが、かつて厚生年金の支給は60歳からだった。高齢化に対応するために65歳に引き上げられた経緯がある。



「その際、いきなり65歳からとはせず、○年生まれは61歳から、△年生まれは62歳からと段階的に受給開始を遅らせていきました」



そう話すのは『知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』(宝島社)の監修者で、特定社会保険労務士の小泉正典さんだ。女性なら1966年4月1日までに生まれた人は65歳未満でも、段階的措置としての「特別支給の老齢厚生年金」がもらえるという。



公的年金は受給開始が近づくと、申請書類一式が届く。だが「まだ65歳じゃないから」と放っておくと、繰下げ制度がない特別支給の老齢厚生年金は、5年で権利が消滅してしまう。



「日本の年金は『申請主義』です。本人が申請して初めて手続きが進むのです」(小泉さん、以下同)



つまり、申請しなければもらえない。年金が“消える”のだ。



こうした消える年金はほかにもある。たとえば夫が65歳で年金をもらい始めるときに、18歳未満の子や65歳未満の妻を扶養していたら「加給年金」がもらえる。



「年金の“家族手当”のようなものです。妻が65歳未満なら、年41万5千900円。妻が65歳になるまで夫の年金に上乗せされます」



妻が65歳になったら加給年金は終了するが、今度は妻の年金に「振替加算」が上乗せされる。妻が1966年4月1日までに生まれた人限定で、受給額は多いとはいえないが、死ぬまでもらえるのはありがたい。



年金といえば「国民年金だけでは暮らせない」とよく聞く。



「年金を含めた前年度の所得が、約90万円より少ない人は『年金生活者支援給付金』があります。国民年金は、40年保険料を払った満額支給でも年約83万円ですから、この給付金を申請しましょう」



もらえるのは最大で月5千450円、年約6万5千円をみすみす逃す手はない。1度申請すれば2年目以降は申請不要なのも◎だ。夫に扶養される妻は国民年金だけということが多い。覚えておこう。



国民年金だけの妻が夫と離婚すると、老後破綻するのでは?



「夫の年金を分けてもらう『年金分割』があります。離婚するときに必ず話し合ってください」



ただし「夫の年金全額の半分」ではない。夫の基礎年金を除いた厚生年金部分のうち、婚姻期間分の最大2分の2を分割する制度だ。さまざまな条件もあるので、自治体の無料相談などを活用しよう。



注意したいのは40代、50代など年金受給の前に離婚する場合も、年金分割については離婚するときに話し合うこと。そろそろ年金受給が近くなったからと年金分割を申し出ても、離婚の翌日から2年でその権利は消えてしまう。



また、人生は予想もしない事態に見舞われることがある。たとえば障害を負うこともあるだろう。



「そんなときは『障害年金』がもらえます。ただ障害年金というと、手足などの障害を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は心臓病やがんなどの病気、うつや統合失調症などの精神疾患も対象です」



長期療養が必要で日常生活に支障をきたす場合などに支給され、障害等級によって年金額が異なる。もっとも重い障害等級1級の場合、国民年金の人には障害基礎年金として年約104万円。厚生年金の人には、それに加えて障害厚生年金と、扶養家族がいる場合は加給年金や子の加算も支給される。



障害年金について主治医からの勧めがないこともあるそう。思い当たる人は自分で動くことが大切だ。年金事務所などにご相談を。



さらなる試練は夫の死だろう。特に子育て中などは教育費など大金が必要だ。残された妻が必死に働くしかないのだろうか。



「夫が若くして亡くなった場合でも、『遺族年金』がもらえます」



実は、夫との死別ではさまざまな補助制度がある。ただ子の有無や年金の種類などによって、使える制度やその金額も大きく異なる。そこで、チャートを作成し整理した。



まず、18歳未満の子がいる場合は、加入する年金にかかわらず「遺族基礎年金」が受け取れる。金額は年83万1千700円に、扶養する子の人数によって加算が付く。子どもが1人なら年約107万円、2人なら年約131万円となる。生活の基盤は支えられるだろう。



子どもはいない、あるいは子がいても18歳を超える場合は、遺族基礎年金はもらえないが、夫が加入していたのが厚生年金なら「遺族厚生年金」がもらえる。



遺族厚生年金は、亡くなった夫の老齢厚生年金の4分の3がもらえる。今は、30歳未満で死別した妻は5年間受給にとどまるが、30歳以上の死別女性は死ぬまで遺族厚生年金を受給できる。



しかし、2025年6月の法改正により、60歳未満での死別は男女にかかわらず、遺族厚生年金は原則5年間の給付に改定。60歳以上での死別はこれまでどおり死ぬまで受け取れることになった。



「ただし経過措置がありますから、2028年度に40歳以上になる人は現状と変わりません」



さらに残された妻が40歳から65歳になるまでは「中高齢寡婦加算」が上乗せされる。受給額は年約62万円だ。妻が自分の老齢基礎年金をもらうようになると終了する。残された妻は年齢でもらえる金額が変わるので注意して。



いっぽう、国民年金の人から厚生年金をうらやむ声がよく聞かれる。国民年金は子がいないと遺族年金がないと思う人が多いからだ。



「国民年金で遺族基礎年金に該当しない人には『死亡一時金』があります。1回きりの一時金なのですが……」



とはいえ、金額は保険料を納めた期間によって12万〜32万円。「申請しなかった」といって諦められる金額ではないだろう。死亡の翌日から2年以内に必ず申請を。



「国民年金にも、残された妻には『寡婦年金』という制度があります。もらえる期間は60歳から65歳になるまでの最長5年です」



寡婦年金には、亡くなった夫が年金保険料を10年以上納めていることや、夫と10年以上継続して婚姻関係にあることなどの条件がある。また、妻が50代で夫と死別したとしても、妻が60歳になってから支給が始まる。



「死亡一時金と寡婦年金は両方の条件を満たしていても、どちらかを選ばねばなりません。ですが、受給額は寡婦年金のほうが多いです」



受給まで待つ期間や受給額を比べてどちらかを選ぼう。



年金を考える際、65歳より遅くもらい始める「繰下げ」がよく話題になる。繰り下げると受給額がアップできるのはいいが、繰下げ中に亡くなったら年金をもらえないまま死ぬことになるからだ。



「確かに、繰下げ中に亡くなった本人は年金を手にできませんが、遺族が代わって請求できる『未支給年金』という制度があります」



受け取るのは繰り下げない本来の年金額だが、65歳から亡くなるまでの分がもらえる。



「年金は2カ月ごとの後払い支給なので、年金受給中の人が亡くなり年金を止めると、亡くなった月など必ず未支給分があります。これも忘れずに申請してください」



年金は、老後にもらえる厚生年金か国民年金だけではない。困ったときには頼れる年金がないか探してみて。申請忘れで、もらえるはずの年金を自分で消してしまうなんて、もったいない!

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