画像提供:マイナビニュース東京23区の東端に位置する葛飾区・金町。かつては下町のイメージが強かったこの街が今、不動産市場で「"買い"なエリア」として熱い視線を浴びている。大手デベロッパーによる再開発が次々と進む一方、都心に比べてまだ値ごろ感があるというのだ。
なぜ金町はこれほど注目されているのか、不動産投資総合プラットフォームサービス・INVASEの事業責任者で、不動産ナビゲーターの渕ノ上弘和氏に聞いた。
○大手町まで30分圏内、再開発で「街の格」上がる
金町が注目される最大の理由は、「都心へのアクセスの良さ」と「大規模再開発による将来性」の2つが掛け合わさっている点にある。
「最大のポイントは、東京のビジネス中心地である大手町まで電車で約30分という利便性です。この距離感でありながら、まだ価格が手頃なのが金町の強みです」と渕ノ上氏は語る。
そのポテンシャルに目をつけたのが、三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンスといった大手デベロッパーだ。
2009年には商業施設・中央図書館・分譲マンションが一体となった「ヴィナシス金町」、2013年には東京理科大学のキャンパスや約7haに及ぶ「葛飾にいじゅくみらい公園」が開発された。2021年には商業施設・公共施設・分譲マンションが一体となった「ベルトーレ金町」も誕生している。
そして今年9月、商業施設「MARK IS(マーク イズ) 葛飾かなまち」がオープン。現在は2030年に向けて、大規模なタワーマンションの建設が決まっており、これが"最後のワンピース"として街の完成度を決定づけるという。
「再開発が途中で頓挫するケースも珍しくない中、金町は事業をやり遂げる体力のあるデベロッパーが手掛けている。この"逃げない安心感"が、資産価値を重視する層に評価されています」
○スタバやコメダに大行列、人が集まる「便利な街」へ
再開発は、街の風景を大きく変えた。駅前には、スーパーや区の中央図書館、学習塾がそろうほか、スターバックスコーヒー、コメダ珈琲店、タリーズコーヒーといった人気のカフェが集結。渕ノ上氏によれば「週末のコメダ珈琲店は30分待ちになることもある」ほど、多くの人で賑わっている。
かつて「1階がイトーヨーカドー」という日本でも珍しい構造だった自動車教習所も、商業施設併設のまま新しく生まれ変わるなど、街の至る所で利便性と魅力が向上している。
「タワーマンションができ、新しい住民・ファミリーが多く流入しています。昔の金町を知る人は想像できないほど、街の雰囲気が変わってきているんです。」
○「水害リスク」の意外な事実
一方で、葛飾区と聞くと「水害リスク」を懸念する声は根強い。しかし、渕ノ上氏は「イメージだけで判断するのは早計」と指摘する。
「ハザードマップを詳細に見ると、荒川や江戸川が氾濫した場合でも、金町駅前や再開発エリアは、浸水被害想定が大きいエリアとはなっていません。低地だからと一括りにせず、地点ごとにリスクを正しく評価することが重要です」
この事実は、購入を検討する層にとって大きな安心材料となりそうだ。
○開発×値ごろ感で、まだ残る伸びしろ
気になる不動産価格だが、例えば駅徒歩3分に位置する「ヴィナシス金町 タワーレジデンス」は、現在平米単価が110万円。この1年間で10〜15万円程度、上昇している。
ベルトーレ金町の「プラウドタワー金町」の平米単価が150万円〜160万円であることを考えると、駅周辺のタワーマンションはまだまだ伸びしろがあるという。
「資産価値を重視するなら、エリアで最も評価の高い"一番手"の物件を選ぶのが鉄則です。そうした物件は今後も、再開発の進捗と共に価格上昇が期待できます」と渕ノ上氏。
都心から離れたエリアとしては一見、割高なようにも感じるが、タワーマンションのレジデンスとしての魅力と、常磐線ユーザー(柏・我孫子方面出身者など)にとって都心への「通過駅」であった場所で暮らせるという利便性から、今後も需要は高まり続けるそうだ。
渕ノ上弘和 ふちのうえひろかず 不動産ナビゲーター/2000年に立教大学法学部法学科卒業後、コンサルタントとしてECサイト運営会社を起業すると同時に不動産コンサルタントとしても業務を開始。区分所有建物の資産価値マネジメントに従事するため、2008年より住友不動産建物サービス株式会社、2013年より株式会社東急コミュニティーにて区分所有建物の共用部分・専有部分のマネジメントに従事した後、不動産の資産性を流通の側面から評価するために、2018年にコンドミニアム・アセットマネジメント株式会社の設立代表に就任。2022年2月より株式会社MFS不動産投資事業部執行役員として不動産投資総合プラットフォームサービス・INVASEの事業責任者に就任。不動産投資を「はじめる」「見直す」ことができる総合不動産投資サービス「INVASE」を運営。簡単な操作で借入可能額を判定して必要な自己資金と収益物件検索ができるアプリ「INVASE Pro」を提供している(スマホからのみダウンロード可)。 この著者の記事一覧はこちら(PREMIUM編集部)