

義兄と絶対に関わらせないという約束をしてもらえないかぎり、子どもたちを義両親に接触させるわけにはいきません。子どもたちもなんとなく理解したようでした。するとレイが義両親の様子について、思いがけないことを言い出します。


ユウマの合格に感極まった義父は、ごまかすように慌てて涙をぬぐっていたそうです。レイから話を聞いて驚きました。「これでわが家は安泰だ」なんて……。やっぱり義両親は、義兄のことを子どもたちに背負わせるつもりだったのです。


レイに聞かれて私は一瞬、言葉に詰まってしまいました。離婚……。よぎらなかったと言えばまったくの嘘になります。ただレイはずっと勉強を頑張ってきました。憧れの熱望校に入るために、並々ならぬ努力をしてきたのです。今ここで不安を煽るようなことになってはいけません。私は子どもたちを励ますように力強く否定しました。
ユウマやレイは私たちの夫婦仲が少しおかしいことにうすうす気が付いていたようです。義兄の話をすると驚いてはいましたが、私たち夫婦の仲がおかしかった原因が分かってほっとしているようにも感じました。子どもたちの笑顔を守らないといけない……。私は心に誓ったのでした。
|
|