写真 2016年6月から続いたチッチ監督体制は、カタールW杯ベスト8という形をもって幕を閉じた。以降はラモン・メネゼス暫定監督、フェルナンド・ジニス監督、ドリヴァウ・ジュニオール監督、そしてカルロ・アンチェロッティ監督と、カタールW杯後の約3年間で4人のバトンをつなぎ、今日に至る。
FIFAワールドカップ26南米予選では、8勝4分け6敗の勝ち点28で5位フィニッシュとなった。勝率「51%」は南米予選が現行のフォーマットになってからの最低記録。獲得勝ち点が「30」を下回ったことも初だった。W杯王者・アルゼンチン代表戦では初の4失点とショッキングな大敗もあり、23大会連続23回目という世界で唯一のW杯連続出場記録こそ守り抜いたものの、想像以上の苦戦を強いられた。
メンバーの顔ぶれにも大きな変化があった。カタールW杯以降は87名の選手が招集され、75名の選手がピッチに立っている。75名のうち実に50名の選手が代表デビューとなった。エンドリッキやエステヴァンといった新星も現れた一方、度重なる監督交代でチームとしての上積みがなかなか目に見える形となっていないことも事実。アンチェロッティ監督は「バランスを求め、コミットメントの姿勢を徹底し、犠牲の精神も導入しました」と語り、8カ月後の本番に向けてチームを構築している真っ最中だ。
すでに次回W杯の結果に関わらず、アンチェロッティ監督との契約を延長するプランも浮上中。会見は全てブラジルの公用語であるポルトガル語を駆使しており、そういったブラジルに適応する姿勢も高く評価されているポイントかもしれない。また息子であるダヴィデ・アンチェロッティ氏は、7月のボタフォゴの指揮官に就任しており、親子揃ってブラジル国内での存在感は増すばかりだ。10日の韓国代表戦では5発快勝で「フッチボール・ボニート(美しい)が戻ってきた!」という声もある。世界的名将アンチェロッティ監督の就任以降、ブラジル代表に対する期待感は日に日に高まっている。
日本代表vsブラジル代表 ブラジルのスタメンは?
▼GK
1 ウーゴ・ソウザ(コリンチャンス)
▼DF
13 パウロ・エンリケ(ヴァスコ・ダ・ガマ)
14 ファブリシオ・ブルーノ(クルゼイロ)
15 ルーカス・ベラウド(パリ・サンジェルマン/フランス)
24 カルロス・アウグスト(インテル/イタリア)
▼MF
5 カゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
11 ルーカス・パケタ(ウェストハム/イングランド)
8 ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル/イングランド)
▼FW
19 ルイス・エンヒキ(ゼニト/ロシア)
22 ガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル/イングランド)
7 ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード/スペイン)
アンチェロッティ監督は日本戦に向けた公式会見で「チーム内の競争は重要であり、最初から11人を固定するのではなく、W杯に向けてローテーションをすることが良いソリューション(解決策)になると思う」と発言。「私が信じているのは一つのやり方ではダメだということ。違うシステムを含めた複数のパターンが必要。ブラジルの選手のクオリティはそれを実現できると思う」と語っている。
アンチェロッティ監督の前述の発言を受け、来日中のブラジル人記者は「韓国戦から半数以上を変える可能性があるのではないか」と推察してくれたが、その通りになる模様だ。ブラジル大手メディア『globo』のカエ・モタ記者はカゼミーロ、ブルーノ・ギマランイス、ヴィニシウス・ジュニオールの3名のみを韓国戦から継続し、日本戦では8名を変更する見込みであると伝えている。韓国戦では『4-2-3-1』だが、日本戦ではカゼミーロがアンカーに入る『4-3-3』で臨むことが濃厚だ。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)