ウエスタン・アライアンス・バンコープ本社=2023年4月27日、米西部アリゾナ州フェニックス(AFP時事) 【ニューヨーク時事】米地方銀行の信用不安が再燃している。地銀持ち株会社2社が融資先による不正行為を発表したことをきっかけに、融資慣行や景気先行きへの懸念が浮上。不透明な資金調達で債務を膨らませた米自動車部品メーカーの破綻も相まって、影響が拡大するとの警戒感も出始めた。
ザイオンズ・バンコープは16日、商業ローンに関連し、借り手による不正疑惑で5000万ドル(約75億円)の損失が生じたと開示。契約上の不履行などを理由に融資先を提訴した。ウエスタン・アライアンス・バンコープも同日、債務者が詐欺行為を働いたとして訴訟を提起したと明らかにした。
両社の発表を受けて16日の米株式市場では、金融株は売りが優勢。影響は17日の東京株式市場にも波及し、大手行の株が下落した。17日の米市場でも一部金融株はなお軟調で、懸念はくすぶる。
景気が持ちこたえているため「現時点では金融システム全体に及ぶ問題と見なせない」(米ネット証券大手チャールズ・シュワブのワースター最高経営責任者=CEO)との見方は強い。ただ、投資家心理が一段と悪化すれば、不安が連鎖し、地銀の経営問題に発展する可能性もある。
直近の米自動車部品メーカーの破綻や、低所得者向け自動車ローンを手掛ける企業による会社清算も市場に影を落とす。金融界のご意見番として知られるJPモルガン・チェースのダイモンCEOは「ゴキブリを1匹見つけたらもっといるかもしれない」と危機感を表明した。