エムズビギン(写真左、撮影:井内利彰) 10月に入り、2歳の1勝クラス、オープンのレースが増えてきているが、今週は2歳牝馬限定の重賞、アルテミスS(10月25日・東京芝1600m)が行われる。函館芝1800mの新馬戦をレコード勝ちした白毛のマルガ(栗東・須貝尚介厩舎)が出走を予定。東京競馬場はさぞ盛り上がることだろう。
マルガの新馬戦は7頭立てで、その後に未勝利を勝った馬は3頭いるが、そのうち2頭はダート1800mで勝ち上がっている。そのうちの1頭、シルバーレシオ(栗東・野中賢二厩舎)は先週の京都ダート1800mで2着に9馬身差の圧勝。こういった馬がJBC2歳優駿(11月3日・門別ダート1800m)に出走すれば、デビューした北海道に凱旋することができるなんて考えてしまう。
【10月25日(土) 京都ダート1400m】
◆テンタイムトップ(牝、父ナダル、母ジュエルオブナイル、栗東・高柳大輔厩舎)
母ジュエルオブナイルは現役時代に小倉2歳Sで重賞制覇。阪神JFや桜花賞といったマイルGIへの出走も果たしている。本馬は2024年セレクトセール1歳にて、4000万円で落札されている。
夏に栗東でゲート試験を合格した後、社台ファーム鈴鹿で調整。栗東へは9月27日に再入厩している。10月から追い切りを開始しているので、本数自体は多くないが、1週前追い切りにはレースで騎乗予定の坂井瑠星騎手が跨って、CWでの併せ馬。2歳未勝利を追走して先着しており、6F84.3秒、3F38.1秒、1F11.7秒をマークしている。
【10月25日(土) 東京芝2000m】
◆ブラックオリンピア(牡、父キタサンブラック、母ピノ、栗東・友道康夫厩舎)
母は豪州産。現役時代には2017年にVRCオークスでG1を制覇。母父Pierroは豪2歳牡馬チャンピオン。父は先週の富士Sを勝ったガイアフォースなどの産駒がいるキタサンブラック。
本馬は北海道でゲート試験に合格した後、牧場で調整して、9月4日にノーザンファーム早来から栗東へ入厩。最初は坂路での追い切り、その後はCWでの追い切りを消化して、順調に追い切りを積んできた。先週の芝コースでの3頭併せでは先頭を走ったこともあって、物見する場面などもあったが、最後の直線ではステッキが入ってからしっかり伸びて最先着。鞍上は川田将雅騎手が予定されている。
◆マテンロウゼロ(牡、父リオンリオン、母タイセイアヴァンセ、栗東・松永幹夫厩舎)
父リオンリオンは現役時代に松永幹夫厩舎で管理され、青葉賞とセントライト記念で重賞を制覇。セントライト記念後に左前脚浅屈腱炎を発症して、長期休養から復帰を目指すも現役続行を断念しての種牡馬入りとなっている。
そして、母系はおじにディープボンド(父キズナ)がいる血統ということもあり、期待高まる素質馬。先週のCWでは3頭併せで萩Sに出走予定のバドリナートに先行して僅かに遅れたが、しっかりと動くことはできていた。鞍上は横山典弘騎手が予定されている。
【10月26日(日) 京都芝1800m】
◆エムズビギン(牡、父キタサンブラック、母デルフィニアII、栗東・友道康夫厩舎)
2024年セレクトセール1歳にて、5億9000万円で落札されたキタサンブラック産駒。ちなみにセレクトセール歴代落札価格ランキング(税抜価格)では2位。半兄には新馬、デビューから連勝でシンザン記念を制したリラエンブレム(父キズナ)がいる。
本馬について「函館でゲート試験に合格した時はまだまだ頼りなかった」と友道康夫調教師。しかし、今回のデビューに向けた栗東入厩では追い切りをしっかりと消化して、併せ馬でも活発な動きを見せている。先週の1週前追い切りは芝馬場でレースでも騎乗予定のC.ルメール騎手が跨って、その感触を確かめている。
(取材・文:井内利彰)